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意識を取り戻すと、暗い室内だった。
「ん」
体を動かそうとするが何かに縛られ動けない、腕も後ろで繋がれ身動きができない。
「ここは……」
「目が覚めたか」
薄暗い室内のため、相手の姿が正確に見えないが、恐らくあの村で襲ってきた男だろう。
「貴様……なんのつもりだ」
人間の言葉を流暢に扱うこの魔物は、一体何者なのだろうか。加えて、こうして私を殺さずに生かしていることも疑問に思う。
「ふん、捕虜にすることなんて一つだろう」
「な――」
ま、まさか!
「外道め! 私は決して、お前らには屈しない!」
「ふん、その強気。いつまで持つかな」
魔物に人間を捕虜にし、慰み者にするような知能があったことに驚く。確かに知識として、ゴブリンにはそういったことをするものもいると聞くが、こうして自分の領域まで持って帰るという話は聞いたことが無い。
こいつがゴブリンたちを統べる者か。ニヤリと笑うその姿に、そう確信する。こいつは外道だと。
建物のドアが開き、光が差し込む。その光に、ウッと少しだけ目がくらむ。視力が回復し見えたのは、少し変わった服装をしたゴブリンだ。やはりか。
「キヒ、王よ。私の出番だと聞きました。キヒヒ」
「……ああ、その女騎士だ。頼んだぞ」
「キヒヒ、お任せ下さい王よ」
そのゴブリンは、奇妙な笑い声をあげた。




