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(冗談じゃねーぞ!)
そのゴブリンは、憤っていた。最近、ゴブリンのまとめ役に任命され、誰が一番上なのかを知らしめるために、ゴブリンどもと鍛錬と称して何度も戦っていた。それが功を成したのか思ったより他のゴブリンが戦えている。
それはいい。
だが、明らかに相手のほうが一枚も二枚も上手だ。次々と俺の手下が殺されていく。
今も、目の前でゴブリンのチームが一組壊滅した。
「ぎゃぎゃ(オマエライケ)!」
そのまま踏み込んできそうだった冒険者を足止めする。あぶねぇ、攻め込まれていたら、俺がやられていた。
こんな、あほみたいに敵が強い戦場で戦いたくない。
その一心で、ゴブリンを指揮する。
「ぎゃぎゃ(ツギハオマエラダ)!」
ゴブリンは必死に戦う。生き残るために。




