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LASTDAY  作者: 杉田健壱楼
二章 平穏
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三十七話 反省

「ナイトメアが私に過去の話をしたがらない理由が分かった気がします...」


 クロノスがエースにそう言う。


「ナイトメアの性格の都合上、私に叩きのめされた事は恥ですから、恋人である貴方には言いたくなかったのでしょうね。この後の話もした方が良いですか?」

「いえ、もう大丈夫です。その後の話はナイトメアから聞きたいので。態々お時間を割いて頂き有難う御座いました」


 クロノスは満足そうだ。


「力になれたのなら何よりです。今後もナイトメアを宜しくお願いしますよ」


 エースが言い終わると、クロノスはさっと頭を下げて部屋を出た。向かう場所はもちろんナイトメアの部屋だ。


 一方その頃、ナイトメアは自部屋のベットに実体化して倒れ込み、意気消沈していた。そんな所に上機嫌なクロノスが帰ってきた。


「ナイトメア!!エース様が許してくれたよ!!」

「....」

「ナイトメア?」


 クロノスがナイトメアに問い掛けるが、一向にナイトメアの反応がない。


「ナイトメア!!!!」

うるさい、聞こえてるわ!!」

「じゃあ何で無視するのよ」

「だって、お前に会わせる顔がないからな...」

「珍しい、ナイトメアが反省してる」

「悪いか!」

「成長したなって...思ってさ...嬉しいんだよ」


 クロノスは涙ぐみながら、ナイトメアを抱きしめた。


「一つ、前から聞きたい事があったんだが、聞いても良いか?」

「いいよ」

「こんな性格で、ましてただの感情の宿った思念体を何で愛してくれるんだ?」

「私には、貴方に返しきれない恩がある。それに命の恩人を好きになっちゃ駄目?」


 ややあってからナイトメアが返事した。


「...有難う」


 ナイトメアは久しぶりに心の底から喜んだ。


「何か不満とかはないか?性格面は出来れば言わないでほしいが」

「強いて言うなら...その....できない事かな.....」

「できないとは具体的に何か教えて欲しい」


 クロノスは顔を赤くして言った。


「言わないと駄目?」

「言わなかったら分からないからな」


 クロノスは小声で呟いた。


「....子供が欲しい」


 その言葉を聞いた瞬間ナイトメアは呆気に取られた。


 ナイトメアに性別はない。ましてや性欲などあるはずもない。子どもを作るどころか、生殖活動そのものができないのである。


 しかし、クロノスは諦めきれていなかった。


「無理難題を言われてもな...」

「そうだよね...ごめんなさい。無茶言って」

「そう落ち込むな、何か良い案を出してくれるさ」


 そんな話をしているといつも首を突っ込んでくる人物がいる。イルゼである。なんと今回の騒動を聞きつけ、何を想像してかイルゼは極小で殆ど見えないサイズの魔物をナイトメアの部屋に忍ばせ、ナイトメアとクロノスの話を聞いていたのである。


 しかしそんな事を二人が知る訳もなく、事は進んでいく。


 そしてイルゼは勝手に瞬間移動テレポートを使いナイトメアの部屋に入ってきたのである。


「やあやあ、お二人さん、いきなり悪いね」

「イルゼ、まさか話を聞いていた訳ではあるまいな?」

「さぁ、何のことかな」

「白々しい奴め、お前が勝手に私の部屋に入ってくる事はもう慣れた。怒りの気持ちも、もう無いわ。で本題はなんだ?」


 イルゼがポケットから魔法石を取り出し、魔力を注いだ。するとナイトメアの目の前に地図が出てきた。


「ここのメテオ領とベッジハード領の境目にある村にね、どうやら貴方が前々から探してた物が発見されたみたいだから、報告しにきてあげたのよ」

「はぁ...タイミングをもう少し考えて欲しかったものだが、感謝する。すぐに向かおう。クロノス、この話はまた今度という事で」

「...うん、行ってらっしゃい」


 そう言ってナイトメアは瞬間移動テレポートでその村に向かった。


「まぁ...嘘なんだけどね」


 イルゼがそう呟いた。

LASTDAY37話「反省」をご覧頂き誠に有難う御座います。

今後も御愛読の程宜しくお願いします。



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