表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

202/334

192

 王都から少し離れたところに、その都市はある。最近、王都ではその都市の話題がよくあがる。正確には、都市周辺の村々についてだ。


「おい、聞いたか。また村が無くなったってよ」


 魔物に襲われて、村が崩壊する。都市の領主は対策のため、騎士団を巡回に回すが、未だ村が崩壊している理由には辿り着けていない。村の中に冒険者を配置するも、その冒険者ごと村が跡形もなく消え去っている。


 辛うじて魔物の仕業だとわかるのが、崩壊した村に足跡が残っているためだ。


「いつかこの都市も襲われるかもな」


「ありえるな……」


 そんな噂話を聞き流しなら都市を歩く。ここに住む人間は、噂では都市もまずいかもしれないなんて思いつつ、結局他人事で、自分たちは安全だと思っている。まさか都市が襲われるわけがない、と。


 平和ボケもいいところだ。少しでも危機感がある人間は既に、この地域から逃げ出している。


 ここに残っている人間は平和ボケした人間か、何かしら目的があってこの土地にいるもの。かくいう私も、とある目的のためにこの土地を訪れている。


 街の中は普段と比べると人数が少ないが、まだまだ平和ボケした人間が歩いており、そこそこの人がいる。その間を縫って私は冒険者ギルドへ情報収集のために向かう。


(噂では彼がいるかもしれない……)


 これは知り合いから聞いた話で、まだ上層部でも一部の人間しか知らない事実だが、村を襲った魔物の集団の中にローブを被った人間らしき姿を見た。そういった情報が入ってきている。


 1年前、あの大会から忽然と姿を消した彼。噂では前線都市に向かったという話だけは聞いているが、その後の足取りが全くつかめなくなっていた。そしてその噂の真相を確かめるため、今回私はこの都市に来た。


(かなり望むは薄そう……)


 街の人間の噂話を聞いている限り、魔物に後手を踏んでいる。次に、どの村が襲われるかの予測すら立てられていないこの状況では、彼を探すどころか、村々を守ることだって難しそうだ。


 無駄足で終わりそうな雰囲気に、はあ、とため息を付く。


 ふっ、と隣をすれ違うローブを来た人間。


ドキリとする。


そんな、まさかと。


あまりの不意打ちに心が戸惑う。


バッと振り返り、その男性を追う。


間違いない。


その背格好、その歩き方。


彼の右手を捕まえる。


「見つけた!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ