十七話 帝國会議《壱》
ナイトメアは瞬間移動でエースの所に向かった。
「なんだ、エース。こんな所に居たのか」
此処はベッジハード王城の地下第3階層[禁忌の間]である。
「何故帰ってきて早々に禁忌の間なんだ?いつもなら玉座の間か自室だろうに」
エースがナイトメアの問いに答える。
「私にも分からない。唐突に此処に来たくなったのです」
「その話は後でゆっくり聞かせてもらおう、今は予定通り上に来て会議を開いてくれ、そこで今後の意向について話し合いたい、至急マックス以外の全ての将軍を召集してくれ」
「分かりました、至急将軍達を召集しましょう」
「感謝する」
ベッジハード王城内第一会議室。ここには収集された将軍達がいた。
「諸君集まって頂き感謝する。これより第一回帝國会議を開く。今回の会議で論議し合う事はこの国の今後の意向である」
「ん?こやつらは誰だ?」
タチャンカがナイトメアに問う。
「あぁ、彼らは俺がこの前登用した者達だ。紹介しよう。右からアン、メアリー、ロイス、フラッシュ、キーゼルだ」
「そうか、まあ強い奴が仲間になるのはいいことだが、俺達にも知らせてくれても良かっただろうに」
「だからここで紹介したんだろう」
アンたちが一斉に席を立ち、各将軍達に挨拶をした。
「宜しくお願い致します!!」
将軍達は頷き、アンたち新入りは着席した。
「では。会議を再開する。今回の議題はベッジハード近辺の森林の処分について、ベッジハード生誕祭について、私が受け持つ魔法学校の教育理念についての決定である。ではまず森林の処分について議論したいと思う。何か意見がある者は?」
ここでキングダムが発言した。
「森林に関しては即刻森を薙ぎ払い、森に住む魔物どもを皆殺しにし、平地にした後に新たに城壁を築き、その分の国土を広げる事を優先したい。その方が国の為にもなるだろう」
ここでローゼが苛立ちながら、立ち上がり反論した。
「ふざけないでもらいたいな、キングダム君。森には立派な国を守る能力がある。森には沢山の魔物が住み、その魔物が部外者を蹴散らす。これだけでも立派な防衛能力じゃないか!!そして魔物を皆殺しにするなんて可哀想な事...森を切り開く事は断じて認めないからね」
二人の言い合いは終わらない。
「いやいや、感情で物を語らないで欲しいね、ローゼ君。国のためになるのは圧倒的に私の意見だ。これは軍師であるタチャンカや他の将軍も同じはずだぞ。ナイトメアだってそうだろう?」
いきなり話題を振られたナイトメアは少し驚き返事をした。
「まぁ、森を切り開き、国土拡張をすると言うのには賛成だが、魔物達を皆殺しにする必要性が私には分からない。そのまま魔物は誰かの支配下に置き軍事的に再利用すべきではないかね?」
そして周囲に聞こえないように小声でこう言った。
「まぁ稀に森に迷い込んでくる戦災孤児を拾えなくなるのは、非常に残念だがね...」
帝國会議はまだまだ続きそうである。




