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第五幕 隠された真実
「団長殿も小隊長殿も言ってたでしょ、疫病でこの街は滅んだってね」
「 嘘ね」
ハーストは騎士として模範的な回答を一言の下に切り捨てた。
「ここにある建物や白骨に不自然な痛みがある、柱に刺さってる矢もあったし、そこら中にあるシミだってこれは血痕でしょ? ここで何かしらの争いがあったのは確かよ」
私の言葉にハーストはため息をつき
「クレアちゃん、日が浅いとはいえ俺達は聖騎士団に所属してるってこと、忘れないようにね」
ハーストの言葉に私は不満を隠すこともせずムクれる。
「とりあえず、こんな埃の積もった陰気な場所から出ない? デートならもっとマシな所でしたいもんだし、そろそろ引き上げのお声がかかる頃だよ」
軽口混じりにハーストに促され、私は渋々外に出る。
その後、小隊長の号令がかかり、聖騎士団と共に私は聖都に帰投した。