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地の精霊に向かう道のりは、かなりの悪路だった。草が生い茂り、木の密度も高い。
「地の精霊は、植物に祝福を与えているんだっけ」
まさかの、生物以外に祝福を与えているらしい。いや、人間から見ると植物は生物かどうかは意見が分かれるところだが、精霊から見れば人間らと同じく生物なのかもしれない。さっき通った道では、昔やったゲームで出てきたパクンと人を食べる人食い植物もいた。
植物も成長すると意思を持つのか……?
植物をもし持ち帰れたら、それはそれで戦力が上がるかもしれない。それは、こうして地の精霊のいる場所に近づけば近づくほど実感する。
ユグドラシル。
前世では、様々な世界を結びつける世界樹と言われていた。ファンタジーの定番だ。だがこうして実際に目にすると、その植物の大きさに驚く。そしてその世界樹の周りの植物は、影響を受けたのかスクスクと育ち、こうして俺たちの道を阻む。
森が明ける。その場所は森の中にぽっかりと空いた世界樹のための場所。光が差し込み、世界樹の周りだけ世界樹のために綺麗に整備された場所のように見える。
『どうして人間は、余計なことに首を突っ込むのかな?』
世界樹の前には、小人のような地の精霊がいた。




