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「どうなってるんだ――!?」
自分の体に起きた異変に頭がついていかない。確か俺は妻に刺され重傷をおったはずだ。そう思い刺された部分を触ると傷は存在しない。
隣の男が心配そうにこちらを見ている。その男をみた瞬間、自分の頭の中にこの男が父親であるという記憶が蘇る。
「本当に大丈夫かい?」
「え、ああ。うん大丈夫、父さん」
本当は全然大丈夫ではないけど……
そんなことを思いながら記憶の整理を行う。今、自分の頭の中には二つの記憶が存在していて、そんな異常を脳がどうにか整理をしている状況だ。そして出た結論が転生、または前世の記憶が蘇った。そう頭の中で整理される。
結論が出たことで、なんとか冷静さを取り戻し、今の状況を確認する。場所は家で床は土で、木枠で作られたベット。馬小屋のような見た目だが一応家だ。
「落ち着いたかな? 今日は信託の日だから、もう少し寝ておくといいよ」
そういって父は改めて眠りにつく。