第十八話 みんなはアタシが守る!肝っ玉姉ちゃん 聖奈!
…今日は聖奈の誕生日、そんなわけで陽向家では毎年『お姉ちゃん感謝デー』と称し日頃家事で疲れている聖奈を労ってあげようという日で、この日一日は聖奈のわがままを叶えてあげようという日なのである。
と、いうことで五人はショッピングモールへとやってきた。
「あっこれ可愛い~!こっちもいいなぁ~」
ブティックで服を選ぶ聖奈、選んだ服を色々試着してみる
「よし、とりあえずこれとこれ気に入ったから買ってもいい?」
「うん、いいよ!すみませーん店員さーん!」
一方で外で待機している男子達は
「あーあ、今年もついに来てしまったか…『姉貴感謝デー』」
「まぁまぁマサ、普段姉さん家事で忙しくてこういう時でもないと羽を伸ばす機会なんてあんまりないからさ、精一杯労ってあげようよ」
「タケの言う通りだぜ、母さんが死んでからずっと姉ちゃんは俺らの母親代わりとして頑張ってんだから、その感謝の気持ちだけは忘れるなっていつも親父も言ってるだろ?」
「へいへい…つーかよ、雷童丸の奴はどうしたよ?」
「雷童丸君だったら家で霊獣達と姉さんの代わりに家事をやってくれてるよ」
「なんだ、そうだったのか…てかあいつに家事なんてできんの?」
「さぁ…?分かんないけど、本人が自ら買って出てくれたし…」
…一方、家で留守番している雷童丸と霊獣達は家事を手伝うチームと聖奈の誕生日パーティーの準備をするチームに別れて作業を進めていた。
家事を手伝うチーム…雷童丸、狛犬兄弟、熊兵衛、獅子丸
獅子丸と熊兵衛はみんなの洗濯物を洗って庭に干していた。
「わっせ!わっせ!わっせ!」
タライと洗濯板で洗濯物を洗う熊兵衛
「うひぃ~、冷たか~!でも、我慢我慢たい!」
熊兵衛の洗った洗濯物を物干し竿にかけて干していく獅子丸
「ふぅ…にしてもすげぇ数だな…あー、肩が痛ぇ」
「なんば言うとか!これしきで根をあげるとは情けなかばい!」
「んだとテメー!上等だ!まだまだじゃんじゃん持ってこい!」
「望むところたい!わっせ!わっせ!」
一方で雷童丸と狛犬兄弟は屋敷の中をピカピカに掃除している
「…ふぅ、大分綺麗になったな」
三角巾に割烹着姿でやる気十分に掃除している雷童丸
「アニキー!こっちも終わりやしたけぇのぅ!」
「ご苦労、では次に今宵の晩餐の仕込みを手伝ってくれるか?」
「合点じゃ!いくでぇ吽犬!」
「はいな兄さん!」
と、そこへ
「ただいまー」
「ご当主殿、おかえりなさいませ」
「おぅ、ケーキ買ってきたぞ!聖奈の大好物のでっかいチョコレートのやつ」
「ご苦労様です、では私が冷蔵庫へ入れておきましょう」
「おう、任せた」
一方で聖奈の誕生日パーティーの準備をするチーム…九威女、龍之進、叉多尾
居間をパーティー仕様に可愛く飾り付けしている
「ニャンニャンニャン♪ニャンニャーンニャン♪」
鼻歌まじりにご機嫌な様子の叉多尾
「フフッ、叉多尾はんいつになく機嫌よろしおますなぁ」
「ニャッフフフ~、今日はパーティーニャン!パーティーと言えばごちそう!おいしいものいっぱい食べられるニャン!ワクワクするニャー」
「相も変わらず食うことしか頭にないのかお主は、全く…」
…場所は戻って、五人は休憩スペースで休んでいた。
ショッピングを思い切り堪能した聖奈、一方で聖奈が買った大量の品物を持たされ続けた男子達はクタクタになってへばっていた。
「あー疲れた~!ったく姉ちゃんってばどんだけ買うつもりなんだよ!荷物持つこっちの身にもなってほしいよ全く…」
「てゆーかよ、百華も百華でよくこんだけ買うほどの金持ってるよな…」
「百華の動画結構人気らしいよ、それで結構儲かってるみたい…」
「マジかよ、羨ましい…」
「ほーらあんた達ー!いつまで休んでんの!そろそろ行くわよ!」
「へいへい…やれやれ」
するとその時だった、外で悲鳴のような声したのだった。
「何っ!?」
「なんだ!?」
「!?、お姉ちゃん!これ!」
五人のマガ魂が光って陰丸一族が現れたことを告げていた。
「この反応…間違いない!みんな!行こう!」
「うん!」
「おう!」
現場へ向かうと、陰丸七人衆の一人 猿飛 佐助が街で暴れ回っていた。
しかも猿飛は、自分の分身を沢山呼び出して数えきれないほどに増えていた。
「あいつは!たしか、猿飛 佐助!」
「えぇ~!?何でこんなにいっぱいいるのー!?」
「あれは多分、『分身の術』ね…」
「なんてこった、これじゃどれが本物か分かんないぞ!」
「フハハハ!やっと来たか陽向一族どもめ!」
煙とともに現れたのは本物の猿飛 佐助
「!?」
「フハハハ!驚いたか!これぞ忍法 分身の術でござる!」
「何が忍法だ!ふざけやがって!こんなにいっぱい分身まみれにして、一体どう言うつもりだ!」
「クックックッ、ただお主らを倒すだけではつまらんと思ってな、ここは一つ拙者とお主らとでお遊びとでもいこうか?」
「何っ!?」
「今から拙者はこの分身達の中に紛れこませてもらう、それをお主達が一時間以内に本物の拙者を探し出して倒すことができればお主らの勝ち、できなければ拙者の勝ち、至って簡単でござろう?」
「いいだろう、乗ってやる!」
「クックックッ、では始めようか…ドロン!」
煙に紛れて消える猿飛
「あの猿野郎、俺達のことをおちょくってんのか!」
「とにかく時間がないわ、五人でそれぞれ手分けして探しましょう!」
「あぁ!」
「うん!」
五人各々散らばって猿飛を探しに出る。
「…変だな、さっきまで分身達がわんさかいたのに…どこかに隠れてるのか?」
辺りを警戒しつつ猿飛を探す雄吾、すると突然雄吾の背後から猿飛が忍び寄り、刃を突きつける。
「!?」
咄嗟に反応した雄吾は、霊斬刀を抜き猿飛の一撃を防いだ
「たぁっ!」
そしてそのまま横一閃に猿飛を斬り伏せる、すると斬られた猿飛は煙のように消えてしまった。
「…クッ、分身か…」
すると次の瞬間、次から次へと分身軍団がわらわらと現れたのだった。
「一気に出てきたな…だったらこっちも!」
『獅子・マガ魂!いよぉぉぉ!!』
「『霊獣転生』!!」
変身して分身軍団を迎え撃つ
一方その頃、剛丸も分身軍団に出くわして交戦していた。
「このっ!そりゃ!」
倒しても倒してもキリがなく、次々と分身達が現れる
「こうなったら、一気に叩く!」
『鬼熊・マガ魂!いよぉぉぉ!!』
「『霊獣転生』!!」
変身するや否や、イエローは側にあった大型バイクを軽々持ち上げてそれをブンブン振り回した。
「うぉぉぉ!!」
自慢の怪力を生かして分身軍団を蹴散らしていく
一方で政宗も分身軍団と交戦し、自慢の剣捌きで分身軍団をバッタバッタと斬り伏せていく
「…クソッ!わらわらわらわら湧いてきやがってうざってぇ!」
『龍・マガ魂!いよぉぉぉ!!』
「『霊獣転生』!!」
「『奥義!無双剣舞・龍牙鋭斬』」
必殺技で一気に分身軍団を蹴散らすグリーン
「ハァ、ハァ、どうだコノヤロー!…ハァ、大分時間食っちまったな…姉貴達は大丈夫か?」
一方で聖奈と百華は…
「ねぇお姉ちゃん、どうしたのさっきからずっと黙ってるけど…」
「…しっ!静かにして!」
「…ほえ?」
「………」
周囲を目を凝らす様に見渡す聖奈、すると急に走り出した
「…こっちよ!」
「えっ?ま、待ってよぉ!」
しばらく走ったところで今度は急に止まり、また周囲を見回す
「お姉ちゃん!急にどうしたの?」
「…近くに本物がいるの、気をつけて!」
「えっ!?うそっ!何で分かるの?」
「叉多尾のマガ魂の力のお陰よ、あの子妖気の感知が得意なの、これを持ってるお陰でアタシも妖気感知ができるの、まぁ叉多尾には及ばないけどね」
「へぇ、お姉ちゃんすごい!」
「フッ…さぁ、だから隠れても無駄よ!さっさと出てきなさい!」
『クックックッ、まさか妖気感知ができるとは…恐れ入ったでござる』
煙とともに現れた猿飛
「まずはよくぞ見つけたと褒めておこう…だが!お主らのような小娘に果たして拙者が倒せるかな?もう時間まで残り一刻もないでござる」
「…もう迷ってる暇はないわね、一気に倒すわよ百華!」
「うん!」
『猫又・マガ魂!いよぉぉぉ!!』
『九尾・マガ魂!いよぉぉぉ!!』
「『霊獣転生』!!」
「さぁ来い小娘どもぉ!!」
猿飛相手に奮闘するブルーとピンク、しかしピンクは猿飛の素早い動きについていけず悪戦苦闘している。
「あたっ!」
「百華!」
「隙ありだ!」
「させないわ!」
間一髪のところでブルーが割って入り、ピンクの身代わりとなって斬られた。
「うっ!」
「お姉ちゃん!」
「フハハハ!不様極まりないでござるなぁ!他人を守る為に自らを犠牲にするとはな!」
「お姉ちゃん!大丈夫?」
「これくらい平気よ…どうってことないわ」
「でも…」
「大丈夫だから、可愛い妹や弟達を守るのはアタシの役目!アタシは、あんた達を絶対に守る!何故ならアタシは…あんたらのお姉ちゃんで、そして…みんなの母親代わりだから!」
「お姉ちゃん…」
と、丁度そこへレッド達も漸く合流してきた。
「姉ちゃん!百華!」
「お兄ちゃん達!」
「雄吾!丁度良かった、四神マガ魂貸して!」
「え?あ、あぁ!分かった!」
四神マガ魂をブルーに投げ渡す
「これで終わりよ、覚悟しなさい!」
「『四神・マガ魂!うぉぉぉ!!』」
「『四神転生』!!」
ゴッド・ヨーカイブルーに変身するや否や、一瞬にして姿を消す
「なっ!?」
「ど、どこへ消えた小娘!?」
「こっちよ!」
背後からいきなり現れて思い切り斬りつける
「ぐわっ!この…!」
振り向くともうブルーはおらず、今度はまた逆側から現れて思い切り斬りつけた。
「ぐわっ!」
「は、早ぇ~…」
「すごい早さだ…とても目でなんて終えないよ…」
「あぁ、俺よりも断然早ぇ…」
「お姉ちゃんすごぉい…」
どんどん加速してどんどん斬りつけるブルー
「あだっ!ぐおっ!ぐぼぉっ!」
「これでトドメよ!『奥義!四神 猫爪瞬神乱舞』!!」
「ぐわぁぁぁぁぁ!!」
四神の力でパワーアップした必殺技をくらい倒れる猿飛
するとそこへゴウズとメイズが現れた。
「ホッホッホッ、ずいぶんとまたあっさりとやられてしまいましたねぇ…ゴウズ、頼みましたよ!」
「ウッシッシッ!任せな!『消え行かんとする魂よ、今ここに汝に再び命の灯を点し大いなる力を汝に授けん』!うらぁぁぁ!!」
大槌で猿飛を力いっぱい叩く、すると猿飛は巨大化して復活した。
「懲りない連中だな…獅子丸!来い!」
巨大化した獅子丸達に続いて巨大化した狛犬兄弟の頭に乗ったヨーカイジャスティスも一緒に現れた。
「皆すまぬ!遅くなった!」
「ホント来るの遅いわよ!遅れた分しっかりと働きなさい!」
「かたじけない!ゆくぞ!阿犬!吽犬!」
「おうよ!」
「はいな!」
「『霊獣合体』!!」
「『雷獣合体』!!」
「『完成!ヨーカイオー』!!」
「『完成!ライジュウオー』!!」
「拙者の術は何も分身するだけではないぞ!見よ!『忍法・火遁の術』!」
口から火を吹く猿飛、ライジュウオーが結界のバリアーを張ってヨーカイオーを守る。
『クッ…何のこれしき』
「雷童丸!」
「フハハハ!燃えろ燃えろぉ!」
「野郎…そっちが炎ならこっちはこれだぁ!」
「『河童・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」
次の瞬間ヨーカイの手から水飛沫が飛び、炎を掻き消した。
「お、己ぇ!ならば!『忍法・水遁の術』!」
今度は猿飛が水飛沫を噴射する
『甘いぞ!はぁっ!』
すかさずライジュウオーが結界に電撃を加えて電磁バリアーを作る、すると電磁バリアーに触れた水を伝って感電する猿飛。
「ぐぼぉっ!し、痺れビレ…」
「トドメだ!」
「必殺!『ヨーカイオー・フルブラストスクリーム』!!」
「『ライジュウオー・ライジングキャノン』!!」
「ぐわぁぁぁぁ!!こ、これにて拙者、ドロンさせていただきます…ドローン!」
断末魔とともに爆発する。
…陰丸一族を無事に倒し、陽向家では聖奈の誕生日パーティーが行われた。
「誕生日おめでとう~!!」
全員でクラッカーを鳴らしてお祝いする
「ありがとう、みんな!」
「お姉ちゃん!はいこれ!モモカ達からのプレゼント!」
「えー、何々?」
箱を開けるとそこに入っていたのは真新しい包丁セットだった。
「これ…!」
「へへっ、前に姉ちゃんいつも使ってる包丁が切れ味悪くなってきたって言ってたからさ、俺達で金出し合って買ったんだぜ!」
「これでまた美味しい料理を作ってね!」
「あんた達…ありがとう、大事に使うわ…」
「料理と言えば、雷童丸は?今日はあいつが晩飯全部作ったって言ってたけど?」
「あぁそういえば来ないね…どうしたのかな?」
みんなが雷童丸が来るのを待っていると、漸く雷童丸と霊獣達ができた料理を運んできた。
「お待たせし申した!この不肖 雷童丸が皆の為に丹精込めて作りました!是非ご賞味あれ!」
「おぉ!うまそう!」
「では、いただくとするか!」
「せーの、いただきます!」
雷童丸の料理を一口食べる
「!?」
「こ、これは…!?」
「…マッッッッッズイ!!」
雷童丸の料理の味に悶絶する雄吾達
「なんじゃこりゃ!?見た目すごいうまそうなのにあり得ないぐらいにマズイ!」
「酷い味…逆になんでこうなるのかが不思議でしょうがないわ」
「うへぇ~、口の中が…不快感でいっぱいだよ~」
「てめぇ雷童丸コノヤロー!俺達を殺す気か!」
「流石のモモカでもこれは…無理」
「うぅ…血圧が…」
「ちょ、父さん!」
「おかしい…そんなはずは!」
あまりのマズさに人間達が悶絶する中、霊獣達は
「いや、これ中々イケるぜ!」
「ホントホント!結構美味しいニャン!」
「うむ!オイは案外嫌いじゃなかったい!」
「ふむ…まぁ確かに変わった味だが、悪くはない」
「あい、ウチもこういった刺激的なお味のお料理も好きでありんす」
「流石はアニキじゃ!のぅ吽犬!」
「はいな兄さん!何杯でもいけますけぇのぅ!」
「お、お前達…」
「結局何?獅子丸達の口には合ったってことか?」
「そうみたいだね…」
「もー、モモカ達のゴハンはー!モモカお腹空いたー!」
「しょうがないわね、簡単でよければアタシがすぐ作るわ」
「いいっていいって!今日一日は姉ちゃんは何もしなくていいからさ!あ、そうだ!出前とろう出前!」
「おぉそれがいい!そうしようぜ姉貴!」
「ふーっ、分かった…けどあんまり高いものは頼んじゃダメだからね!ラーメンとか蕎麦とかにしなさい!」
「ちぇー、つまんねぇの…」
「こら政宗!聞こえてるわよ!」
「やべっ!」
「こら!待ちなさーい!」
「ハッハッハッ!元気元気!」
「もう、父さん…呑気に笑ってる場合じゃなくて…」
続く




