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第四十幕 長兄
私は少し離れた廃屋の裏手に抱えている謎の男を降ろし、座り込んでしまう。
早朝から完全武装して休憩もなしで長時間行軍、そこから矢を射かけられたり斬りかかられたりと命の危機に見舞われ、今は謎の怪我人を抱えて逃走中……
我ながらよく生き残れたものだと自分で感心する。
早く移動しなければならない状況だが、休まなければこれ以上動くのは無理そうだった。
私は寝かせたローブの男を見る。
フードをかぶり眼鏡をかけているその男は苦しげに息をしている。
先程の化け物が"ヒ弱"と言っていたが、その言葉がそっくり当て嵌まる。
よくよく顔立ちを見ると、私はこの男に見覚えがある気がしていた。
「もしかして……」
私は呟きフードを取り首筋を見ると、そこには見覚えのある痣があった。
顔と痣を交互に見返し
「……もしかして、アルバート……兄様……?」
私はブランフォード家現当主であるべき筈の長兄の名を口にした。
第二十幕 通信
でアルバート兄様の名前出てます。




