二十三話 試み
そしてナイトメアはイルゼに今までにあった事の顛末を話した。
「あー...お決まりのやつね...」
イルゼはナイトメアに少し同情の素振りを見せた。
「全く酷いものだ。不可抗力とは言えど、何も神秘的月光を使わなくても良いではないか。特に私が神秘的太陽光と神秘的月光だけは絶対に喰らってはならぬのは、お前も知ってるだろ?」
イルゼが頷いた。
「あー、それぐらいは知ってるよ。私も同じく神秘的太陽光と神秘的月光を喰らったら死んじゃうもの。闇の力を光によって浄化する力なんだから。まぁでも今回はナイトメアに非があるわけだから仕方ないね。事を営んでる時にノックもせずに部屋に入ったら、そりゃ激怒するでしょうね。しかしあの二人がね...」
イルゼが笑みを浮かべていた。それと同時にナイトメアが暗い声で返事をした。
「嗚呼そうだな...しかし上官に攻撃を...まぁいい。こんな愚痴を聞かせてしまってすまんかったな、本題に入ろう。これは誤解だということを彼女達に伝えて欲しいのだ。変な噂を流されて私の品位が落ちたら困るからな」
イルゼが答えた。
「分かった。けどナイトメアも丸くなったね。昔のナイトメアなら不問になんかせず"自分に攻撃した事は国家反逆罪だ!"とか言って彼女達を処刑してたと思うよ」
ナイトメアがイルゼを黙って凝視する。
「まぁいいや、この借りはいつか返してもらうからね」
そう言ってイルゼはナイトメアの部屋を出た。
「さぁ、行きますか」
イルゼは友人であるエリカに思念交信を行使した。
「エリカ、今大丈夫?」
「どうしたの、イルゼ?」
流石はエリカ、返事が早い。
「イルゼから連絡とは珍しいね、どうしたの?」
「いきなりで悪いんだけど、メアリーちゃんとアンちゃん知らない?」
エリカがイルゼの問いに答える。
「あぁ...あの2人なら確かエースを探してたから、玉座の間辺りにいると思うけど、詳しい場所は分からないわ。力になれなくて、ごめんなさいね」
イルゼが返事をした。
「全然、教えてくれて有難う。またお茶会でもしましょうね」
そう言いイルゼはエリカとの思念交信を終えた。
「これは不味いわね...エースの元にあの二人が行ったら面倒臭い事になる。急がないと」
イルゼは玉座の間に瞬間移動した。
「エリカの言う通り、やっぱりここにいたか」
玉座の間の前でメアリーとアンが何か話している。
「アン...そんな怒らなくても...ここ玉座の間の扉の前だし...」
アンが怒鳴ってメアリーに訴える。
「あの思念体がノックもせずに入ってきて私達のシている所を見たのに逆に何で怒らないの!!この事をエース陛下に直訴してあの思念体を...」
アンから言ってはならない言葉が出そうになった時、イルゼがその会話を止めに入った。
「ちょっと待った、それ以上は言っちゃ駄目」
イルゼはここからアンに対し説得を試みるのであった。
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