第三章 萌子、高校の統括リーダーになる
やがて私たちは、大日本高校に入学した。
スケバングループのメンバーに、「この高校の不良グループについて調べて。」といきなり暴れるのではなく、慎重に周囲の確認をしていた。
数日後、スケバングループのメンバーが報告にきた。
「二年、三年ともに、不良グループとスケバングループがあり、合計四グループありました。新入生は、まだグループができていませんでした。ただ、それらのグループをまとめている統括リーダーが、この高校に一人いるようですが、誰なのか不明です。」
「わかりました。統括リーダーが指示すれば、それらの不良グループが統合する可能性があるわね。下手な事はできないわね。しばらく様子をみましょう。」と軽はずみな事はしないように指示した。
翌日、二年生のスケバングループが私たちの教室にきた。
「お前、私たちの事を探っていただろう!目的は何だ!」と康子の胸倉をつかんで迫った。
私は里子に先生に知らせるように指示した。
知らせを聞いた担任の先生が教室に来た。
その場は収まった。
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私は帰りに、スケバングループのメンバーを自宅に連れてきた。
「あのメンバーは二年生のスケバングループなのね?」
「はい、リーダー。」
「二年生のスケバングループの帰宅時間、帰り道を調べて。襲うわよ。」とみんな暴れたくてウズウズしていると判断して襲う事にした。
里子が、「康子、あなた目立ちすぎよ。スカートも短くして胸も大きく開いて谷間が見えているじゃないの。見ている私も恥ずかしくなるわ。だから康子の行動が目に付いたのよ。」と分析した。
すみれも、「私もそう思うわ。自業自得ね。」と納得していた。
数日後、私たちは二年生のスケバングループの中心人物だと思われるメンバーを鉄パイプで袋叩きにした。
その事を知った統括リーダーが二年生のスケバングループに指示した。
「お前らのリーダーが襲われた。お前らで決着つけろ。犯人を捜しだして落とし前つけろ。失敗すればお前らリンチするぞ。」
翌日から二年生のスケバングループはピリピリして私たちを捜していた。
康子が私に提案した。
「リーダー、こそこそせずに早くケリを着けましょう。決闘を申し込みましょう。」
「康子、落ち着いて。あいつらに目を付けられているので焦る気持ちは理解できるけれども、決闘を申し込んだら、恐らく二年生の不良グループと三年生のスケバングループと不良グループもでてくるわよ。リーダーは同じだと忘れないで。みんな、康子はあいつらに目を付けられているわ。康子が襲われる前に早くケリを着けるわよ。先手必勝よ。二年生のスケバングループが集まっているところを襲うわよ。どこかで集まっているハズよ。調べて。」と指示した。
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数日後、康子が私にラインで報告した。
「リーダー、彼女らは定期的には集まっていないようです。二年生スケバングループのリーダーが集まるように指示しているようです。」と報告した。
「康子はあいつらに目をつけられているので、すみれと里子で数時間毎に交代しながら二年生スケバングループのリーダーを見張り、彼女らが集まる日時と場所を調べて。」とラインで指示した。
「了解。確かに康子は目立つから見張っている事がばれそうね。」
「二人とも、ごめん。頼んだわよ。」と二人に期待した。
数日後、すみれからラインで連絡があった。
「今晩七時に、渋谷の喫茶店エリーゼに集まるわ。」
「了解。里子と康子も来て。すみれもそこに来て。先日、幹部が襲われた報復として、康子を襲う計画を練っている可能性があるわ。先手必勝よ。今晩襲うわよ。配下のスケバンがいないと人数的に厳しいかもしれないわ。中学生の時の配下で、この襲撃に参加できるスケバンは呼び寄せておいて。」とラインで指示した。
里子とすみれと康子から、「了解」と連絡があった。
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二年生のスケバングループは統括リーダーから、「新入生に強力なスケバングループがいるとの情報を入手した。確認しろ。」と指示されて調べていたが、実態が把握できなかった。
康子の動きから、そのスケバングループのメンバーだと判断して、康子を襲って聞き出そうと打ち合わせするために集まったようでした。
私は全員集まった事を確認すると、「あいつらが喫茶店をでたら尾行するわよ。チャンスをみて襲うわよ。」と指示した。
しばらく尾行した。
「みんな!配下のスケバンを呼び寄せて!厚化粧していなければ目出し帽を被って!襲うわよ。」と携帯で配下のスケバンを呼び寄せて、鉄パイプで襲っていると配下のスケバンが応援に来た。
私は相手が全員動けなくなった事を確認すると、幹部に指示して全員撤収した。
逃げた方向を悟られないようにバラバラに逃げて、あらかじめ打ち合わせしていた場所に集合した。
幹部に一万円を渡して、配下のスケバン達に、「今日はありがとう。今後も協力してくれれば幹部を通じて金銭的な援助はさせてもらうわ。」と今後、統括リーダーとの争いに備えた。
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翌日、統括リーダーの指示で二年生の不良グループが教室を順番に回り、「誰だ!彼女らを襲ったのは!お前か!」と一人一人を問い詰めていた。
康子が、「リーダー、スケバングループの時と同じように、あいつらも襲いましょう。」とラインで提案した。
その後、しばらくラインで話し合った。
「あいつらのリーダーは同じよ。同じ手は通用しないわ。三年が護衛している可能性があるわ。あいつらが私たちの教室で一人一人問い詰めていた時に、向かいの校舎からこちらを双眼鏡で観察していた男がいたわ。私たちをあぶりだそうとしている可能性があるわ。」とお前かと聞かれて、そうだと答える人はいない。その時の動きを確認して、私たちをあぶりだそうとしている可能性があると判断して、不良グループの様子を窺っていると、窓からよく見えるようにしていた。その様子から確認して気付いた。
軽はずみな事をしないように忠告した。
「それじゃ、どうするのですか?」
「あいつらはまた来るわ。その時に、見つからないようにカーテンの隙間から確認して、こちらを覗いている人物がいれば、すみれが先生に覗きがいると通報して。その後、里子が先生を尾行してその人物を特定して。」と指示した。
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翌日、再び不良グループが教室を順番に回って生徒を問い詰めていた。
不審な動きをする生徒を捜して私たちをあぶりだそうとしているようだ。
作戦通り、すみれが先生に知らせて、里子が先生を尾行した。
しばらくすると里子が、「リーダー、わかりました。三年四組の牛島です。下の名前は、わかりませんでした。」とラインで報告した。
「二年生の不良グループの護衛はしていると思うが、三年生の牛島の護衛はしてないと思うわ。彼の行動を調べて。恐らく塾に通っていると思うから、その帰りを襲うわよ。」と指示した。
「なぜ帰りなのですか?行きは何かあるのですか?」と確認した。
「間に合うの?私たちも一旦帰宅して、着替えて厚化粧してから出かけるのよ。それに時間的に帰りのほうが、目撃者が少ないと考えられるからよ。足腰立たなくしてしまいなさい。」とスケバングループの疑問に答えた。
スケバングループ全員で牛島の行動を調べて塾の帰り道を襲った。
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牛島が襲われたと報告を受けた不良グループの統括リーダーが、各学年の不良グループに指示を出した。
「お前ら、やられてばかりじゃないか!二年生の不良グループで再度、各クラスに聞き込みに行け。三年生は放課後の二年生の護衛をしろ。今まで俺たちに逆らう者はいなかった。恐らく新入生だ。警察を手玉にとった謎のスケバングループの可能性が高い。油断するな。謎のスケバングループを倒せば特別ボーナスを渡すぞ。」と指示した。
翌日、二年生の不良グループが各クラスをまわり問い詰めていた。
その様子を確認した康子が、「リーダー、あいつらも襲いましょう。」と進言した。
「同じ手は通用しないわ。罠の可能性があるわ。あいつらの行動パターンは先日調べたわよね。父に頼んで警察を動かすわ。明日、私の自宅で勉強会するわよ。帰り道に、あいつらと遭遇するように私の自宅を出て近くを通るのよ。警察が近くにいるから間違っても争わないように防御のみにするのよ。近づく時は、相手が襲われそうだと勘違いさせるように思わせぶりな接近をするのよ。」と指示した。
全員、納得して帰った。
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その晩、父が帰ってくれば、「明日勉強会をするけれども、私たちの高校の生徒が何人か不良に襲われているのよ。昨日、勉強会の帰り道に里子がストーカーされたのよ。怖いわ。警察に護衛してもらえないかしら。」と頼んだ。
父は、一流高校に入学した自慢の娘が心配で快く引き受けてくれた。
翌日、父は私たちの事を心配して早く帰ってきた。
お手伝いさんが、「お帰りなさい、旦那様。」と出迎えたので、父が帰ってきた事に気付いた。
「父が帰ってきたわ。私たちの事を心配していたから、様子を見に来る可能性があるわ。康子、さぼってないで真面目に勉強して!膝は立てないで。スカートが短いからパンツ見えているわよ。」と化けの皮がはがれないように慌てて指示した。
予想通り、父が私たちの様子を見に来た。
「お父さん、今日は早いのね。もうしばらく勉強会をして終わるわ。」
「そうか。警察に確認すると、確かに最近不良グループに大日本高校の生徒が襲われているそうですね。今日の帰りは、皆さんにも気付かれないように護衛してくれます。帰り道を教えたから、君たちの前後左右に刑事数名がいます。その刑事が指示すれば、警官隊がすぐにこられるように、遠巻きに護衛しています。安心してください。」と安心させた。
「ありがとう、お父さん。」と不良グループを叩き潰すチャンスだと喜んだ。
「それでは、みなさん、勉強会を頑張ってください。」と私たちが襲ったスケバングループだとも知らずに退室した。
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父が去った事を確認すると、「みんな、予定外でしたが、父が私たちの勉強会の証人になってくれるわ。今日の帰りに襲われたら、警察があいつらを逮捕してくれるわ。父があいつらを厳罰に処するように警察に圧力をかけるわ。あいつらと一緒に検挙されたら父の名前を出して、文部科学大臣が証人だと証言して。父に頼んでおくから。」と指示した。
康子が、「しかし、私たちが襲われる確証もないのに、よく警察のこれだけの人数を動かせるわね。さすがリーダーの父親だけの事はあるわね。」と感心していた。
里子が、「それもあるでしょうけれども、私たちにも気付かれないように護衛する事から考えると、警察は私たちを囮にしようとしているだけじゃないのかしら?」と予想していた。
「そうかもしれないわね。とにかく予定通り、襲われたら争わずに防御のみにするのよ。あいつらを叩き潰すチャンスよ。」と指示した。
警察は、高校生が何人か襲われていて数人は入院までしているので、傷害事件として捜査したが襲った人物については不明でした。
警官隊の手配もして婦人警察官が囮になる準備をしていたが、里子がストーカーされたと聞いて、次のターゲットの可能性が高いと判断して、婦人警察官ではなく私たちを囮にする事にしたようだ。
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やがて勉強会も終わり、スケバングループは私の自宅を出た。
帰り道、スケバングループは二年生の不良グループに思わせぶりに近づいた。
暗かったのでスケバングループが襲ってきたと勘違いして、二年生を護衛していた三年生の不良グループとスケバングループが襲ってきた。
父から依頼された警察が取り囲んで全員逮捕した。
思わせぶりに近づいた様子から勘違いされて、私たちも検挙された。
私のスケバングループのメンバーは、「私たちは違うわ。そうだ、文部科学大臣の自宅で勉強会をしていると、文部科学大臣が様子を見に来ました。文部科学大臣が証人よ。確認して。」と訴えた。
私たち三人は別室に移された。
警察から事情を聞いた父に私がどうしたのか確認した。
精神的ショックを受けている芝居をした。
父はその様子を見て、私と一緒に勉強会をしていた親友が間違いとはいえ警察に検挙されると、私の精神的ショックを心配していた。
「大丈夫だ、萌子。私に任せなさい。」と娘の為に、すぐに警察に向かった。
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警察に到着した父が、「彼女らは間違いなく娘と勉強会をしていた。私がこの目で見たから間違いない。連れて帰るぞ。」と証言した。
担当刑事は、「彼女らが、この乱闘に加わっていなかったか確認して・・・」と確認作業が必要だと交渉していた。
父は、「持っているのは武器ではなく勉強道具ではないか!ノートでは人は襲えないだろう。ノートで乱闘に加わったとでも言うのか!彼女たちは被害者だぞ!馬鹿者!」と頭に来ていた。
担当刑事が、「持っているのは勉強道具だけではなく、化粧道具・・・」と勉強会に不必要なものも持っている事を説明しようとしていた。
ついに父は切れて、「化粧道具で人は襲えないだろう!どうやって口紅で人を襲うんだ!化粧道具は女性の身だしなみだろう!もういい、警視総監に電話する!」と激怒して、携帯を取り出していた。
父が激怒していたので担当刑事は慌てて私のスケバングループメンバーを即時釈放した。
父の秘書が車で自宅まで送った。
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翌日、娘がかわいい父は警視総監に怒鳴り込んだ。
「真面目に娘と勉強会をしていた生徒を襲うとは何事だ!一つ間違えれば私の娘も襲われていたかもしれないじゃないか!厳罰にしろ!そんなやつが日本をダメにするんだ!」と激怒していた。
父は高校にも怒鳴り込んだ。
職員会議で、「橋田文部科学大臣のお嬢様と一緒に勉強会をしていた親友が帰り道に襲われて、文部科学大臣が厳罰にしろと激怒している。退学処分にしないと、相手は文部科学大臣だからわが校も無事では済まない。それに、全員少年院送りになったようだ。文部科学大臣が厳罰にしろと激怒していた事が要因の一つらしい。相手が悪かったとあきらめるしかない。」と結論がでた。
逮捕された不良グループは全員退学処分になった。
少年院送りになり退学になったので、やけくそになり統括リーダーが誰なのか警察に白状した。
財閥の御曹司で、彼もまた不良グループを金銭で操っていた。
統括リーダーも警察に逮捕され、高校は退学になり少年院送りになった。
財閥のドラ息子で、父親が大金を積んで裏口入学させていた。
頭はあまり良くないので、参謀の里子がいる萌子のスケバングループには手も足も出なかったようだ。
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私は高校にスケバングループや不良グループの残党や他のグループがいないか、スケバングループに指示して調べさせた。
一年生に、不良グループができ始めていた。
私たちはそのグループを襲った。
「統括リーダーに挨拶なしで勝手に不良グループを作るな!」とすべてのグループをつぶした。
いつの間にか、私がこの高校の統括リーダーになっていた。
やがて以前のように、スケバングループの幹部には数人のスケバンがメンバーとして加わった。
どうやら、警察を手玉にとるほどのスケバングループなので、そのスケバングループに所属すれば怖い者なしと判断したようでした。
次回投稿予定日は、5月8日を予定しています。