第四話 剛丸・フォーリンラブ!恋はいつでもハリケーン!
…ここは剛丸の通っている大学
剛丸はここで保育士になる為に勉強している。
「…では今日はここまで、来週までにレポート書いて提出するように」
「ありがとうございました!」
講義の後、剛丸がキャンパスを歩いていると
「剛丸君!」
「あ、さ、沢村さん!」
「今日の講義ちょっと長かったね~、アタシ途中眠くなっちゃって話半分にしか聞いてなかったよ~、アハハ」
「ハハハ…そうだね」
「あ、そう言えばもうじき現場実習始まるよね!剛丸君はどこの保育園行くの?」
「あぁ、ニコニコ保育園だよ」
「へぇーそうなんだ~、じゃあアタシと一緒だね!」
「えっ、そうなの!?」
「うん!あ、じゃあアタシこっちだから!じゃあまたね、バイバイ!」
「うん、じゃあね…」
家に帰宅、彼女のことを考えながらボーッと上の空になっている。
「…ボーッ」
「…け丸、おい剛丸!」
「ハッ!え、何熊兵衛?」
「何をボーッとしとうと?もうメシの時間たい」
「あぁ、そうか…ゴメンゴメン、今行く」
「…?」
それからも剛丸は彼女のことを考えてはため息をついて、そればかりを繰り返していた。
「…どうもここ最近剛丸の様子がおかしかばい、ボーッとしてはため息ついての繰り返し、どこか具合でも悪かないか心配でならんたい」
「そうどすなぁ…ウチも実はちょっと気になってましたんえ、剛丸はんいつになく元気があれへんかったさかい、ウチ心配どす」
「どうせ大したことねぇだろ?いちいち考えるだけ無駄だぜ」
「そうだニャー、タビさんもそう思うニャン」
「全くお前達は、他人事だと思っていい加減なことを言うものではないぞ!」
「アホらし、オレ様イチ抜けた!これ以上付き合いきれねぇ、後はオメェらだけで適当にやってくれや」
「タビさんも、もう飽きたニャン!あっちでお昼寝でもするニャン」
話を切り上げて行ってしまう獅子丸と叉多尾
「おい、お前達!ったく…しかし、やはりここは剛丸に直接話を聞くしか方法はあるまい」
「うーむ、そうは言うが剛丸の奴オイが訳を聞いても頑として話してくれんたい」
「そうどすか、それやったら百華はん達にお願いするのはどないどすやろ?ウチらよりも実の兄弟から聞いた方が剛丸はんも話し易いんと違いますやろか?」
「うむ、一理あるかもしれんな…よし、では私は雄吾と政宗に頼んでみよう!」
「ほなウチは百華はんと聖奈はんに頼んでみまひょ」
「二人とも…すまん!恩に着るたい!」
…こうして龍之進と九威女は雄吾達に話をつけて剛丸に話を聞いてもらうようになった
剛丸は縁側に座り込み一人ため息をついている。
その様子を遠くから覗いて聞きにいくタイミングを窺う雄吾達
「…なんかすげぇため息ついてんな、ありゃ相当深刻な悩み事と見て間違いないな…」
「…ふーん、あのタケ兄がねぇ」
「でもどうする?あの様子じゃちょっとやそっとじゃ教えてくれないかもよ?」
「…うーん」
「全く情けないわねアンタ達、ここは私に任せて!」
「姉貴、大丈夫かよ?」
「任せなさい!」
と、聖奈は剛丸の側に歩み寄り優しく声をかける
「剛丸」
「姉さん…」
「どうかしたの?最近元気ないみたいだけど、何か悩み事があるならお姉ちゃんに話してごらんなさい」
「………実は」
少し間をあけた後、ようやく話し始める剛丸
「…僕、好きな子ができた」
「好きな子?同じ学校の子?」
「うん、同じ学科の沢村 美紅さん」
「ふーん、で?アンタは何悩んでんの?その子に告白するかとか?」
「そんなっ!告白なんて、できるわけないじゃないか!」
急に慌てた様子で否定する剛丸
「何よ、いっちょまえに恥ずかしがってんの?」
「そういうんじゃないんだ…僕、昔から体が人一倍大きくてこんな顔してるから周りの皆とか、特に女の子からはすごく怖がられて…まともに話したことすらないんだ…」
「そうだったの…」
その話を遠くから聞き耳立てて聞いていた雄吾達は
「なんか、思ったより深刻そうな話だったな…」
「だな、姉貴にいってもらって正解だったぜ…」
「モモカも…恋愛のこと相談されてもどう答えればいいか分かんないもん」
話を戻し、聖奈に自分の思いを話す剛丸
「…彼女が初めてなんだ、僕のことを怖がらずに普通に接してくれたのは…僕はそれだけがほんとに嬉しくて嬉しくて…」
「ふーん、だったら思いきって告白してみれば?」
「そんなっ絶対無理だよ!僕、今まで一度だって女の子に告白なんてしたことないし、絶対にフラれるに決まってるよ!」
「情けないわね!こういうことは、男の方からビシィッと行かないとダメなの!男なら当たって砕けなさいよ!」
「無理無理無理!絶対無理!恐いよ!」
「んーまぁ、いきなり告白するっていうのもちょっと無理かもね…よし分かった!だったら手始めにデートにでも誘ってみなさいよ!」
「デ、デデデデートぉ!?」
「そうよ!告白する前にまずは一緒にデートして親密になっていくの、告白するのはそれからの方がいいわね」
「で、でも…デートなんて、そんな…」
「よし、そうと決まれば明日は早速デートの特訓よ!」
「えぇ~…」
…翌日、剛丸を連れて聖奈がやってきたのは遊園地
ここで剛丸にデートのレクチャーをする。
「…はぁ、自信ないなぁ」
「ほら、しっかりしなさい!はい、まずはポイントその1!優しい笑顔で接する!アンタただでさえ普通にしてると顔怖いんだから優しくにこやかに自然な笑顔で接してみなさい!」
「自然な笑顔って…こ、こう?」
とりあえず笑ってみる剛丸、しかしどことなくぎこちない感じでひきつったように見える。
「…なんか堅いわね、もっと自然に微笑む感じで!」
「うーん難しいよ、第一そんな顔意識して笑ったことなんてないもの…」
「うーん、まぁいいわ…とりあえずここは及第点ね、じゃあ次!ポイントその2!さりげなく優しさをアピール!ここで自分は優しい人なんだってことをアピールするの」
「でも、具体的にどうやって?」
「まぁ至って簡単よ、階段を降りる時に彼女が転ばないようにさりげなく手を添えてあげるとか、さりげなく重い物を持ってあげるとか、そんなんでいいのよ」
「な、なるほど…」
「次!ポイントその3!男らしいところをアピール!優しいだけじゃなくて時には男らしい部分を見せること!」
「でも、男らしいって例えばどんな?」
「そうね、例えばベタだけど彼女が変な男に絡まれていたら守ってあげるとか」
「うーん…僕にできるかな?」
「その辺はまぁ…アンタ顔厳ついから大抵の男はアンタの顔見ただけで逃げ出すんじゃない?」
「そ、そう?」
「さて、ポイントのおさらいはこんなところかな?次は実践編行くよ!」
「えっあっちょっと!」
剛丸達のすぐ側ではサングラスと帽子で変装した雄吾達がいた。
「ちょっと心配になってきてみたけど中々上手くやってそうだな、姉ちゃんとタケ」
「あぁ…つーか珍しいよな、姉貴があんなやる気になるなんて」
「そうだよね、でもお姉ちゃんって結構お節介なところあるしね」
「ハハハ、言えてる」
「まぁでも、あの感じなら大丈夫でしょ?」
「ねぇねぇ、折角遊園地に来たんだしなんか乗ろうよ!」
「おっ、いいねぇ!何乗る?」
「モモカあれ乗りたい!船に乗ってユラユラ揺れるやつ!」
「いいねぇ、ユウ兄も行こうぜ!」
「いや、オレは遠慮しとく…」
「えっ何?ユウ兄ってあぁゆう系のアトラクション無理系な人?ダサっ!」
「ダサいっていうな!」
「ほら、雄吾兄ちゃんも一緒に行こうよ!」
「お、おいお前ら!」
…一方で剛丸は、聖奈に連れ回され絶叫系のアトラクションばかり連続で乗らされ憔悴していた。
「…あー、なんかまだ体が浮いてる感じがする…気持ち悪い」
「だらしないわね、男ならそれぐらい乗りこなしてなんぼでしょ!さ、次行くわよ!」
「ちょ、ちょっと待って!流石に少し休まして!あ、飲み物買ってくるよ!」
「しょうがないわね、じゃあ少し休憩!あ、私アイスコーヒーね!ミルクと砂糖抜きで」
「分かった、買ってくるよ」
売店へ急ぐ剛丸
「すみませーん、アイスコーヒーのミルク砂糖抜き一つとオレンジジュース一つください!」
「はい、かしこま…あれ?剛丸君!?」
「えっ?あっ!さ、沢村さん!?」
「わ~すごい偶然!」
「さ、沢村さん…どうしてここに?」
「あぁ、ここアタシのバイト先、剛丸君は?一人?」
「えっ!?あ、いやその…」
「ねぇ剛丸ー!遅いー!飲み物ぐらいちゃっちゃと買って来なさいよ!」
「あっ!ちょ…!」
「?、剛丸君の知り合い?もしかして彼女?」
「ち、違うよ!この人、僕の姉さん」
「あっそうなんだ!はじめまして、剛丸君と同じ大学の同級生の沢村 美紅です!」
「剛丸の姉の陽向 聖奈です」
「へぇーでも意外、剛丸君にこんな美人でキレイなお姉さんいたんだぁ~」
「えっ?そ、そんな美人だなんて…」
まんざらでもなさそうに照れる聖奈
「剛丸、ちょっと…」
「ん?」
「もしかして、アンタの好きな娘って…あの娘?」
剛丸にこそこそ耳打ちする
「えっと、うん…」
「ふーん、まぁ確かに可愛いって言えば可愛い感じの娘ね…」
「はい、アイスコーヒーとオレンジジュースお待たせしました!」
「ありがとう、ところで美紅さんだっけ?この後ちょっといいかしら?」
「はい、後ちょっとでバイト上がりの時間なんでいいですよ」
「そう、じゃあ後で…向こうの休憩所で待ってるから」
「ちょ、ちょっとちょっと姉さん!?あ、なんかゴメンね!じゃあ僕達これで…」
「ちょっと姉さん!どういうつもりだよ!」
「いいでしょ別に、いい機会だからあの娘がアンタに相応しいか私が直接見定めてあげようと思って…」
「大きなお世話だよ!お願いだから余計なことしないで!」
「何よ!折角アンタの為を思ってやったのに!」
「それがお節介だって言ってんの!もういい加減にしてよ!」
「もう悪かったって、私だって別に悪気があってやったんじゃなくてあくまでもアンタのこと心配して…」
「もういいよ!僕のことはほっといてくれよ!」
と、走ってどこかに行ってしまった剛丸
「ちょ、ちょっと剛丸!」
…一方、その様子を遠くから覗いていた政宗達は
「あーあ、やっぱこうなっちまったか…」
「どうする?剛丸兄ちゃんどっか行っちゃったよ?」
「ほっとけばいいだろ、そこまでオレらが首突っ込む必要性はねぇし」
「…うーん、まだ頭がグラグラくる…気持ち悪い」
眩暈を起こしベンチに横になって休む雄吾
「ったく、だらしねぇなユウ兄!あんなもん別に屁でもねぇって!なぁ百華?」
「うん、楽しかった!」
「…お前らマジか、正気の沙汰じゃねぇぞマジで」
すると次の瞬間、雄吾達の持っていたマガ魂が突然光り出した。
「この光、まさか!?」
「こうしちゃいられねぇ!行くぞ!」
「うん!」
「ちょ、待ってお前ら…置いてくな!」
…一方、陽向家で留守番していた霊獣達も陰丸一族の気を感じ取っていた。
「この気配…出やがったな!」
「この方角、恐らく今日政宗達が出掛けて行った遊園地の方向!」
「よっしゃ!早速行くばい!」
霊獣達も現場へ急行する。
…場所は遊園地に戻り、現場ではゴーカートから作られた怪人『ゴーカート男』が暴れ回っている。
「ブインブイーン!邪魔だ邪魔だ人間ども!」
逃げ惑う人々、そこへ剛丸と聖奈が到着する
「やめなさい!」
「なんだ貴様ら?オレの邪魔をする轢き飛ばしてやるブイーン!」
「行くわよ剛丸!」
「あぁ!」
「『猫又・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「『鬼熊・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「『霊獣転生』!!」
変身してゴーカート男と対峙する、するとそこへ少し遅れて雄吾達も到着する。
「いた!あいつだ!」
「雄吾兄ちゃん大丈夫?少し休んでた方が…」
「なんのこれしき…これぐらいなんてことない」
「やれやれ、あんま無茶だけはすんなよユウ兄、そんじゃ行くぜ!」
「うん!」
「『龍・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「『九尾・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「『獅子・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
「『霊獣転生』!!」
「なんの!出でよカゲオニ!」
負けじとカゲオニを出して対抗するゴーカート男
カゲオニ軍団を次々と蹴散らしていくヨーカイジャー
「ぐぬぬ…己ぇ、くらえ必殺!『フルスロットルアタック』!」
フルスロットルでヨーカイジャーに突っ込んでくるゴーカート男、吹っ飛ばされてしまうヨーカイジャー、だがイエロー一人だけは持ち前の怪力でゴーカート男の突進攻撃を受け止めていた。
「ぐっ…くぅ…!」
「小癪な!ブイーン!!」
更に力を加えていきイエローは耐え切れず押し返えされてしまう
「ブインブインブイーン!!」
「うわぁぁぁぁ!!」
ゴーカート男に押し返されてしまい後ろのジェットコースターの柱に激突する。
「かはぁっ!」
「剛丸!」
「タケ!」
「タケ兄!」
「剛丸兄ちゃん!」
「ふん、他愛ない奴め!次はお前らだ!ブイーン!!」
四人に目掛けて突進していくゴーカート男
「う、うぅ…」
次の瞬間、激突の衝撃でジェットコースターの柱の一部が崩れて倒れ出し、その倒れた先にはあろうことか逃げ遅れた美紅の姿があった。
美紅は逃げている最中に足をケガしてしまいその場から動けずにいた
柱の一部は美紅に向かってまっ逆さまに倒れていった。
「いやぁ!誰か!助けてー!」
するとそこへ、すかさずイエローが倒れてくる柱を支えて彼女の危機を救った。
「!?」
「ぐぬぬ…だりゃあ!」
柱を遠くに投げ飛ばし、彼女の元へ駆け寄る
「大丈夫ですか!?」
「あ、はい!ありがとうございます…」
「無事でよかった…早く安全なところへ!」
「はい、でも…あなたは?」
「大丈夫、あなたのことは僕が必ず守りますから!さ、早く逃げて!」
「は、はい!」
足を引きずりながら逃げていく美紅
「…ポイントその3、男らしいところを見せる!よぉし、やってやる!うぉぉぉ!!」
気合を入れ、ゴーカート男に向かって突っ走るイエロー
「ブイン!?」
「うおりゃあぁぁぁ!!」
その勢いのまま飛び込んで強烈なパンチをお見舞いする
「ブイーン!!」
「おぉ、なんかタケすげぇ!」
「一体何があったんだ!?」
「沢村さんは、僕が守る!うぁぁぁぁ!!」
ゴーカート男に掴みかかり、今度は逆にイエローがゴーカート男を押していく
「どぉりゃあぁぁぁ!!」
そのまま勢いよく壁に叩きつける
「ぐわっ!!」
「トドメだ!奥義!『鬼熊・熊手剛力拳』!!」
凄まじいオーラを纏った状態で鉄拳をお見舞いする
「ぐあぁぁぁぁ!!」
爆発して消滅するゴーカート男、するとそこへゴウズが現れて
「フン、仕方のない奴だ!どれ、今一度チャンスをやろう!」
するとゴウズは大槌を構え
「『消え行かんとする魂よ、今ここに汝に再び命の灯を点し大いなる力を汝に授けん』!うらぁぁぁ!!」
ゴーカート男の残骸を力いっぱい叩きつける、するとゴーカート男はたちまち巨大化して復活した。
「お前らもう許さん!今度こそ轢き飛ばしてやるブイン!」
すると次の瞬間、巨大化した霊獣達も遅れて到着した。
「丁度グッドタイミングだったようだな!間に合ったぜ!」
「獅子丸!よしみんな、行こう!」
「おう!」
「『霊獣合体』!!」
霊獣達と融合し、合体するヨーカイジャー
「完成!『ヨーカイオー』!!」
「行くぞ!『フルスロットルアタック』!!ブイーン!!」
ヨーカイジャーに向かってフルスロットルで突っ込んでくる
「二度も同じ手を食うか!フッ!」
ゴーカート男の突進攻撃を華麗に避け、ゴーカート男は不意を突かれて思わずつんのめる。
「おわっとっと!急ブレーキ急ブレーキ!」
「隙ありだ!」
ゴーカート男のがら空きの背中を思いきり蹴飛ばす
「ブイーン!!」
「トドメだ!必殺『ヨーカイオー・フルブラストスクリーム』!!」
ヨーカイオーの胸の中心の獅子丸の顔から強烈なビーム砲が放たれゴーカート男に直撃する。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!!良い子のみんなは、ゴーカートは安全に乗りましょう…ぐわぁぁぁ!!」
断末魔とともに爆発して消滅する
…翌日、大学にて
「沢村さん!」
「あっ剛丸君~」
「昨日は大丈夫だった?その足…」
見ると美紅は足に包帯を巻いて松葉杖をついている
「あっこれ?大丈夫、ちょっとひねったぐらいだからそんな大したことないよ」
「そっか、よかった…」
「それよりもアタシ…その時に運命の人に出会うことができたの!」
「へ?」
「見ず知らずのアタシを身を挺して倒れてくる柱から守ってくれた黄色い熊みたいな格好をしたあの方…『あなたのことは僕が必ず守るから』って!キャー!!」
頬を赤らめてはしゃぐ美紅
「一体どこの誰なのかな?あんな個性的な格好見たことないから不思議」
「さ、さぁ…誰なんだろうね?」
実はその人物は自分であることを中々言い出せずに戸惑う剛丸
「あっ!もう授業始まるね!いこ!」
「う、うん…!」
続く