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霊獣戦隊ヨーカイジャー  作者: 紫龍院 飛鳥


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第十五話 お盆でリ・ボーン!?真夏の幽霊パニック!

お盆の季節が到来し、陽向家は先祖のお墓参りに来ていた

みんなでせっせと墓石の周りを綺麗にしている。

「…さてと、大分綺麗になったな!」

「そうね…百華、持ってきたお花差してくれる?」

「うん」

お供え物を供えてみんな静かに手を合わせる


お墓参りを終えて寺へ戻る。

(お盆か…年に一度、死者の魂が現世に帰ってくる日…きっと帰って来ているだろうか、母上も…)

縁側に座りながらぼんやり空を眺める雷童丸

「雷童丸!」

「ライちゃん!」

「政宗殿、百華殿…」

「お姉ちゃんがおはぎ作ってくれたよ!早くいって食べようよー」

「早くこねぇとみんな食っちまうぜ!」

「うむ…」

「?、どうかしたの?」

「いや、今頃私の母上の魂もこちらに戻られているだろうかと思ってな…」

「ふーん、雷童丸の母ちゃんってどんな人なんだ?」

「私の母上は、とても優しくて温かくて…そして音楽が好きで笛を吹くのが上手だった…」

「ふーん、そうなんだ…」

「だが母上は、流行り病にかかってしまい…私が物心つく前に死んでしまった…」

「そっか…それじゃモモカ達と一緒なんだね…」

「えっ?」

「俺らの母ちゃんも、俺らを産んですぐに死んでんだ…」

「!?」

「出産の日、俺は無事に生まれたんだけどさ…百華だけはへその緒が首に絡まっててほとんど死んだ状態だったんだ…そんな時、母ちゃんは自分の生命エネルギーを百華に全部注ぎ込んで百華を生き返らせたんだと…」


今から十七年前…政宗と百華が生まれた日

帝王切開で先に政宗が取り上げられて後は百華を残すのみだった。

「…よし、後もう一人だ!」

「先生!大変です!この子へその緒が首に絡まってます!」

「何だって!?すぐに処置を!」

「はい!」

急にあわただしくなる分娩室、一方外で母子の無事を祈る虎三郎と幼い頃の雄吾達。

「ご先祖様…どうか、妻と生まれてくる赤ん坊をお守り下さい!」

数珠を握ってただひたすら祈る虎三郎、それを心配そうな眼差しで見る雄吾達

「先生!呼吸が全くありません!」

「すぐに人工呼吸を!」

医師達は懸命に処置するも百華が息をすることはなかった。

「…残念ですが、片方の赤ちゃんは助けることができませんでした…」

「そんな…あぁ…あ゛ぁぁぁ!!」

悲しみにくれる虎三郎、その時…母が目を覚まし

「…あな、た」

「!?、百恵!」

「…赤ちゃんは?」

「あぁ、それが…男の子の方は無事に生まれたんだが…女の子の方は…くっ!」

唇を噛み締める虎三郎、百恵は虎三郎の手を握りあることをお願いした。

「あなた…お願いがあるの、私の生命力を…この子に、注いであげて…」

「何を言っているんだお前!ただでさえ出産で体が弱っているのにそんなことをしたらお前が…」

「お願い…!あの子には、何があっても生きていてほしいの…」

「百恵…分かった、やってみるよ!」

虎三郎は右手で百恵の手を握り、左手をそっと百華の胸に宛がう

そして百恵の体から生命エネルギーを百華へ注入する。

「うぅ…!」

「百恵!」

「大丈夫…続けて…」

「くっ…!」

百華に生命エネルギーを送り続ける、するとその時だった。

「…おんぎゃー!おんぎゃー!」

無事に息を吹き返した百華、元気な泣き声を挙げている。

「やった、やったぞ!百恵!」

「あなた…ありがとう…」

「ほら!ちゃんと顔を見てやれ!」

百恵の側に百華を連れていく、百恵は涙を流しながら百華をそっと抱きしめ

「…よかったわね、あなたの人生は今日から始まるのよ…目一杯生きるのよ…」

そしてそのまま百恵は眠るように息を引き取っていった。

「百恵?おい!百恵!しっかりしろ!百恵!百恵ー!!」


…現代に戻る


「…そんなことが、あったのか」

「あぁ、でもそのおかげで百華は今でもピンピンしてるわけだし、感謝しかないよな!」

「うん…」

「百華殿…」

「モモカは大丈夫!あぁなんかお腹空いちゃった、早くいっておはぎ食べよ!」

「う、うむ…」



一方その頃、陰丸一族の屋敷では

「そうか、彼奴らめ…四神の力を手に入れおったか」

「はい…如何致しましょうか、紫龍斎様…」

「さて、どうしてくれようか…」

「失礼致します…」

「あなたは、果心居士…」

「紫龍斎様、紫怨様…ここは一つ、それがしにお任せしていただけますでしょうか?」

「ほう…何やら策があるのか?」

「はい…この日の為のとっておきでございます」

「よし、ならばやってみよ!」

「はっ…」



…一方で、陽向一方の屋敷では


「うーん、やっぱ姉ちゃんのおはぎは最高だな!」

「あっちょっと兄さん!それ僕の!」

「へへーんだ!早いモン勝ちダヨ~ン!」

「こら!まだ沢山あるから喧嘩しないで!」

「ん?ご当主様は?」

「あぁ、父さん甘いもの食べないのよ…なんか血糖値があんまり良くないらしくて」

「じゃあ、親父の分も俺が食ーべよ!」

「あっ!ユウ兄ばっかズリィぞ!何個食ったよ!」

「ほら喧嘩しない!全くウチの男どもはこれだから…」

と、その時だった。

「おーい!お前達!た、大変だ!ちょっとテレビつけてみろ!」

「親父、どうしたんだよそんな血相変えて」

「いいから!早く!」

「ん?あぁ…」

テレビをつける、テレビをつけるとニュース速報が入っていて

『速報です、現在各地で亡くなったはずの人々が突然目の前に現れて生き返るといった奇妙な現象が起こっており、専門家の話によると…』

「死んだ人間が、生き返る…!?だって!?」

「マジかよ、お盆だからマジでこっちに戻ってきたのかよ…」

「そんなわけあるかバカモン!きっと陰丸一族の仕業に違いない!」

「しかし、陰丸一族の気配らしきものは毛ほども感じぬ…」

「とにかく行ってみよう!何か悪い予感がする!」

「うん!」

外へ出て陰丸一族を探すヨーカイジャー達



いざ外に出てみると町のあちこちで亡くなったであろう人々が家族や友人、恋人との再会を喜び合っている。

「…いないな、獅子丸、何も感じないか?」

「…いやダメだ、何も感じねぇ」

「そうか、くそ!どこにいるんだ?」


「叉多尾、そっちはどう?」

「うーん、いないニャン…ホントにいるニャンか?」

「ずべこべ言わないの!ほら、次こっち!」

「もう、ホント霊獣使いが荒いニャン…」


「どこにおるんばい!陰丸一族!いたら出てくるたい!」

「熊兵衛…そんな素直に簡単に出てくるわけないでしょ普通に考えて…」

「おぉそうかそうか!うっかりしとったばい!ガハハハ!」

「はぁ…」


「…タッツィーどうだ?なんか見えたか?」

「いや、全くだ…奴らめ我々の目を欺くなど不届きな…」

「どうどう落ち着けって、もっとあっち見てみようぜ!」


「…クンクン、クンクンクン」

「どうだ二人とも?何か感じるか?」

「ダメじゃアニキィ、何か変な匂いが紛れてて上手く鼻が効かんけぇのぅ」

「オイラもダメじゃき…何ならぁ?この匂い?」

「確かに、この匂い…お香か?」

「何にせよ、これじゃ上手く鼻が効かんけぇ、これ以上は無理じゃあ…」

「くっ…己ぇ、小癪な!」


一方で百華と九威女は

「…うーん、いないね…陰丸一族」

「ほんだすなぁ、そやけど…何どすやろなぁ?この嫌~な雰囲気…何や落ち着きまへんなぁ…」

「どうかしたの九威女?」

「へぇ、なんて説明したらよろしいのやら…」

すると、その時だった…

「百華…」

「えっ?」

後ろから名前を呼ばれ振り向くと、そこには死んだはずの母 百恵が立っていた。

「…マ、ママ?」

「これは、驚きんしたなぁ!まさか百華はんのお母はんまで…」

「ママ?ホントに、ママなの?」

「えぇそうよ、大きくなったわね百華…」

「ママ…ママー!ふぇ~ん…」

泣きながら母の胸に飛び込む百華

「ママ…ずっと、ずっと会いたかった…」

「私もよ…ごめんね、ずっと寂しい思いをさせて…」

「ううん、いいよ…もう…」

百華の頭を優しく撫でる百恵

「…はっ!?百華はん!今すぐその人から離れてくんなんし!」

「えっ!?」

「…ちっ!もうバレてしまったか…」

「ママ…?」

すると次の瞬間、百恵の姿から一転…果心居士が姿を現した。

「!?」

「百華はん!」

「おっと動くな!少しでも妙な真似をしてみろ、この娘の命はないぞ!」

「うっ…」

そう言って百華の首を締める果心居士、するとそこへ雄吾達が合流してきた。

「百華!」

「皆はん!」

「あいつはたしか、果心居士!」

「なるほど、くだんの騒ぎの元凶は貴様か!」

「フフフ、その通り!彼奴らは全て某の強力な幻術により実体化させた忠実なる下僕達!そして我が術により意のままに操ることもできるのだ!」

すると突然、実体化した死者達は果心居士の術によって操られてめちゃくちゃに暴れ出した。

「なんて酷いことを、死者を冒涜するにもほどがあるわよ!」

「獅子丸、お前達は人々を安全な場所に避難させてくれ!」

「合点だ!」

「よしみんな、いくぞ!」

「おう!」


「『霊獣転生』!!」

「『雷獣転生』!!」


「陽向一族の名の下に、悪しき魂を浄化する!」

「正義の名の下に、沈め!」


「やれ!お前達!」

果心居士の号令と共にカゲオニ達が飛び出しヨーカイジャー達に向かっていく

「はぁっ!!」

バッタバッタとカゲオニ達を倒していくヨーカイジャー

「百華!今助けるぞ!」

百華を助けに向かうレッド

「バカめ、ふんっ!」

幻術を使ってレッドの動きを封じる果心居士

「なっ!?」

いきなり体が地面に沈んでいき、身動きが取れなくなるレッド

「雄吾兄ちゃん!」

「雄吾!」

「兄さん!」

「ユウ兄!」

「雄吾殿!」

「フフフ、某の幻術にかかったが最後、抗うすべはなし!フフフ、ハハハ!」

すると百華は果心居士の腕に思い切り噛りついた。

「がっ!?この小娘!」

百華を無理やり振り払いその勢いで百華は果心居士の手から逃れる。

「百華!大丈夫!?」

「うん…平気」

「くっ…己よくも、許さんぞ!」

獣人態に変身する

「貴様ら纏めて、目にもの見せてくれる!喝っ!」

すると周りの空間が歪み、果心居士の幻術空間となった

地面は波打つように揺れ、空はぐにゃぐにゃに歪み、まさに混沌とした空間となった。

「な、なんだこれ!?」

「くっ…!なんか、上手く立てない!」

「まさか、これほどまでの幻術空間を作り出すとは…果心居士、恐ろしい男だ…」

「あんたなんかに…負けないんだから!」


「『九尾・マガ魂!いよぉぉぉ!!』」


「『霊獣転生』!!」


「待っててみんな、今助けるから!むむむ~!」

果心居士の幻術に抗い、空間を元に戻そうとするピンク

「ふん、中々やるな…だが所詮は子供騙し、某の足元にも及ばぬわ!はぁっ!!」

更に空間を歪めていく果心居士、ピンクは必死に抗うも力僅かに及ばずに押し戻されてしまう。

(もう…ダメだ…モモカの力じゃ、これ以上は…もう)

諦めかけたその時だった

『諦めてはダメよ、最後まで頑張りなさい!』

百華の心の中で誰かの声がした

(この声…まさか、ママ?)

『百華!』

すると目の前に百恵の幻影が現れ、百華の手にそっと手を添える

(何だろう…なんか温かくて、ホッとする…なんか、体の底から力が溢れてくる!これなら、いける!うぁぁぁ!!)

百恵からもらった力で限界をぶち破り果心居士の幻術空間を破壊する

「なっ!?なんだとぉ!?そんなバカな!あり得ん!真に幻術を極めし某の術が、こんな小娘ごときに…!」

「雄吾兄ちゃん、『あれ』貸して!」

「『あれ』って…四神マガ魂か?」

「うん、貸して!」

「わ、分かった!」


「『四神・マガ魂!!うぉぉぉ!!』」


「『四神転生』!!」


四神マガ魂を使って『ゴッド・ヨーカイピンク』に変身する

「あなたはもう許さない…もう一度地獄に戻って、罰を受けなさい!」

「!?」

「『奥義・幻技 四神演舞百華葬』!!」

四神の力が加わり、更にパワーアップした必殺技で畳み掛ける。

「ぐぁぁぁぁ!!」

断末魔と共に爆発する

「すげぇよ百華!なんだ今のものすごい技!」

「…ハァ、ハァ、ふぅ~…」

力を使い果たして変身が解ける

と、そこへゴウズとメイズが現れる。

「ホッホッホッ、おやおや…果心居士がやられてしまったようですねぇ、仕方ありません、ゴウズ!」

「おうよ!『消え行かんとする魂よ、今ここに汝に再び命の灯を点し大いなる力を汝に授けん』!うらぁぁぁ!!」

果心居士の残骸を大槌で力いっぱい叩く、すると果心居士は巨大化して復活した。

「百華は少し休んでな!後は俺がやる!」


「『四神・マガ魂!!うぉぉぉ!!』」


「『霊獣合体』!!」


「完成!『グレードヨーカイゴッド』!!」


「四神の力か…返り討ちにしてくれる!はぁっ!」

「二度も同じ手を食うか!はっ!」

「ぐわぁっ!」

「本体を攻撃しちまえば幻術は解ける!さっき百華が実証してくれたからな!だったら幻術を使わせないように素早く攻撃するだけだ!」

猛ラッシュを叩き込み、果心居士に幻術を使わせる隙を与えないようにする

「これでトドメだ!『必殺!グレードゴッド・アルティメットファイヤー』!!」

灼熱の炎で果心居士を燃やし尽くしていく

「ぐっ…某がこのような奴らに倒されるなど、あってはならぬ!こんなところで…こんなところでぇぇぇぇ!!」

断末魔と共に爆発する果心居士



…戦いの後、百華は母の仏壇に手を合わせる。

「ママ、今日は助けてくれてありがとう!モモカ、これからうんとうんと強くなるから!だからママも天国からモモカのことずっと見守っててね!それと、モモカのこと…産んでくれてありがとう!ママ…大好きだよ!」

お鈴を鳴らし、もう一度手を合わせる

「百華ー!早く来いよー!そろそろ始めるぞー!」

「うんーっ!今行くー!」

全員浴衣や甚平に着替えて縁側に集合している

「お待たせ!」

「よし!じゃあみんな揃ったところで…陽向家夏の恒例行事・花火大会始めるぞー!みんなくれぐれもケガしないように思う存分花火を楽しもう!」

「イエーイ!!」

それぞれ花火に火をつけて楽しむ

「あっ!見てあれ!」

遠くの方で大きな打ち上げ花火が上がっている

「キレーだなぁ…」

「懐かしいな…昔母さんにプロポーズした時のことを思い出すなぁ…」

「えっ?なんて言って母さんにプロポーズしたのよ父さん!」

「バ、バカモン!そんなもん恥ずかしくて言えるか!」

「へぇ、俺も聞きたい!」

「僕も僕も!」

「モモカも!」

「おいどんも!」

「タビさんも!」

「ウチも」

「ワシらも!」

「くぅ~、もう知らん!」

「あっ逃げた!待ってよ父さん!」

逃げる虎三郎を追いかける聖奈達

「ハハハ、賑やかだな…」

「ホント、やっぱ楽しいよな家族一緒だと!」

「うむ…家族、か…」

「何言ってんだ!オメェだって立派な俺様達の家族だぜ!だよな雄吾!」

「うん!」

「雄吾殿…獅子丸…」

「お!花火また上がった!たまやー!」

「フフフ、たまやー!」

「たまやー!!」



続く

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