草原 風吹き渡る、天女との思い出
この作品は仙道アリマサ様主催企画「仙道企画その3」参加作品です。
その参加作品の一つです。
私の故郷は草原が広がっていました
見渡す限りの草原
いつもそこで私は寝そべって過ごしていたんです
あの日まで
あの日、天女と出会った
笛の音色がし、何処からか音楽が聴こえてきた
タン、タン、タンとリズムが響く
風が強く吹くと
目の前に光が差した
眩しくて
眩しくて
一瞬だけ
自分が何処に居るか分からなくなったのです
次に目を開くと
そこはいつもと同じ草原
ではなかった
草原の真ん中に
木で組まれた舞台があった
そこで数人の女性が舞を舞っている
タン、タン、タン
リズムと笛の音色が響く中
女性たちは舞を舞う
おかしいと思ったのは
女性たちが本当の軽やかに舞うので
足元を見たからだ
女性たちは
宙を舞っていた
「嗚呼、天女様なんだ……」
呟く私に
こちらへおいでと
天女の一人が誘う
優しい天女様
しなやかな指が
私の手を取る
それから数刻
私たちは舞を舞った
楽しい時間
心躍った時間
心解放された時間……
気付くと
私は泣きながら
草原の真ん中で
立っていたんです
空は青く晴れ渡っていました
風は優しく
私の頬を撫でてくれていました
私が
草原を旅立ったのは
それから間もなくのことです
天女様を探す旅
そのスタートは
この風吹き渡る草原での出会いがきっかけ……
お読み下さり、本当にありがとうございました。
今回、草原と海、両方の天女が登場するそんな作品を書けましたこと、仙道アリマサ様には厚くお礼申し上げます。
ありがとうございました……。