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LASTDAY  作者: 杉田健壱楼
三章 大陸大戦
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七十六話 出征と開戦

 マックス率いるベッジハード軍は謎の男による行軍妨害を受け大幅な遅れを取りながらも、コルットラー王国に到着した。


「...やっと着いたかのか?」


 ヤマトは到着するまでの時間、魔物の引く馬車で睡眠を取っていたのである。


「着いた...んだが、これはどう言う状況なんだ」


 キングダムが見た光景は、メテオ軍がコルットラー王国国境付近に駐屯してる様子であった。


「貴様等、何処の所属だ答えろ」


 メテオ軍人がキングダムに無粋な態度で問う。


「何だ、その態度...」

「落ち着けキングダム」


 マックスがキングダムを宥め、問いに答える。


「私達はベッジハード大帝國所属の国軍である。コルットラーからの救援要請を受け、この地に来た。そう言う貴殿等は?」

「我等は憲政メテオ連邦所属の国軍。同盟国のコルットラーが攻撃を受けているという事で救援に来た次第だ」

「メテオが、我等より先に...まぁいい。其方達の上官に会わせてくれ。一度軍議を開くとしようじゃないか」

「分かった、そのように上のかけあってみよう。では将軍達だけついてこい。その他軍は一度ここに駐屯させるように」


 狂神五人衆全員がメテオ軍人の態度に不満の念を抱いたが、口には出さなかった。


 そしてマックス達は上官達の集まるリベルン砦の大広間に通された。


「これはよく来てくださいました。マックス殿...」


 マックスはオリオンの発言を遮って、オリオンの胸ぐらを掴んだ。


瞬間移動テレポート防止の結界を解除しなかった事について説明してもらおうか」

「...何の事でしょうか?私共には検討がつきません。ベッジハードの皆様とはエース様宛に連絡を取ったきり連絡がつかなくなったので、てっきり既にこちらに向かわれてるものだと...勿論結界は解除しましたよ」


 マックスは怒髪天を突く勢いで怒った。


「この後に及んでとぼけるか!!」

「まぁ、そう怒るなマックス。今何を言っても状況が変わるわけではないだろう。とりあえず軍議を開くのが先だ。お前のせいでホムズ殿も怯えているではないか」


 マックスはキングダムに宥められて落ち着いた。そしてキングダムに言われたとうり、ホムズの方に視線を移すと確かに怯えていた。


「皆の衆、すまない。少し取り乱した軍議を始めよう」

「我等を忘れないで頂きたいですね。ベッジハードの皆さん」


 こう言ったのは援軍総司令のアーロンである。横には不気味な様子の副司令レイファもいる。


「メテオの方々かな?」

「そうです。私が総大将のアーロンと申します。戦況だけ報告しますとミコルは思ったより手強い。舐めてかかっては痛い目をみますので、ここは協力して戦わねばなりません」


 アーロンの落ち着いた話し方が、マックスをさらに苛立たせた。しかし、マックスも大人である。流石にここで怒鳴り散らしたりはしない。


「そうか。情報、感謝する。だが、お前達の兵は疲弊しているだろう。ここは俺たちに任せ、一度後方で休息を取るがいい」

「ですが...」

「心配など無用、大陸最強の俺の軍がミコルごとき小国に手こずる理由はない」


 邪魔をするな、そう言っているのである。アーロンはなおも説得しようとしたが、レイファに止められた。


「では、これにて失礼する」


 アーロンが止めるのも無視して、マックスは足早に軍議の場を去っていった。


「レイファ殿...何をなさるのですか。前線で戦っていたあなたならわかるはずです。ミコルはただの小国ではありません」

「その通り、ただそれは我らも戦って初めてわかったことだ。奴らも戦えばわかる」


 レイファの対応は冷たい。総大将であるアーロンに敬語すら使わないのだ。


「それに、今奴らは本気で我々の協力が必要ないと思っている。そんな奴らと共闘しても足並みが揃わず、より被害が拡大するだけだ。せっかくの申し出だ、俺は少し休ませてもらうよ」


 レイファはそう言うと、前線の部隊をとっとと引き下げに行ってしまった。アーロンも、これ以上の説得は無駄だと感じ、とりあえず軍を後方まで移動させ、英気を養わせることにした。




「全く腹立たしい奴等だな。ガンツ」

「あぁ、メテオ風情が俺らに命令するとは、腹立たしい事この上ない」


 ガンツとマックスがメテオの愚痴を溢しながら、自軍の待つ駐屯地に向かっている時、オリオンが息を切らしながらマックス達を呼び止めた。


「マックス様、お待ちください!!」

「オリオンか、何をそんなに急いでいる」

「まだ詳しい戦況を聞いていないではありませんか!!」


 マックスはオリオンの方に向き直って、答える。


「安心しろ。既にホムズから思念交信メッセージで連絡を受けている」


 そう言って、そそくさとマックス等はその場を去った。


 そして駐屯地に帰ったマックスは、全ベッジハード兵を整列させた。


「ベッジハード兵諸君。先程軍議が終了し、意向が決定した。それを伝えたいと思う」


 ベッジハード兵はマックスに真剣な眼差しを送る。


「我等より先に到着したメテオ軍と駐屯していた電撃部隊により、戦況は停滞状態に持ち込んだと報告があった。ただいつ相手が仕掛けてくるか分からない状況である事は変わらない。メテオ軍は我等が到着した事により、一時撤退するという事だ。敵は未知数の宗教勢力、気を抜く事は許さん。武功をあげたものには階級の昇級と褒美を授ける事を約束しよう。皆の者、心してかかれ」


 マックスの言葉によってベッジハード兵の士気は大幅に上昇し、各自持ち場につき出征の準備が行われ始めた。


 続いてマックスはサザンクロスとルードを呼び出した。


「サザンクロス、ルード」

「「はい。何の用でしょうか」」

「若鷲部隊と荒鷲部隊は本軍の別行動を取ってもらう」

「と言いますと?」


 サザンクロスが疑問の眼差しを向ける。


「若鷲部隊は取り残された電撃部隊の救出、援護にあたり撤退の手助けをしろ」

「御意」


「荒鷲部隊はシュライドに行き、この手紙を渡せ。シュライドに着くまで決して見てはならんぞ」

「その後の指示については...?」

「行けば分かる」

「御意」


 一方その頃、最前線では電撃部隊にベッジハード軍到着の報と撤退命令が届いた所であった。


 現在電撃部隊の総統、幹部全員が不在の為、戦地では幹部の直属の部下が指揮を取っているのである。


「ベッジハード軍が到着したぞ!!」

「やっとか、メテオに遅れを取るとは何事だ」


 こう言ったのは、今作戦の指揮を取っているジャックザールの配下フェルディナント・ニミッツ、電撃部隊少佐に位置する人物である。


「後でマックス様から詳細を聞けば良いニミッツ。今はそれより奴等が動いていないうちに、入れ替わりの準備を進めろ」


 それに対して同じく電撃部隊少佐のオットー・シェルミナーがニミッツに提言する


「分かっている。撤退の準備はもう出来ている。後は入れ替わりの軍を待つだけだ」


 そんな話をしていた時、臨時拠点に緊急の知らせが入った。


「急報!敵襲、各自第一種戦闘配備」

「「何、ミコル教徒か!?」」

「はい。ニミッツ少佐、シェルミナー少佐お急ぎください!」


 停滞状態だった戦場がミコル教徒により再び火蓋が切って落とされた。

ご覧頂き誠に有難う御座います。

今後もご愛読の程、宜しくお願いします。

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