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屍術医師 レインフォルト 上  作者: 御蛇村 喬
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第二十三幕 再来

 私は入り組んだ聖都の裏路地を走っていた。


 様々な色や形の建物が横を流れていく。


 あのヴァロワレアンの侍女は凄まじい速度で私の前を走っている。


 幾度も曲がり角を曲がるが、一切バランスを崩さず、スピードもほとんど落ちない。


 私も運動全般、殊更走ることには自信があったが、向こうも大したものだと感心せざるを得ない。


 侍女は唐突に立ち止まり、振り向く。


 私もどうにか少し手前で立ち止まる。


 息一つ切らさず、侍女はスカートを摘んで優雅に一礼する。


「……なにを……」


「ご苦労だったね、アンナ……」


私が言いかけた時、言葉と共に2人の女性が横手の路地から姿を現わす。


 1人は帽子を目深にかぶっており、顔が見えない。


 その女性に従うように2人の女性が一歩下がった位置に控える。


「久しぶりだね、ブランフォード家のお嬢さん」


 涼やかな声と共に帽子を取って後ろの侍女に手渡す。


 露わになった顔は忘れようにも忘れることなどできないであろう麗人……


「ヴァロワレアン卿……」


 私の言葉通りの人物……即ちアルフレッド=レミアル=ヴァロワレアンその人だった……


 "彼"が着ているのは以前のような男物の服装ではなく、町娘の着るそれだ。


 そしてそれは……あまりにも美麗な町娘だった……


 何故か心の底から湧き上がってくる謎の敗北感に私自身困惑する。


「ふふふ、どうかな?」


 ヴァロワレアンは笑みを深め


「……化粧なんかもして、なかなかに頑張ったんだよ……しかし、たまにはこういった格好も悪くないね」


 スカートを摘んでヴァロワレアンは笑いながら軽快にステップを踏むと、それもまた様になっていた。


 今の"彼"は完全に女性にしか見えない。


 私は最早呆れていた。


「……で、"調査"の進捗状況はどうかな?」


 ヴァロワレアンは視線を鋭くして私に問いかけた。

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