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48:あの日の続き
この街に来た最初の日、その日この女に負けた。それ以来俺はこいつをいつか倒してやるリストに加えていた。先日のドラゴン退治もあり、レベルも上がったので準備は万端だ。
貴族の女も準備万端だ、目もバキバキに決まってコチラを殺すような目つきをしている。服装だけ舐めた格好をしているが。
しかし私服で戦う彼女は、確かに美しかった。
ひらりひらりと舞うスカートに、まるで演舞を踊っているかのような動き。少し動きにくそうだが。
(やれる!)
成長した自分を実感できる。私服の女に本気装備の男、少し見た目は大人げないように見えるが、この世界なら問題ないだろう。舐めた服装の女が悪い。
剣に魔力を込める。
昨日覚えた強化方法だ。剣は少しずつ鋭さを増していく。昨日の感覚を少しずつ取り戻していく。
(これだ、この感覚を極めれば俺は――)
そこで彼女が突然動きを止めた。
「なにを――」
「申し訳ございません、ワタクシ貴方の期待に応えられそうもありませんわ」




