二十二話 死の瀬戸際
「.......ぇ?」
時が止まったような沈黙。やがてメアリーは自分が今どのような状況にあるか理解して気絶した。無理もないだろう。上官に愛し合っている所を見られたのだから。しかしアンは烈火の如く怒っており、攻撃を仕掛けた。
「神秘的月光!!!!」
神秘的月光とは闇の力が強ければ強いほどダメージを与えることができる月光を放つ技術である。ナイトメアが食らえばまず間違いなく死んでしまうだろう。
「待て!!誤解...」
ナイトメアは咄嗟に防戦に出る。
「暗黒空間!!」
これはナイトメアの力の源、暗黒物質を一定範囲に撒き散らして、暗黒空間を作り出し光を完全に遮断するというものだ。弱点としては一定範囲でしか使えない事と、聖属性の力が強大なものに対しては効果を示さない所である。何故なら一瞬で浄化されてしまうからだ。これにより一瞬ではあるがアン、メアリーは闇に包まれた。
「くっ..何も見えない...しかしこんな物!!!」
アンの技術の行使により、暗黒空間は一瞬にして消え去った。それと同時にナイトメアは優美の間から消え去った。
「いない!何故!!どこに行った!!」
「こんなに上手く行くとは...しかしこの怒りよう相当なものだな、ならば少し時間をおくのが得策か」
ナイトメアはこう思い、一時自室に帰る事にした。
こうしてナイトメアは優美の間から姿を消したのである。
「ふぅ...危なかった。今回は私に非があるから不問にしよう。しかし、いくらなんでも上官を殺しにかかるとは...これはエースの神秘的太陽光より危険だ。こんな事があるかもしれないから、あれ程先に専用の技術除外指輪を作っておけと言ったのに...こんな事が誰かに広められて私の品位が落ちても困る。どうしたものか...」
ナイトメアが悩んでいるとナイトメアに一件の思念交信が入った。
「ナイトメア?おーい?」
(この憎たらしい声は...やつか...)
「なんだ、イルゼか、どうした?」
ナイトメアは怠惰な返答をした。
「なんだい、そのやる気のない声。せっかく久々に君の所に遊びに行っていいか聞きに行こうと思ってたのに」
イルゼはドミニオン時代からのナイトメアの友人である。
「来るな、一応お前は女だ。俺には恋人のクロノスもいる、不貞を疑われたらどうしてくれる?」
「それなら大丈夫だよ、私はそんな気ないし。だいたい物好きだね、クロノスもこんな思念体と付き合うなんて」
ナイトメアが少し怒り気味でこう言った。
「今なんて言った、もう一度言ってみろ」
「ごめんごめん、ほんの冗談つもりさ。分かったよ、行かないよ」
そしてイルゼが思念交信を切ろうとした、その時ナイトメアは思いついた。
(良い事を思いついたぞ。イルゼにアンとメアリーを説得してもらおう)
「おい、待て、頼みがある、今すぐ俺の部屋に来い」
食い気味にイルゼが答えた。
「珍しいね、ナイトメアが私を呼び止めるなんて、なんだい?」
イルゼがナイトメアの部屋に瞬間移動してきた。そしてナイトメアが事の顛末を喋り始める。
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