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霊獣戦隊ヨーカイジャー  作者: 紫龍院 飛鳥
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第六話 禁忌の子!妖人 雷童丸!

…ある日のこと、ヨーカイジャー達が寺の本堂の掃除をしていた日のこと。


「父さん、これ全部処分しちゃっていいやつ?」

「あぁ、明日燃えるゴミの日だから纏めてそっちに置いておいてくれ」

「うん、分かった」

「ゲホッ!すげぇ埃!モロに吸っちまった!」

「ちょっと貸しな!そんな雑なやり方したら逆に埃撒き散らすだけでしょ!そこアタシがやるから雄吾は剛丸達と蔵の片付けしてきて」

「へーい」

外の蔵へ向かう雄吾、中では剛丸と政宗と霊獣達が中の物を仕分けて整頓しながら掃除していた。

「タケ兄、もうちょい左寄って!」

「こう?」

「行き過ぎ行き過ぎ!ちょい戻って!」

剛丸が政宗を肩車して政宗が上の方を掃除している。

「おーす、手伝いにきたぜー」

「おぉ雄吾!ちょっとこっち手伝ってくれ!」

「あぁ、何やってんだ?」

「蔵の荷物の整頓たい、ちゃんとこまめに整頓せんとどこに何があるか分からんくなってしまうばい!」

「てか、もう既にどこに何があるかさっぱり分からんけどな…」

雄吾の言う通り、蔵の中にしまってあったものはどれもガラクタのようなものばかりで何の用途で使うかさっぱり分からないものがほとんどだった。

「この箱はなんだ?随分古いな…」

「ん?それはまだ中身見てねぇから知らねぇな…開けてみるか?」

箱の蓋を開けると、中には霊獣のマガ魂のようなものが沢山入っていた。

「おい…これ、『マガ魂』じゃねぇか!」

「ホントだ、でも獅子丸達のとはちょっと違うな…」

「ユウ兄、どうかしたかよ?」

「見ろよこれ、この箱の中からマガ魂がこんなに沢山」

「へぇー、ちょっと試しに一個使ってみるか!」

と、箱の中のマガ魂を一つ手に取る政宗

「おいおい、そんな無闇にやって大丈夫か?」

「へーきへーき!さて、どうなるんだ?」

マガ魂を霊斬刀に嵌め込む

大蝦蟇おおがま・マガ魂!いよぉぉぉ!!』

すると次の瞬間、政宗は突然もの凄いジャンプで飛び上がり、蔵の天井を突き抜けてしまった。

「ま、政宗!?」

「ありゃ恐らく大蝦蟇蛙のマガ魂たい!」

「マジか、すげぇジャンプ!」

「こっちのマガ魂は何だろう?」

剛丸もマガ魂を一つ手に取り霊斬刀に嵌め込む

『土蜘蛛・マガ魂!いよぉぉぉ!!』

すると次の瞬間、霊斬刀の切っ先から蜘蛛の糸がブワッと飛び出し熊兵衛に絡みついた。

「うわっ!?何たいこりゃ!?」

「あっ!ごめん熊兵衛!」

「ぬぐぅ…ネチョネチョして全然取れんばい!」

「蜘蛛の糸か、こりゃすげぇ!」

「おいおい何の騒ぎだ一体?」

騒ぎを聞いた虎三郎が蔵の様子を見に来た

「あ、親父…」

「ん?そのマガ魂…」

「何か知ってるの父さん?」

「あぁ、そのマガ魂は私がまだ若い頃に修行の旅で諸国を廻ってた頃に旅先で出会った霊獣達に貰ったマガ魂だ、まさかそんなところにしまっていたとはな…随分昔のことだったからすっかり忘れていたよ!ガッハッハッハ!」

「へぇー、そうだったのか…」

「おぉそうだ!また忘れるところだった!お前達、一旦ちょっと本堂へ集まってくれ!」

「??」

本堂へ集まる一同、皆が集まったところで虎三郎は小さい桐の箱を取り出して皆に見せる。

「父さん、これは…?」

「この箱に入っているのは、我が陽向一族に四百年前から代々伝わる言い伝えが記されている書物だ」

箱の蓋を開けると、中には年季の入った古めかしい書物が一冊入っていた。

「なんか表紙に文字が書いてあるよ、えっと…『妖人記』?妖人って何?」

「妖人と言うのはな、人間と霊獣との間に生まれた禁忌の子ことだ、そしてこの書物はその妖人のことについて記されている」

「に、人間と…霊獣の子供!?」


…今から約四百年ほど前のこと、ある一人の陽向一族の門下だった霊獣使いの女が霊獣と恋に落ちてその霊獣の子を孕んでしまい、その後、男の子を出産した。

男の子は人間と姿形は一緒であったが生まれながらに霊獣の力を持っていた。

生まれて間もなく男の子は当時陽向一族の当主だった十四代目に霊獣の力を封印してもらい、当主から『雷童丸』と名付けられて普通の人間としての生活を送ることとなった。

しかし、雷童丸が生まれてから十六年後…雷童丸の力は知らず知らずの内に成長とともに大きくなり、とうとう封印を破り力が暴走してしまったのだった。

力を制御することのできない雷童丸は、誰にも手がつけられないほどになり事態は深刻さを深めていた。

すると、それを見兼ねた十四代目は弟子達と協力して何とか雷童丸を封印することに成功したのだった。


「…と、いうわけだ」

「…そんなことがあったのか、それで?もし万が一にもその封印が解かれたら?」

「封印が解かれれば奴は再び暴れ出すかもしれん、それにもしかしたら…陽向一族われらのことを逆恨みして復讐しかねん」

「確かに、雷童丸を封印したのは私達のご先祖様だから…陽向一族を相当恨んでるかもしれないわね…」

「場合によっては、陰丸一族側につく可能性もなきにしもあらずだな…」

「おいおい本気かよタッツィー!?でも元はと言えばその雷童丸って奴は一応陽向一族のモンだったんだろう?もしかしたらホントはそんなに怒ってなくて逆にうちらの仲間になるって可能性も…」

「うーん、でもそれはないんじゃないかな?やっぱり僕も陽向一族のこと恨んでると思う」

「なんだよタケ兄まで…」

「それでご当主、その雷童丸とやらはどこに封印されているのだ?」

「それなんだがな…封印場所を記してあったであろうページが破れていてないのだ」

虎三郎のいう通り、本の途中のページが破かれておりなくなっていた。

「そんな、場所が分からないんじゃ探しようがないじゃん!」

「うむ…どうも嫌な胸騒ぎがする」

「…親父?」

「どうか悪いことにならねばいいが…」


…一方その頃、紫怨はゴウズとメイズを引き連れてとある山奥に来ていた。


「紫怨様、ホントにこんなところに例のアレが封印してあるんですか?」

「黙ってついて来なさい、お父様が言ってたんだから間違いないわ…きっとこの山の奥にあるはずよ」

…時は昨日に遡り、龍左衛門に呼び出された紫怨

「…妖人、ですか?」

「うむ、お主も聞いたことがあるだろう?四百年前に人と霊獣との間に生まれた禁忌の子…彼奴は陽向一族の者どもが束になってかかっても勝てぬほどの暴れ者だったらしい、彼奴を我が陰丸一族に加えればきっといい働きをしてくれようぞ…」

「…しかし、その妖人の封印の場所は何処に?」

「ある晩儂は夢をみたのだ、『金剛寺山』の奥地に封印されし禁忌の子がいると、そうお告げがあったのだ…」

「夢のお告げ…ですか?」

「よいか!必ず妖人を見つけだし我が陰丸一族に迎え入れるのだ!」

「はっ…!」


「…夢のお告げねぇ、イマイチ信憑性に欠けるというか何つうか…」

「ゴウズ!ご当主様を愚弄するような発言はおやめなさい!無礼ですよ!」

「…だってよ!」

「お黙りなさい!ゴウズ、メイズ!」

「はっ…申し訳ございません紫怨様…」

「すみませんでした紫怨様…」

「全くあなた達は…ん?」

紫怨達は大きな岩で出来たほこらのようなものを見つけた、祠の周りにはおふだが沢山貼ってあって、祠の入口は大きな頑丈そうな鉄の扉があり、その扉にもお札が沢山貼ってあった。

「どうやら、ここで間違いないようね…」

「そのようですね…ん?」

するとメイズは鉄の扉を一通り撫で回すように触る

「なるほど、やはり結界が張ってありますか…」

「破れそう?」

「えぇ、このような粗末な結界など雑作もなく…きえぇぇぇい!」

メイズが結界に槍を突き立てると、結界はガラスの破片のようにバラバラと音を立てて崩れていった。

「ホッホッホッ、やはり長い年月を経たせいで結界の効力も弱まっていたようですねぇ…ではゴウズ、後は頼みましたよ」

「ウッシッシッシ!任せろ!どっせぇぇぇい!!」

ゴウズは鉄の扉を力任せに無理矢理ぶち破り破壊した。

「ウッシッシッシ!どうだぁ!」

「お見事、やはりその馬鹿力に関してはあなたの右に出る者はいませんね…」

「フッ、そんなに褒めるな…」

「そんなのどうでもいいわ、行くわよ!」

ツカツカと祠の中へ入っていく紫怨

「あっ!待ってくださいよ紫怨様~!」


…祠の奥へ進むとそこにはお札が沢山貼ってある石棺が安置されていた。

「あったわ、これよ!」

「おぉ!やりましたな紫怨様!」

「フフフ、これで陽向一族はおしまいね…フフフ、アッハッハッハ!」


…一方その頃、陽向家では


「…ふぅ~、大分片付いたな!」

「それよりよぉ雄吾、このマガ魂どうすんだ?」

「あぁ親父に聞いたら俺達で好きに使っていいってさ、何か役に立つかもしんねぇし」

「ふーん、そうかい」

「お兄ちゃん達ー、そろそろお昼にするから戻ってきてー」

「おぉ、今行く!さてと、残りはメシ食ってからやるか」

「そうだな」

と、その時だった

外から邪気を感じとった霊獣達

「!?」

「獅子丸?」

「おいタッツィー?どうした?」

「出やがったぜ…!」

「何だと!?」

「しかもこの気、私の勘が正しければあのゴウズとメイズとかいう奴らの…」

「まぁどの道現れたからには行かないとな!行くぜみんな!」

「あぁ!」

「うん!」


…陰丸一族が現れた場所へ向かう五人、そこでゴウズとメイズ、そして紫怨が待ち構えていた。

「来たわねヨーカイジャー!」

「紫怨!今度は一体何企んでやがる!」

「フフフ、別今日はどうもしないわよ?ただ今日は私の新しい下僕を紹介しようと思ってね…」

「新しい、下僕?」

「フフフ、さぁ!出てらっしゃい!」

そこへ現れたのは白装束に身を包んだ白髪の人間の少年だった。

「人間…か?」

「いや、この感じ…霊獣オレらと同じ!」

「ということは、まさか!?」

「その通り!彼こそが四百年の眠りから覚めた妖人!『雷童丸』よ!」

雷童丸は恨みの籠った目つきでヨーカイジャー達をキッと睨みつけている。

「奴らが…陽向一族か?」

「そうよ、さぁ雷童丸!存分に恨みを晴らしなさい!」

すると雷童丸は持っていた白い刀を抜きヨーカイジャーに殺気をぶつける。

「!?、すごい殺気だ!こうなったら仕方ない!みんな!」

「おう!」


「『霊獣転生』!!」

変身する五人


「『猛る若獅子!ヨーカイレッド!』」


「『瞬神の猫又!ヨーカイブルー!』」


「『剛力の鬼熊!ヨーカイイエロー!』」


「『天昇の龍!ヨーカイグリーン!』」


「『魅惑の九尾!ヨーカイピンク!』」


「『霊獣戦隊!ヨーカイジャー!!』」


「…陽向一族…倒す!」

「陽向一族の名の下に、悪しき魂を浄化する!」

雷童丸と対峙するヨーカイジャー

「はあぁぁぁぁ!!」

雷童丸に斬りかかるグリーン、しかし雷童丸は斬られる寸前に目にも止まらぬ速さでグリーンの太刀をかわし逆にグリーンをあっという間に斬り伏せてしまった。

「マサ!」

「この~!これでもくらいなさい!ムムム~!」

幻術を使って雷童丸の動きを封じこめるピンク、しかし雷童丸は意図も容易く幻術を破りピンクを斬り伏せてしまった。

「こいつ…強いわ!」

「そんな、勝てっこないよこんなの!」

「こうなったら二人同時に行くわよ!剛丸!」

「う、うん!」

二人同時に斬りかかるブルーとイエロー、しかしそれでも敵わず斬られてしまう。

「姉ちゃん!タケ!」

「…陽向一族…倒す…!」

レッドにゆっくりと近づいていく雷童丸

「…ユウ兄」

「雄吾兄ちゃん…」

「雄吾…」

「兄さん…」

「…陽向一族…倒す!」

一気レッドに斬りかかる、レッドは雷童丸の太刀を瞬時に受け止める。

「くっ…!」

「死ねぇ!」

ものすごい勢いでレッドに剣を奮う雷童丸、レッドは必死にくらいつき攻撃を受け止める。

「死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇ!!」

激しくぶつかり合う両者

「俺は…負けない!こんなところで負けてたまるかぁぁぁ!!うぉぉぉぉ!!」

するとレッドは声の波動を雷童丸にぶつけ、吹っ飛ばした。

「!?」

「ハァ、ハァ、ハァ…」

「くっ…うぉぉぉ!!」

すると突然、今度は雷童丸が雄叫びを張り上げるや否や突然人間の姿から霊獣の姿に変身した。

「なっ!?変身した!」

「霊獣の血を引いてるからそういうことも可能ってことね…」

「うぅ…うぁぁぁ!!」

次の瞬間、雷童丸は体から電気を発生させレッドに向けて放ってきた。

「うわっ!?」

「うぉぉぉ!!」

怯んだレッドに容赦なく斬りかかる雷童丸

「ぐあっ!!」

「雄吾!」

「兄さん!」

「ユウ兄!」

「雄吾兄ちゃん!」

「ぐふ…」

トドメの一撃を差そうと刀を振りかぶる雷童丸

「死ね…うっ!?」

すると、雷童丸は突然よろめき膝をついて苦しみ出し、人間態に戻った。

「どういうこと?後少しだったのに!」

「恐らくですが、まだ目覚めたばかりで体の感覚がついていかなかったのでしょうか?これ以上はもうおやめになった方がよろしいかと…」

「もう何なのよ!覚えてなさい!行くわよあんた達!」

去っていく紫怨、雷童丸も素直に後を退く

「雄吾!大丈夫?」

「あぁ、なんとかね…」

「しかしなんて野郎だよ…俺ら全員でかかっても勝てねぇとかあり得ねぇだろ!」

「そうね、雷童丸が向こうについたからにはこれまで以上に厳しい戦いになるかもしれないわね…」

「あぁ、だから俺達ももっともっと強くならないと…」



続く


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