125:元嫁の決意
場所は首都。四芳姿のメンバー以外の立ち入りが禁止された区域。
「もう! 何で『精霊降ろし(Geist)』まで使っちゃったの」
その場所は大きな岩と岩の間にできた空間にある泉。泉に流れる水が川に繋がるその場所は、太陽光が自然と入り込み幻想的な雰囲気を醸し出す場所だ。近くからは川の流れる音が聞こえ、薄暗さも相まって少し物悲しい雰囲気がする。
「……知らない」
そんな場所で話をしているのは、その幻想的な雰囲気に見劣りしないほどの美女と、四芳姿最強のマリだった。
「あんな大勢見ている場所で奥義を使っちゃダメでしょ!」
「なんだか感情が昂っちゃって……」
彼女も、あの場で『精霊降ろし(Geist)』を使う予定はなかった。しかし気持ちを抑えることができずに、自分が今使える最強の技を披露してしまった。
「ま、気持ちはわからないでもないけどねぇ。あんたに酷いことしてた元旦那なんでしょ?」
「うん……」
前世の話を既にしているため、二人の会話はスムーズに進んでいく。
「私は、認めて貰いたかったの。それで褒めてもらいたかったの。凄いぞ、頑張ってるなって」
でも結局、元旦那と同じようなことを彼女はやってしまった。これでは元旦那のことを悪くなんて言えない。
(なんなら前世で一回殺している私のほうが、ヒドイ女……)
前世でもう清算したはずなのに、目の前に元旦那が現れて、気持ちが高ぶってしまった。
「ま、今回はまだ生きてるんだし。次に会った時に謝ればいいでしょ」
「うん……そうだね、セイレーン」
次に会うときには前世に捕らわれることなく、純粋な気持ちであなたと会えるのだろうか。
そんなことを考えるマリを見ながら、水の精霊は彼女に向けてニコリと笑うのであった。




