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LASTDAY  作者: 杉田健壱楼
三章 大陸大戦
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八十九話 異常者

「あ、メジロの爺さんやられやがった...」

余所見よそみしてるんじゃねぇ、ダボが!」


 ヤマトが若者に刃を振るう。


「ウォルコムさんがいない中、僕がどう足掻いても一緒かな」


 若者は軽くヤマトの剣を受け流してみせた。ヤマトはこの時点で直感的にこの若者も猛者なのだと気づいていた。


「一度距離を取って立て直すのが賢明かと思いますが、それでも突っ込んでくるのは何かの策ですかな?」


 若者がそう呟いた瞬間、背後からヤマトの分身が踊りかかる。


「口ばっかり動かしてるから、こんな初歩的なことに気づけないんだぜ」


 ヤマトは若者を空中に蹴り上げる。その刹那、若者は余裕の笑顔を見せた。


「気づいているさ」

「ならこの状況どう切り抜ける、無双一閃!!」


 ヤマトが仕掛けた挟撃はタイミングも完璧であった。この一騎打ちに終止符が打たれたと思われたその時、ヤマトは姿を消した。ゆっくりと余裕の笑みを見せながら着地する若者。周りの将軍達は何が起こったのか理解できなかった。


「ヤマトというやつも口ほどに大したやつじゃないらしいな。敵をみくびったからああなるのだ」


 イーブルは若者を睨んだ。


「どのようなカラクリだ?」

「さあな...貴様に教える義理はない」


 ヤマトの次はイーブルだと言わんばかりに、若者は襲いかかってくる。イーブルは、それを片手で制止した。


「待て。こちらは6人。貴様は1人だ。ここは穏便にどうだ?勝ち目はないぞ」


 若者はその発言を聞き、高笑いを始めた。


「はっはっは。面白いことを言う。勝ち目がないだと?僕は勝ち目のない戦には興味がないのさ。僕の名前はガーナー・ゴッドバルド。まさか、名前を知らないわけがないだろう?」

「知らぬな...私の勉強不足かな?実力を過信している人間というものはいとも簡単に負けるものだ」


 イーブルはあえて挑発してみせた。イーブルはガーナーの名前を知っており、その時点で彼が虚勢を張っているわけでも、大見得を切っているだけでもないことを理解していたのだ。


「勉強不足だな。僕は貴様のことを知っているというのに...イーブル・クロックさん?」

「...来るぞ!」


 イーブルはガーナーに目も合わせず、剣を構えた。他の5人も同様に、ガーナーを迎え撃つ。


「物質形成硝子繊維(グラス)


 ガーナーは透明な粒子を変化させ、多数の刃物を出現させた。


 それに対してイルゼは高笑い。


「まさか硝子がらすで私達に傷をつけられると思っているのか、舐められたものだ!!」

「その油断が命取りですよ、お嬢さん」


 突進してくるガーナーに対してイルゼは暗黒空間(ダークネス)を展開し迎撃体制に入った。


暗黒空間(ダークネス)、ナイトメア以外も使えるのは予想外だったかな」

「暗視効果を付与すればこんなものなんて事はありませんよ。それに貴方ではこの空間長時間の維持は厳しいでしょう?」


 ガーナーは展開していた硝子がらすの刃物を縦横無尽に放った。


(やはり見破られている。しかしこの程度なら)


 イルゼは軽く攻撃を受け流した。


「やはり、攻撃に効果がありませんね...」

「投降するなら命だけは取らないぞ」

「ご冗談を、しかしベッジハードの方々は本当に面白いですねぇ」


 イルゼは眉間みけんにしわをよせて、ガーナーを問い詰める。


「何が言いたい」

「いえ、私の認識ですと暗黒空間(ダークネス)を使うと空間が隔離され、お仲間の手が届かなくなるのでは...と思いまして」

「それがどうした」

「仲間の助け無しに自分一人で私を始末するという匂いがしてならない、自分を過信しすぎなのでは?」


 静寂とした空気が流れる。


「口を閉じろ、貴様の様な哀れな教徒如きに屈する私ではない。宗教家は何らかの精神異常者という認識だったが間違っていなかったようで安心したよ」

「貴様...我が神を愚弄したか!!!」


 先程まで冷静だったガーナーの顔が紅潮し出した。眉間の皺が濃くなり、全身の血管が浮かび上がるほどに激昂している。


「私を怒らせたもので、現世にとどまったものは誰1人としていないことを知らなかっただろう!可哀想にな!」


 イルゼは頭上に気配を感じた。気づいた時には手遅れであった。


「!?」

「物質形成|鉄塊」


 巨大で、無数の鉄の塊が、イルゼを押し潰さんと雪崩れ込んでくる。


「はーっはっはっは!!!神のお導きだ!お前は死ぬのだ、ここでな!」


 鉄塊が轟音を立てながら雪崩落ちる。ガーナーの高笑いすら完全にかき消えていた。


「油断は禁物ですぞ」


 イルゼがうっすら目を開けると、アーロンの結界が鉄塊を食い止めていた。


「その女だけはなんとしてもこの私が倒す!貴様...邪魔をするな!」


 ガーナーが雄叫びをあげてアーロンに飛び掛かるが、後ろから飛び出てきたファインに弾かれた。


「チィッ!」


 大きな舌打ちを聞き、イーブルが得意げな笑みを浮かべた。


「言っただろう?6対1では貴様に勝ち目はない」

ご覧頂き誠に有難う御座います


今後も宜しくお願いします

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