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俺が信託を受けてから2年が経ち、自分でも成長したと思っていた。
先日、妹が信託を受けて操作レベルはまさかの『9』。母は喜び絶頂していた。
そんな妹だったが、なぜか剣の訓練より魔力を飛ばす訓練を好んでやっている。やばい俺のせいだ。
今のむこうでアハハーと笑いながら魔力を放つ姿は、母に見つかったら怒られるレベルだろう。
「ゾネ、こっちにおいで」
「なぁにお兄さま」
「新しい魔法を教えてあげよう」
このままだとまずい、そう思った俺は妹に新しい魔法を教えることにした。前世の記憶を辿り、何かいい魔法がないかと考える。
「魔法に属性をつけるんだ」
「属性ってなぁに?」
「そうだな……例えば」
革袋に入れてある水を出し、そこに魔力を込める。この辺は鎖鎌と同じ要領だ。そして水を自在に操作する。実際は自在に操作なんて出来ないのでグネグネと変な動きをする。
「こ、こう! こんな感じで魔力に属性を込めるんだ」
「すごーい!!」
「はぁはぁ……属性はたくさんあるぞ。『水』『火』『風』『土』が四大属性と言われてる」
「すごいすごーい、もっとやってー!」
「はぁはぁ……兄さんはもう魔力の限界だ。ゾネもやってみな」
「うん!」
「あははーみてみてお兄さまー」
火を自在に操る妹を見て、うちの妹は天才なのかもしれないと思った。え、なにそれどうやってんの?
「えー? こうバーンとしてボッて感じー?」
説明が天才のソレと同じだった。説明の仕方でそれは確信になった、やっぱり妹は天才だ。




