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「ふむ、貴方が相手ですか」


 彼女は銃を下ろし、地面に放り投げ剣を抜く。


「貴方が相手でしたら、剣でお相手するのが礼儀でしょう」


「……感謝する」


 確かに、先ほどの剣での死闘は壮絶だった。彼女からすると、あの剣技がとても神聖なものに感じたのだろう。騎士の矜持か何か分からないが、こちらにとっては都合がいい。


 そして彼は言っていた。属性魔法を使えと。私はまだ、属性魔法を使えたことはない。


(手本は、目の前にいる)


 目の前で行われている、魔力操作を真似すればいい。凡才の私には、それを一度見ただけで真似するのは、かなり難しいかもしれない。幸運なことに剣での打ち合いは、相手との力量が同じだと長くなるため、今の状況は私にとって好ましい。


 剣の打ち合いがされるたび、私の集中力が増していく気がする。少しずつ思い出すのは、かつてダークエルフの村での最後の戦い。


「さすが、やりますね!」


「はっ! はっ! はっ!」


 相手が、何か言っているが集中しているため、頭に入ってこない。


(後少し、後少し……!)


 もうすぐ、次のステージにいける気がする。しかし、その一歩が果てしなく遠い。目の前の動きを真似る。中々、その魔力操作を真似することができない。


見る。


真似する。


それを繰り返す。


「はっ! はっ! はっ!」


「くっ!」


 一度剣を振るたびに、攻撃の鋭さが増していく。もとより剣術だけなら、私は目の前の女性より優れている。時間が経ち、魔力操作のコツをつかみ始めれば、おのずと力量差が出始める。


そして、私の武器は短剣だ。


「このっ!」


目の前で、20回も見本を見せてくれたのだ。


「あっ――!」


私も、ようやく彼の領域に少しだけ手が届いた。


「【紫電一閃(シデンイッセン)(ソウ)】」


私の二本の短剣が、目の前の彼女を斬り割いた。

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