表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屍術医師 レインフォルト 上  作者: 御蛇村 喬
41/65

第四十一幕 邂逅

 私は呟きフードを取り首筋を見ると、そこには見覚えのある痣があった。


 顔と痣を交互に見返し


「……もしかして、アルバート……兄様……?」


 私はブランフォード家現当主であるべき筈の長兄の名を口にした。


 私は記憶を手繰り寄せる。


 歳の差があったため、それほど関わった記憶はないが、優しい兄だったことは覚えている。


 そして、今思えば病弱で繊細な心を持つ人だったように思う。


 私が6歳程の幼い頃、首筋に浮かぶ痣が現れて少し経った頃に私の前からアルバートは姿を消してしまった……


 家族の中ではこの話題はタブーとなっており、この頃はまだ生きていた父母もランドルフもアーネストも長兄のアルバートのことについては口を噤んだ。


 しかし、人の口には戸を立てられないとはよく言ったもので噂は耳に入っていた。

 兄は愛した幼馴染の婚約者に首を絞められ、殺されかけたらしかった。

 命は取り留めたものの兄は心を壊してしまい、心を癒すためどこかの教会に身を寄せている……という噂だけは耳に入っていた。


 しかし、まさか聖都にいたとは……


「クッ……日の光に目が眩んだとはいえ……不覚を取りましたね……」


 痛みに呻きながらも兄、アルバートが呟く。


「しかし……アルバート……ですか……この身体がよりによってあなたの兄上とは、皮肉が過ぎますね…………」


 長兄の肉声を久しぶりに聞いた。

 実に15年以上ぶりの再会だ。

 

「残念ですが……この身体の……彼の心はもう、死んで……います……」


 苦しげに彼は言葉を続け咽せるとともに喀血する。


 姿には記憶の中の兄の面影があるが、その話し方や仕草は別人のそれだと私は思い出す。


 記憶の中の兄はもっと自信なさげに話す人だった。


「なら……あなたは……あなたは一体何物なの……?」


 私の問いかけに男は口の片端を上げ


『こちらで失礼しますよ……声を出しづらくなってきましたのでね……私はレインフォルト=アーデルハイムと申します……』


 頭の中に響いたその名はヴァロワレアン卿から告げられたこのトラードの街を廃墟にした張本人の名だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おう♪!レインフォルト様?!!キタ━(゜∀゜)━! いらっしゃった〜(*n´ω`n*)!  そして、、、、、、 ?!♪
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ