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04

 目が覚めると、そこは朝に見た天井だった。


「い、つっ!」


 体中が痛い、目も腫れていてうまく開かない。あの女、絶対に許さない。


「お、起きたかい?」


 横を見ると、そこには父がいた。顔がまだズキズキと痛む。息子のこんな姿をみて、冷静でいられる父親は少しおかしいんじゃないか。


「父さん……聞きたいことがあるんだけど」


「うーん、どうしようか、ちょっと難しい話になっちゃうんだけど……」


「いい、教えて」


 俺は色々と知りたかった。数字の謎も、隣の女が生意気なのも、母がなぜ俺を嫌っているのかも。痛む体を起こして父と向かい合う。


「分かったよ、なるべくわかりやすく教えるけど、分からないことがあったら聞いておくれ」


「うん」


 父の説明が始まった。


「まずはこの世界のお話からしよう。この世界には『魔物』と呼ばれいる存在がいる。そして僕たち人類は、その魔物と戦っている。」


「魔物……」


 ファンタジーの定番だな。それで冒険者がいて、剣や魔法を使って戦うのだと、前世の記憶が言っている。


「そう。そして魔物を倒すために僕たち人間は、魔法を使うことにした。その魔法が『身体強化』という魔法だ」


 ほら出た魔法……身体強化? 炎や氷でなく? 前世の記憶から考えるに、自分の力や能力を底上げする魔法になるだろうか。


「人間はね、魔法を使わないと、一番弱いと言われる『ゴブリン』でさえ負けてしまう、弱い生き物なんだ」


「え? ゴブリンに負ける?」


 それは人間が弱いのか、ゴブリンが強いのか分からないが、つまり戦うためには魔法は必須ってことか。


「僕もね昔は、冒険者で『レベル』を上げたんだ。そしてこの『レベル』の限界を知って、飽きらめて、今ここにいる」


「レベルって何?」


「ああ、レベルはさっき協会で数字を聞いただろ?」


 ああ、あの数字がレベルか。本当にあれは戦闘力だったのか……つまり俺は今5レベルで、あの許嫁は8レベルか。


「うん、俺は『5』レベルだった」


「あれは魔力操作レベルをさしているんだけど。僕の言っているレベルとは少し違うんだよ」


 あれ? 違うのか。


「魔物を倒すと相手の魔力を奪い取り、魔力量が強くなっていく。そしてその魔力量と魔力操作レベルを掛け合わせたものがレベルだよ」


「それってつまり、俺は魔力量に『5』をかけた数字がレベルってこと?」


「そうだよ。魔力量っていうのは同じ魔物を倒しているとドンドン上がりづらくなる。だから強くなれば強くなるほど、より自分より強い魔物に立ち向かわないといけなくなるんだ」


「それって――魔力操作レベルが高いほうが有利じゃん!」


「そうなんだ。そしてその祝福で貰える魔力操作レベルは、男は必ず1~5レベルで、女は必ず6~10レベルになる」


「は?」


 つまり女は、祝福を受けた時点で既に……


「父さんは魔力量が22、魔力操作レベルが3で、レベルが66。そこで限界を感じてしまったんだ」


 じゃあ母親があんなに強気で、横暴なのは……


「母さんは魔力量が20、魔力操作レベルが7で、レベルが140。ハハッ、笑っちゃうくらいのレベル差だよね」


 じゃあ向かいの女の子があんなんだったのは……


「この世界では女性が強い。だから男は村内で仕事をしたり、家で家事をして、外に狩りに出ている妻の帰りを待つ」


 この世界は、女尊男卑な世界なんだ!

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