第八話 己の正義の為に…雷童丸の決意!
前回のあらすじ、陽向一族への復讐心に燃える雷童丸と戦ったヨーカイジャーの五人…戦いの最中雄吾は雷童丸に『俺達は分かり合える』と言って和解を持ちかけようとする。
そのことをきっかけに、雷童丸は自分はどうすべきか葛藤し、陰丸一族を離れ一人行方をくらませてしまった。
…ここはとある森、雄吾達は雷童丸を探しにこの森へとやって来ていた。
「薄気味悪い森ね…ホントにこんなところに雷童丸がいるのかしら?」
「むー、でも確かにこの辺りからあいつの妖気を感じるニャン」
レーダーのように髭をピクピクさせながら周囲を見渡す叉多尾
「あぁ、確かに匂うな…きっと近くにはいるはずだぜ」
「ん?なぁ、皆!ちょっとこれ見て!」
「なんだ雄吾?なんか見つけたのか?」
「あぁ、これだ!」
雄吾が指差す方を見るとそこら一体に血の跡のようなものが残っていた、よく見ると周りの木には刃物か何かで斬ったような傷もあった。
「これは…誰かがここで戦った跡かしら?」
「あぁ、しかもこの匂い…雷童丸の野郎と陰丸一族んところの雑魚どもの匂いだ!」
「なんだって!?じゃあ雷童丸は陰丸一族から追われる身ってことか!?」
「うむ…しかもこの有り様からして彼奴ら雷童丸を始末しようと目論んでいるに違いない!」
「マジかよ!?」
「しかもこの血の量から考えて雷童丸はんも相当な深手を負わされたと見て間違いありまへんなぁ…」
「でも、なんで陰丸一族は急に雷童丸を狙い始めたのかな?」
「多分、雷童丸は自分から陰丸一族を出て行ってそれをよく思わなかった龍左衛門や紫怨の差金で…」
「確かに…剛丸の言うことも一理あるかも知れんたい」
「そうと分かったら一刻も早く雷童丸を見つけ出そう!奴らよりも先に!」
「あぁ!」
「うん!」
雷童丸の捜索を再開する雄吾達、しかしそこへ突然カゲオニ軍団を従えた紫怨とゴウズ・メイズが現れた。
「ご機嫌麗しゅう、ヨーカイジャーの皆さん!」
「!?、陰丸一族!」
「最初に言っておくけど、あなた達に雷童丸は渡さないわ!あの子は私達の手でじっくりいたぶってからゆっくり始末するの!」
「そんなこと、絶対にさせるもんか!みんな!」
「おう!」
「『霊獣転生』!!」
「『猛る若獅子!ヨーカイレッド!』」
「『瞬神の猫又!ヨーカイブルー!』」
「『剛力の鬼熊!ヨーカイイエロー!』」
「『天昇の龍!ヨーカイグリーン!』」
「『魅惑の九尾!ヨーカイピンク!』」
「『霊獣戦隊!ヨーカイジャー!!』」
「陽向一族の名の下に、悪しき魂を浄化する!」
「さぁアンタ達!やっておしまい!」
紫怨の号令で一斉に襲いかかるカゲオニ軍団、カゲオニ軍団と対峙するヨーカイジャー達
「はぁぁぁ!!」
次々と襲いかかるカゲオニ軍団をバッタバッタと斬っていく
「己ぇ小癪な!ンモー!」
ゴウズが大槌を振り回してヨーカイジャーに迫る
「野郎…!、獅子丸!」
「あぁ!」
「くらえ!『獅子バズーカ』!」
ゴウズに向けてバズーカをぶっ放すレッド
「なんの!うらぁぁぁ!!」
ゴウズは飛んできたバズーカの弾を野球のボールのように大槌を使って打ち返してきた。
「!?」
打ち返された弾は一直線に猛スピードで飛んでいき、レッドの腹に命中した。
「かはっ!」
レッドはその勢いのまま吹っ飛ばされていき、あろうことか崖から真っ逆さまに落ちてしまった。
「うわぁぁぁ!!」
「雄吾!」
「ウッシッシ!ざまぁねぇぜ!」
「てめぇ、よくも雄吾を!」
怒りに任せてゴウズに殴りかかる獅子丸
「フンッ!」
殴りかかってきた獅子丸の拳を容易く受け止め、そのまま投げ飛ばす
「があっ!」
「獅子丸!」
「ウッシッシ!さぁ、次はどいつだ?」
「くっ、とにかく一旦退きましょう!」
「分かった!九威女 百華、お願い!」
「はいな!いきますえ百華はん!」
「うん!」
ピンクと九威女の幻術でゴウズ達の目を眩ましその隙に逃げるヨーカイジャー
「…逃げられてしまいましたね、追いましょうか紫怨様?」
「必要ないわ、とにかく今は雷童丸を探して始末する方が優先よ」
「ははっ…」
その場を後にして雷童丸の捜索を続ける紫怨達
…一方、崖の下に落ちていった雄吾はというと
「…う、う~ん…こ、ここは?」
目を覚ますとどこかの洞穴の中にいて、よく見ると誰かが怪我の手当てもしてくれてあった。
すると、洞穴の奥から
「気がついたか…」
「!?、お、お前!?雷童丸!?がっ!痛っ…」
「まだ無理に起きん方が良い、大人しくしていろ」
「まさか、お前が助けてくれたのか…?なんで?お前俺達を…陽向一族を恨んでるんじゃないのかよ」
「勘違いするな、あくまで貴様を助けたのは私の気まぐれ以外の何物でもない…貴様らのことを許したつもりはない」
そう言って雷童丸は焚き火に薪を焼べる
「へぇ、でもその割りにはしっかり手当てしてくれたんだな…なぁ、一つだけ聞いていいか?」
「なんだ?」
「お前、なんで陰丸一族のところを離れたんだ?」
そう聞かれた雷童丸はピクリと一瞬手を止める
「…………」
「ひょっとして、ホントは陽向一族に戻りたくなったとか?」
「バ、バカなことを言うな!私は、貴様らと馴れ合うつもりなど毛頭ない!」
「嘘だな、ホントにそんなこと思っているんならたとえ気まぐれとは言え俺のことを助けないだろ?寧ろ弱っているところをトドメを刺す絶好のチャンスだろ?」
「そ、それは…」
「もしホントに俺達を殺したいと思ってんなら…いいぜ、やって見ろよ」
そう言って雄吾は霊斬刀を取り出して雷童丸の足元に投げる
「貴様…」
「何、遠慮なんかいらねぇよ…俺は逃げも隠れもしない、やれよ!」
霊斬刀をゆっくり拾う雷童丸、柄をぎゅっと握りしめて構える
「ハァ、ハァ、ハァ…」
額からは脂汗が垂れ、霊斬刀を持つ手は小刻みに震えている
「さぁどうした?来い!」
「う、うぁぁぁぁぁ!!」
雄叫びとともに刀を振り上げて勢いよく刀を振り下ろした。
「っ!!」
振り下ろされる瞬間ぎゅっと目を瞑る雄吾、しかし雷童丸は振り下ろした刀をすんでのところで止めてしまった。
「…うっ、うっ、うっ」
雷童丸は手を離し刀を地面に落とす、そしてその場に泣き崩れ膝を落とす。
「…やっぱりな、お前に俺は殺せない…何故だが分かるか?それはホントはお前は心のどこかで俺達と分かり合いたいって思ってるってことだろ?違うか?」
「………」
雷童丸は無言で泣きながら頷いた
「そっか、それがお前のホントの気持ちなんだな?だったら俺達はお前をいつでも歓迎するぜ!」
「だが…ホントに良いのか?私はお前達とは違う、私は人でもなければ霊獣でもないのだぞ!それでも主らは私を受け入れると言うのか!?」
「人間だ霊獣だ、そんな些細なことどうでもいいじゃねぇか…仲間になるのに人間も霊獣も関係ねぇよ」
「仲、間…」
するとその時、洞穴の中にカゲオニ軍団が現れた。
「!?」
「漸く見つけたわ!しかもヨーカイレッドまで一緒にいるなんてラッキーね!」
「くっ!見つかったか!」
「雷童丸、ここは俺が食い止める!お前は早く逃げろ!」
「『獅子・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「しかし!その怪我では!」
「アホか、そりゃお互い様だろ!いいから早く逃げろ!『霊獣転生』!」
変身し、陰丸一族を洞穴の外へ連れ出すレッド
「せいっ!とりゃっ!てりゃぁぁぁぁ!!」
たった一人でカゲオニ軍団を圧倒するレッド、だがしかし怪我の影響で段々と体の動きが鈍り始めている。
「ヨーカイレッドも虫の息のようね、メイズ!トドメを刺しておやりなさい!」
「ははっ!いでよ!『チェーンソー男』!」
「ギリギリギリギリ!ぶった斬ってやる!」
両腕のチェーンソーを回転させてレッドに迫るチェーンソー男
「ギリギリギリギリ!くらいやがれぇ!」
「くっ!」
チェーンソー男の攻撃を必死にかわすレッド、しかし傷口が痛み出して動きが鈍りとうとう攻撃をくらってしまう。
「ぐはっ!」
変身が解けてその場に突っ伏す雄吾
「う、うぅ…」
ダメージをくらいすぎて最早逃げる力もない雄吾
「終わりだ!ギリギリギリギリ!」
「く、そ…!」
「死ねぇ!」
絶体絶命のピンチかと思ったその時、どこからともなく電撃が飛んできてチェーンソー男に直撃した。
「ぐわっ!」
「何っ!?」
「今の電撃、まさかっ!?」
振り向くとそこには雷童丸が立っていた
「雷童丸!」
「どういうつもりよこれは!?」
「…これ以上その者を傷つけることは許さん!この私が相手だ!」
「雷童丸…」
「フッ、なるほどそう言うこと…やはりあなたは陽向一族に付くってわけね、だったらあなたを容赦なく消すだけよ!チェーンソー男!そいつも纏めてやっちゃいなさい!」
「ギリギリギリギリ!任せて下さい!こんな奴俺の自慢のチェーンソーで真っ二つに…」
と、チェーンソー男が言い終わらない内に雷童丸は素早く後ろに回り込み刀を抜いてチェーンソー男を後ろから斬り伏せた。
「ギリっ!?」
「速い!」
「どうした?そんなものか?」
「ぐぬぬ…調子に乗るなぁ!」
怒ってチェーンソーをめちゃくちゃに振り回すチェーンソー男、雷童丸は霊獣化してチェーンソー男の攻撃を迎え撃つ。
「やっぱり強いな、雷童丸は…」
するとその時、ヨーカイジャーの他のメンバー達も合流してきた。
「あっ、いた!おーい!ユウ兄~!」
「みんな!」
「あれ?あれって雷童丸だよね?なんで陰丸一族の怪人と戦ってるの?」
「あぁ、それなんだけど…どこから説明したらいいか…」
そして、雷童丸とチェーンソー男の戦いは雷童丸がチェーンソー男を若干圧していた。
「ンモー!何やってんだテメー!さっさとそんな奴やっつけやがれ!」
「んなこと言ったってゴウズ様、こいつめちゃくちゃ強いですよ!」
「もうそれで終わりか?だったらこれで決めさせてもらう!」
刃に電撃を集中する雷童丸
「『奥義・雷光瞬烈斬』!!」
電撃を纏った刀で瞬く間にチェーンソー男を斬りつける
「ぐあぁぁぁ!!」
その場に倒れ爆発するチェーンソー男
「す、すげぇ…」
雷童丸の必殺技に愕然とするヨーカイジャー達
「くっ!仕方ないわね…ゴウズ!」
「お任せを!『消え行かんとする魂よ、今ここに汝に再び命の灯を点し大いなる力を汝に授けん』!うらぁぁぁ!!」
大槌で力いっぱいチェーンソー男を叩く、するとチェーンソー男は巨大化して復活した。
「やっぱデカくなりやがったか、雄吾!いけそうか?」
「…あぁ、なんとかな」
「よっしゃ!そんじゃいくぜおめぇら!!」
「おう!」
「『霊獣合体』!!」
霊獣達は巨大化し、巨大化した霊獣達と融合するヨーカイジャー
「完成!『ヨーカイオー』!!」
「貴様ら今度こそぶった斬ってやる!」
「させるか!」
チェーンソー男と対峙するヨーカイオー、チェーンソー男は両腕のチェーンソーを振り回しヨーカイオーに迫る
「ギリギリギリギリ!これでもくらえ!」
「下ががら空きなんだよ!」
隙をついてチェーンソー男にローキックをくらわせる
「ぎゃあ!」
「ほらいくわよ!」
怯んだ隙をついて今度は強烈なパンチをくらわす
「ぐひっ!」
「トドメだ!必殺『ヨーカイオー・フルブラストスクリーム』!!」
強烈なビームが飛び出しチェーンソー男の体を貫く
「ぎゃあぁぁぁ!!」
断末魔とともに爆発するチェーンソー男
…その後、雄吾はみんなに雷童丸とのやり取りを全部説明し、みんなも快く雷童丸を受け入れてくれた。
「と、いうことで…これからよろしくな!雷童丸!」
「うむ、これから私は正義の為にこの身を削って戦う!お主らとともに!」
「期待してるわよ、雷童丸!」
「よし、そうと決まればさ!今日は雷童丸の歓迎パーティでもしようぜ!なぁいいだろ姉貴?」
「フー、しょうがないわね…じゃあ今日は腕によりをかけてごちそう作りますか!」
「ぃやったぁぁぁい!!」
「わーいわーい!じゃあモモカもお手伝いするー!」
「僕も僕も!」
「じゃあ、早く帰ろうか!」
「うん!」
続く