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LASTDAY  作者: 杉田健壱楼
三章 大陸大戦
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七十三話 侵攻と開戦

 コルットラー王国、首都レーツェル。その中央にはアストルム城という王城がある。豪華絢爛というわけでもないが、王城というだけあって堂々とした作りである。


 その王城の玉座の間にて、ホムズが王に報告をしていた。


「ハイドリヒ王、国境付近に敵影はなく、国民の反乱もありません。全てにおいて異常無しです」



「ご苦労、ホムズ。やはりナイトメア様の言う通りだったな。不況だったこの国の経済を立て直すべく、まず国境付近に多数の要塞を建築、これを失業していた国民等に仕事として与え、経済を回す政策、感服のいたり。次に関所を配置し、通行人から関税をとり、商業施設を増やした。これによってコルットラーでの商業を活発化させ経済を加速させた。ナイトメア様には感謝しても仕切れないな」


 ホムズは首を縦に振りながら同意する。


「私もそう思います。軍事面に関してもナイトメア様が運営される電撃部隊を駐屯させて軍事力を増加させるという...ナイトメア様には頭が上がりません」


 そんな政策運営の話をしていた時、オリオンが息を切らしながら玉座の間の扉を叩いた。


「失礼します、ハイドリヒ王」

「どうしたオリオン、そんなに急いで」

「報告させて頂きます。神聖シュライド王国の分裂国ミコルが我がコルットラー王国に攻め入ってきました。現在電撃部隊と自軍が防衛にあたっています」


 ハイドリヒ王とホムズは驚きを隠せなかった。


「どうしたら良いのか...」


 しかし、ホムズは冷静な対応を取って見せた。


「このタイミングで攻めてきただと...宣戦布告はあったのか?」

「なかった」

「となれば、ベッジハードに至急連絡を取れ。ナイトメア様にも救援要請を」

「分かった」





「コルットラーが攻撃を受けているとは、どういう事ですか?」

「現在ミコルがコルットラーに宣戦布告無しで侵攻している状況で、電撃部隊とコルットラー軍が防衛にあたっているとの事です」


 ベッジハード帝都『ヨルムンガンド』その中心にそびえ立つ王城『シュヴァルツ』の玉座の間でこの知らせを第一に聞いたエースは驚きを隠せないでいた。


「戦線の状態は?」

「現在駐屯していた電撃部隊のお陰で何とか戦線は定着状態に持ち込めています。ナイトメア様及び、幹部が不在の今、電撃部隊の指揮権はエース陛下にあります。ご指示を」

「ナイトメアと連絡は取れないのですか?」

「はい。コルットラー側からも連絡はしてみたのですが、通じないそうです。その他幹部も音信不通のようでして」


 電撃部隊の隊員が報告をしに来て指示を仰いでいる。この状況下での最善の選択肢をエースは考えているのである。


「分かりました。私が指揮を取ります。

まず、総大将をマックスに置き、ベッジハード軍をミコルへ出征させてください。マックスの指揮下に狂神五人衆を置き、副将にキングダムを置きます。電撃部隊は引き続き戦線に残り戦闘に従事してください。ナイトメアと連絡が取れ次第、電撃部隊の指揮権はナイトメアに返上します。敵は宗教集団、油断は許しません。心してかかりなさい」

「御意」


 この件がマックス、狂神五人衆の耳に入るのは早かった。流石は電撃部隊と言ったところである。


「エース陛下の指示は伝えましたので、宜しくお願い致します」

「報告御苦労、下がって良いぞ」


 そして隊員はマックス達がいる部屋を後にした。


「コルットラーがこのタイミングで侵攻を受けるとは予想外だな」

「良いじゃねぇかよ。あんなの属国だし、大した価値もないだろ」


 ヤマトは何も考えずに発言している様子である。それを見てマックスは呆れながら説明する。


「コルットラーは立地、資源共に重要な場所だ。そう簡単に見捨てると言うわけにもいかんのだよ、ヤマト」

「へー。立地ったらあれか、メテオとシュライド辺りを分断してるって所か?」

「そうだ。ちょっと考えたらお前でも分かるじゃないか、今度から言いたい事があっても少し間を置いて発言してみろ。少しはマシになると思うぞ」

「マシ...?」


 ヤマトは理解してない様子である。


「とにかくだ、久々の戦、心して懸かれ」

「おう。それは良いんだがタチャンカ不在だぞ」

「キングダムが居るから良いではないか」

「それもそうだな」


 そしてマックス率いるベッジハード軍はミコルに向け出征を開始した。


 一方、コルットラーの前線では兵士達が不満の声を溢していた。


「ナイトメア様は何をしてるのだ...!!」

「音信不通だそうだ。きっと何かの策が...」

「あるわけ無いだろ!!本国からこの地に左遷させられてからずっとそうだ...」

「貴様、それ以上言うな不敬だぞ。もし言うなら粛清せねばならない」

「しかし、この状況で幹部一人も来ないとは何事だ。コルットラーは立地的にも絶対防衛圏に入ってるはずだぞ」

「しのごの言わず、今は耐えるんだ。そうすれば必ず我等の勝利は見えてくる」


 そして今、急報が入った。


「おい、本国からの援軍がこちらに向かってるぞ。総大将はマックス大元帥だ!!」

「な?待てば良いんだ」

「あぁ...悪かったよ」

「よしお前等、あともう一踏ん張りだ。ベッジハード大帝國万歳!!」

「「「万歳!!」」」


 兵士達の士気は一気に向上した。

ご覧頂き誠に有難う御座いました。今後もご愛読の程、宜しくお願いします。

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