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172:ジルヴィアの決意

「お前らの確執は、ある程度分かっているつもりだ。だがこれからは俺の傘下として、仲良くやれとまでは言わないが協力はしあってくれ」


 結局、ダークエルフの村人全員で引っ越しをすることにした。地下にずっと住んでいると、気持ちが落ち込んでいくとのことだ。二日後には全員で引っ越しをする。特に荷物もない私は準備が終わり、特にやることもない。


 ザザア、ザザアという波の音。海が見える場所に王が座っていた。


「王よ……」


「……」


 怪訝そうな顔で出迎えてくれた王は、私のことを覚えてくれていたようだ。


「ジルヴィアと申します、王よ」


「……何の用だ、ジルヴィア」


 これから、王の下で働くことに異存はない。だけどどうしても村のやつらと一緒に働くことは、生理的に受け付けられない。だから私は、王の前に跪き願う。


「王よ、私を貴方の妾にして欲しい」


「……却下だ」


 王の庇護下に入ることで、身の安全を確保しようとする。そんな私の考えなど、お見通しだったらしい。あっさりと断られてしまった。


「……君は、なぜ俺の妾になりたいと思ったんだ」


「……」


 いえない。意地悪な人だ。王に全てを見透かされていたとしても、それを口に出すことは私に残っている、最後のプライドだから。そんな私を見て王は、フッと笑う。


「お前らは本当にプライドが高い」


「……申し訳ございません」


「別に構わないさ。俺の元でも存分に発揮して役に立ってくれ」


「……はい」


 王への謁見は、これで終わり。こうして私は、今までと大差のない生活に戻る。少しでも王の強さの秘訣に触れられればと思ったが、残念ながら叶わなかった。


「……なあ、ジルヴィア。いつかまた、ここに来れる時が来たら、ここに街を作ろう」


「え――?」


「強くなって、強くなって。生き残れたら、ここでまた飯でも食おう」


 いつか、今の自分を乗り越えて強くなったら、もう一度この場所に来て過去の自分を克服する。王はそう仰った。そして王は私が強くなる、その時まで待っていてくれるのだろう。


「……ありがとうございます。いつか、必ず来ましょう」


「ああ、楽しみにしている」


王の強さは、もしかしたらこうした諦めない気持ちなのかもしれない。


 私はこの地を嫌な記憶から、楽しい記憶に塗り替えられるよう努力しよう。そう心に誓った。

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