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驚いた。
王が、デートをするといって連れてきたのが四芳姿のカサンドラだった。一体、王の交友関係はどうなっているのだろうか。
彼女はサバサバした性格なため、あまり突っ込んでこなかったが、私は今人間から追われている立場だ。そのあたりを突かれたら、王はどうするつもりだったのだろう。
先日、四芳姿の一人であるヴィルヘルミーナを捕まえてきたことも衝撃だった。
こういう人間が、革命を起こすのだろうか。王の偉大さを、改めて実感する。
精霊も初めて見た。もう私の脳のキャパシティは限界だ。帰りたい。
「シューベルトさん、そろそろ」
さっきからこうして、時間が押していることを伝えることしかしていない。ミアは彼のやることに全肯定だし、カサンドラはずっと関心しっぱなしで何も考えていない。そのためこうして仕事が私に回ってくる。
ああ、早く帰りたい。
その一心で、彼を急かす。ちなみに、何か変に勘繰られても困るので、カサンドラの前で王呼びは辞めている。そして、彼の名前を呼ぶたびにミアがこちらを睨む。
(だったら、あんたが仕切ってよ!)
こうして彼女は、少しずつ胃がキリキリし出すのであった。




