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屍術医師 レインフォルト 上  作者: 御蛇村 喬
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第六十一幕 激突

挟み討ち受けてるアンナのシーンになります。

 凄まじい速度で石の床を蹴り駆け激突せんとする強者2人の間にヴァロワレアンの侍女アンナは居た。


 アンナは咄嗟に倒れ込むように前転をして先程まで対峙していたサイラスと名乗った男の傍を抜けて立ち上がり、すぐ振り向く。


 薄い闇の中で剣と剣が幾度もぶつかり合い激しい金属音と数多の火花を散らす。


 力、速度、技量……どれを取っても異次元のやり取りが交わされている様にアンナは暫し圧倒される。


 剣戟は目まぐるしく攻防が入れ替わり、白熱していく。


 やがて鍔迫り合いになりニ人は動きを止めて睨み合う。


 動きはないが絶え間なく鳴る金属の擦れる音がこれが危うい均衡であることを物語っている。


「……やるじゃねぇか……この姿を晒した甲斐があるってもんだ……」


「…………………………」


 サイラスの楽しげな言葉に包帯の男は無言を貫く。


 一見五分にも見えたが、戦況から見てサイラスの方に幾分かの余裕が見て取れた。


 アンナはふと自分のすべき事を思い出し、行動に移る。


 後ろに鎮座するもう動かない怪物の亡骸へと駆け寄り、向こう側へ行くための隙間がないか探す。


 しかし、あのサイラスとかいう男はどうやら意図的に通路を塞ぐように怪物の体を据えたらしく、体を通せるような隙間が見当たらない。


 怪物の身体を全力で押してみるが、無論ビクともしない。


 次にアンナはその巨体にハルパーを突き立てようとしたが、皮膚というよりも外殻というべき化け物の表皮に少し傷を付けることくらいしか出来なかった。


 アンナは改めてこの化け物の恐ろしさと、これを退けた包帯の男の凄まじさを感じ、同時にそれ以上の存在であろうサイラスという存在に畏怖すら覚えた。


 アンナが確認のため振り向くと、サイラスが包帯の男を圧倒し始めていた。


 包帯の男はたまらずサイラスとの距離を取る。


「どうした?、こっちは漸く体が暖まってきたところなんだがな……勘は今ひとつ戻ってねぇがよ」


 サイラスの言葉に包帯の男は腰のホルダーから何かを抜いてこちらに放る。


 次の瞬間、白い閃光が爆ぜて押し寄せる光の洪水にアンナの視界は眩んでしまう。


 少しして視界が回復すると、包帯の男は姿を消していた。


「チッ……逃したか……まぁいい、俺もそろそろエネルギー切れだしな……」


 サイラスは呟き踵を返し歩き始め、傍のアンナを無視して化け物の身体に触れると、化け物は足元から湧き起こる赫い炎の中に沈んでいった。


 そして、アンナの目に飛び込んできたのは血の紅に染まる脇腹を押さえて片膝をついて跪く主……ヴァロワレアンの姿だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「剣戟は目まぐるしく攻防が入れ替わり、白熱していく」 これめっちゃ好き [一言] お邪魔しますっ 毎回ですが笑 戦いの場を描くのは流石ですね。 今回はお気に入りになった一文を挙げさせて頂…
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