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肩を攻撃されたことで狙いが少しだけ逸れた。それが良かったのか攻撃は相手の肩から浅く入り即死をすることが無かった。
だが彼女は、この後戦えるまで回復することはないだろう。残念ながら彼女の挑戦はここで終了する。
「はあ、はあ……」
だけどそれは正直、俺も同じ。肩からの血が止まらない。午後から2回戦があるので、なるべく早く治療を受けて体力の回復に努めるべきだろうか。
審判が勝利者宣言を確認して、俺はすぐに舞台から降りる。治療班に先導されながら医務室へ向かった。
(なんとか戦えそうか……?)
治療を終えた腕を動かす、なんとか腕は回るので戦うことはできそうだ。治療班に感謝を伝え、医務室を出で、廊下を歩き控室へ向かう。
「あっ――」
「おっ、と」
曲がり角で女性とぶつかってしまった。フードを被った状態で顔が見えないが声で女性だと分かる。
「すまない、大丈夫だろうか」
「え――?」
手を差し伸べる。
「……大丈夫か?」
いつまで経っても手を取らない女性に戸惑う。そこでようやく気付いたのかコチラの手を取り立ち上がる。
「ありがとうございます。こちらこそ申し訳ございません……」
「ああいや、こちらも不注意だった。すまないね」




