第一話 エデン
第一話 エデン
今より遥か昔に遡る話。
地上より遥か上空にはエデン(楽園)があった。
エデンはその地を治める王家の人間によって維持され、その時代秀でて栄えていた。
だが、そんなエデンも永くは続かなかった。地上に暮らすものは貧しくエデンに暮らすものは神の民と呼ばれ差別意識が無くならなかった。
ある日、神がエデンの民の差別にまるで愛想を尽かすように審判が下った。エデンの民の間で感染病が流行り始めた。王家の人間も例外ではなかった。
エデンを維持する王家がたちまち倒れ、ついに維持できなくなってしまった。
「・・・」
「このような物語で有名なエデン」
「その当時のエデンの異物が最近○○市の地底湖で発見されました。今も謎が多いエデン。その謎の解明に向けた研究が今も進んでいます」
「次のニュースです」
ピッ
「はあ。手がかりが見つかったと思ったらまた謎が出てくるばかりじゃないか」
「こんなんじゃ課題の論文書けないぞ。だいたい実際に見てみないと解らないこともあるだろ。」
「まあ、それができないから地道な研究が進められているんだろうけど。実際に見れたらなあ」
その夜俺は課題に手をつけず深い眠りに就いた。
「・・・」
声が聞こえる気がする。
「いいだろう。ならば私は地上人の子孫である君にエデンを託してみるとしよう」
託す?なんのことだ?
それ以降は声は聞こえなかった。
ピチチ チッ チッ
「ん、もう朝か。ってやばい!論文書き終えてねえ!」
焦って身を起こす。だが目の前に広がっていた世界は、知らない光景だった。
大きなベッドに上等な家具や部屋の造り。窓の外を見渡す。
右手には海に左手には大自然。自分がいる所は大きな洋服の城のようだ。城を取り囲むように街も広がっている。
そして何より衝撃的に目に映ったのは…。
「空に浮かぶ島に出来ている…。まさか夢で聞こえた声は神の声で、俺は昔にタイムスリップしちまったのかあああ!?」