表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

289/334

279

「俺は、しばらく戦う気はない」


魔王城跡地。


 といっても魔王城自体は魔王が暴れたため、ほとんど原型をとどめたままだ。被害にあったのは、城下町である。そんな魔王城を訪れ、魔王を訪ねた。


「まだ、先の傷が癒えていない」


 じっくりと魔王の体を見るが、傷らしい傷など見当たらない。


「心の傷だ。俺が、何年もかけて作った街を壊された心の傷が癒えていない」


「なにいってるんだ、お前」


 そもそも、あんなボロボロの放置されたような城下町を街だと言い張る、こいつの傲慢さ。要はこいつは、外に出たくないだけなのではないか。


 結局、魔王はその後の説得空しく、戦わないの一点張りのため諦める。長いこと生きていると、動くことが億劫になるのかもしれない。


(しかし、当てが外れたな)


 魔王が出てくれれば、戦力強化に一役買えたのだが。最近、こちらに逃げてきたドヴェルグ達も、どちらかといえば戦闘には消極的だ。魔物の中には時折こうして、人間との戦いに消極的な種族がいるらしい。


過去に、なにかあったのか。


戦うことに、意味を見出せないのか。


 どちらにせよ、戦力の補充は未だ十分ではない。


(まずいな……)


 最前線では今、人間側がかなり力を入れているらしい。少しずつ侵攻されている状況に、少しだけ焦りがでる。


 学術都市を落としたことで、人間側が本気でこちらを排除しに来ている。


 そして未だ、目的の人物は前線に現れない。


(お前は一体、いつになったら出てくるんだ……)


 未だ現れない待ち人に、苛つきが隠せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ