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いきなり相手が飛び掛かってくる。だが甘い。俺は最近、戦闘狂のドヴェルグ達と模擬戦を繰り返している。その中には我慢できず、いきなり襲い掛かってくる奴だっている。大体そういうやつは『戦場で油断してるやつが悪い』といって悪びれもしない。
そんな態度がむかつくので、俺は右手ですぐに対応することを必死に覚えた。
(まず一人! 二人目!)
あっ
と思った時には既に遅かった。右手の出力が、まだうまく操作できないので、思ったよりも力が出てしまい殺してしまった。この後の交渉に響きそうな気もするが、そもそもこいつらは別にいらないか。そう結論する。
「ま、まて!」
三人目が飛び掛かるときには、既に準備が完了していた剣で対応する。それにしてもこいつら弱すぎる。まるで、自分より強者との戦い方を分かっていない。一斉に攻め込めばいいのに、しり込みをして順番に襲ってくるので、順番に対応すればなんの問題もなかった。
「ぁ……王、様ですか?」
王? いや確かに本気か冗談か分からないが、アルノーは俺のことをそうやって呼ぶときがある。
「……そうやって呼ぶやつもいるが、だったらなんだ?」
別に、俺が呼ばせてるわけではないぞ。あいつが勝手に呼んでるだけだからな。誰に言い訳でもするわけするわけではないが、心の中でそんなことを思った。




