第十一話 雷(いかづち)の巨人!ライジュウオー 爆誕!!
「『霊獣合体』!!」
突然巨大カゲオニ軍団が街に現れ、ヨーカイオーで立ち向かうヨーカイジャー。
「行くぞぉ!」
巨大カゲオニ軍団と対峙するヨーカイオー、しかしあまりの数に圧倒されて少々苦戦している。
「くそ!数が多すぎる!」
その時、遅れて到着したジャスティスと狛犬兄弟
「アニキィ!兄さん方のピンチですぜ!ワシらも大変化して助太刀を!」
「…いや、お前達だけで行け…私は後から援護する」
「何を言っとるんじゃアニキ!そがなこつ言っとる場合やなぁじゃろ!もうえぇ、行くで吽犬!」
「はいな兄さん!」
巨大化してヨーカイオーの助太刀に入る狛犬兄弟
「兄さん方!助太刀しますけぇのぅ!」
「すまないお前達!」
狛犬兄弟も加わり巨大カゲオニ軍団をどんどん圧していく
「…くっ!」
ジャスティスは刀を構えて巨大カゲオニに立ち向かっていく。
「うぉぉぉぉ!!」
凄まじい斬撃で巨大カゲオニを1体斬り伏せるジャスティス
「凄いな雷童丸、あんな大きい奴をたったの一撃で…」
「ボサっとしないで剛丸!来るわよ!」
どんどんと巨大カゲオニ達の数を減らしていくヨーカイジャー
「これで一気にトドメだ!」
「『ヨーカイオー・フルブラストスクリーム』!!」
残りの巨大カゲオニ達を必殺技で一掃する
巨大カゲオニ軍団を倒し、屋敷へ戻る一同
「………」
「おいワン公、何難しい顔してやがんだ?」
「む…いや、何故雷童丸のアニキはああまでして大変化したがらないかのぅ、と思ってな…」
「んだよそんなことかよ」
「ワシが思うにアニキはワシらに何か隠しちょると思うんじゃ…」
「あいつがか?…うーん」
「やはりここは男らしくアニキに聞いてみようと思うちょる!」
「やりたきゃ勝手にやれよ!俺様はそこまで付き合いきれねぇからよ!」
…一方その頃、当の本人である雷童丸は
「…OKライちゃん、カメラ回して!」
「…う、うむ」
「…オッス!オラ百華!モモちゃんねる始まるよ~!」
百華の動画撮影の手伝いをしていた。
「えー、本日の企画はー…じゃーん!『バケツプリン大食いチャレンジ』をしたいと思いまーす!イェイイェイ!」
と、撮影をしていると
「アニキィ!」
「あ!ちょっと阿犬ちゃん!今撮影してるから入ってこないでよぉ!ごめんライちゃん、一回止めて」
「うむ…して、一体どうした阿犬?そんな血相変えて」
「アニキ、もうこの際じゃけぇはっきりと聞かせて下せぇ!アニキはなしてそこまでして大変化することを拒み続けるんじゃ?」
「…その話なら私は答えるつもりはない」
「何故じゃ?」
「…お前達にはこれ以上迷惑はかけられない、ただそれだけだ!」
その一言だけ言い残してその場を去っていった雷童丸
「アニキィ!待って下せぇ!アニキィ!」
「ライちゃん…」
縁側で一人膝を抱えてため息をつき考えごとをする雷童丸
するとそこへ
「雷童丸!」
「…雄吾殿」
「百華と阿犬から大体聞いた、なんか悩みがあるんだろう?」
「…うむ」
「もし俺でよければ話ぐらい聞くぜ?」
「うむ…実は、大変化の術のことで色々と悩んでいるのだ…」
「大変化?」
「知っての通り私は半分が人間で半分が霊獣であるが故に、やはり純粋な霊獣とは違い中途半端な妖力しかない、そのせいで能力や術もイマイチ中途半端でな…ましてや大変化をしたら体が大きくなった分妖力の制御が難しくなり暴走してしまうのだ…そのせいで私はお前達の足を引っ張るわけにもいかぬ、だから私は…大変化に頼らずとも巨大な敵に打ち勝ってみせると誓ったのだ」
「雷童丸…」
と、その時だった。
「!?」
「雷童丸!」
「この気配…奴らだ!」
「また出たか!」
「くっ…!」
「あ、おい!待てって!」
現場に到着する、現場ではスプレー缶から作られた『スプレー男』が暴れ回っていた。
「プシュシュシュ!くらえ!」
街の人々に怪しげなガスを吹きかける、するとかけられた人々の体には紫色の斑点が表れ苦しそうに悶え始めた。
「大丈夫ですか!?これは…」
「毒か…くっ!下衆な真似を…」
「ホッホッホッ!現れましたねヨーカイジャー!」
「メイズ!なんて酷いことを、許さないぞ!」
「ホッホッホッ!このスプレー男の毒霧を浴びれば二時間もすればあの世行きです、それまでに倒すことができますでしょうかね?」
「フン、やってやる!みんな、いくぞぉ!」
「おう!」
「『霊獣転生』!!」
「『雷獣転生』!!」
「『猛る若獅子!ヨーカイレッド!』」
「『瞬神の猫又!ヨーカイブルー!』」
「『剛力の鬼熊!ヨーカイイエロー!』」
「『天昇の龍!ヨーカイグリーン!』」
「『魅惑の九尾!ヨーカイピンク!』」
「『正義の稲妻!ヨーカイジャスティス!』」
「『霊獣戦隊!ヨーカイジャー!!』」
「陽向一族の名の下に、悪しき魂を浄化する!」
「正義の名の下に、沈め!」
「ホッホッホッ!では行きなさいカゲオニ!」
カゲオニ軍団を繰り出しヨーカイジャーに襲いかかる
ヨーカイジャーはバッタバッタとカゲオニ軍団を圧倒していく
「プシュシュシュ!くらえ!」
毒霧を噴射するスプレー男
「おっと!」
危機一髪のところでかわすレッド
「あの野郎、変なもん撒き散らしやがって!」
「あれじゃあ全然近寄れないよぉ!」
「だったら俺に任せろ!獅子丸!来い!」
「あぁ!フン!」
バズーカ砲に変化する獅子丸
「くらえ!シュート!」
獅子バズーカを放つ、しかしどこからともなくゴウズが現れてレッドの放った弾を弾き飛ばしてしまった。
「なっ!?」
「ウッシッシッシ!遅くなったな!」
「まったく、遅いですよゴウズ!」
「まぁ堅ぇこと言うなっての!こっから挽回してやるからよ!」
大槌を振りかざしヨーカイジャーに襲いかかる。
「くっ!こいつ!」
ヨーカイジャーがゴウズと戦っている間、隙を見て逃げようとするスプレー男
「!?、あやつ!逃がすものか!」
スプレー男を追いかけて斬りかかるジャスティス
「プシュ!」
「お前はここで仕留める!はぁっ!」
「くっ!くらえ!」
ジャスティスに向けて毒霧をかけようと構える
「させん!ふっ!」
目にも止まらぬ速さでスプレー男に斬りかかる
「ぐあぁぁぁ…なんてな!」
すると、斬られた箇所から毒霧が漏れ出した。
「しまった!」
「死ねぇ!」
「雷童丸!危ない!」
すると突然、レッドが雷童丸の身代わりになって毒霧を浴びてしまった。
「ぐっ!…ぐあぁぁぁ!!」
「雄吾殿!」
「雄吾!」
「兄さん!」
「ユウ兄!」
「雄吾兄ちゃん!」
変身が解けその場に倒れこむ、体には紫色の斑点が表れ苦しそうに悶える雄吾。
「チィっ!ガスが切れちまった!」
「スプレー男、ここは一先ず退きますよ…ゴウズ!」
「おうよ!あばよテメェら!ウッシッシッシ!」
撤退していくメイズ達、全員変身を解除して雄吾に駆け寄る
「雄吾!しっかりして!」
「ハァ、ハァ、ハァ…」
額からは脂汗が滲み、顔の血色も段々と青ざめていく
「どうしよう…どうしよう!?このままじゃ雄吾兄ちゃんが…」
「落ち着きなさい百華、とりあえずあんたと剛丸で屋敷まで雄吾を連れて戻ってて、私と政宗で奴ら探し出して倒す!もう時間がないわ…早くしないと他の人達も…」
「私も…行く!」
「雷童丸…」
「雄吾殿は私のことを庇ってこうなったのだ、だから…あの怪人は私がこの手で倒す!」
「…分かったわ、とりあえず行きましょう!」
「おう!」
「うむ!」
…雄吾を屋敷に連れて帰り、手当てをする剛丸と百華達
「ハァ、ハァ、ハァ…」
「とりあえず布団に寝かせたまではいいけど…どうしたらいいかな?」
「えと…どうしよう、どうしよう…」
どうしたらいいか分からずオロオロする剛丸と百華
「百華はん、雄吾はんにこれを…毒によく効く薬草どす、これを使っておくんなんし!」
「九威女、ありがとう!」
「よし、じゃあ早速磨り潰して飲ませよう!熊兵衛手伝って!」
「合点ばい!力仕事ならおいどんに任せんしゃい!」
…一方その頃、スプレー男を探す聖奈達は
「どう叉多尾?」
「んー、ダメニャン…この辺にはいないみたいニャン」
髭をぴくぴく動かしてレーダーのようにスプレー男の気配を辿る叉多尾
「そうね、今度はあっちをお願い!」
「えー、まだやるニャンか?もう疲れたニャン…」
「四の五の言わないの!ホラ早く!」
「はぁ、もう霊獣使いが荒いニャン…」
その一方で、政宗は龍之進と空から飛んで探していた。
「どうだ?そっちいたかよタッツィー」
「うむ、ダメだ…いない」
「チッ、あの野郎どこ行きやがった?」
「もう後30分もない、一刻も早く彼奴を倒さねば!」
「あぁ、絶対ぇユウ兄は死なせねぇ…急ぐぞタッツィー!」
「うむ!」
…そしてその一方で雷童丸も狛犬兄弟の嗅覚を頼りにスプレー男を探していた。
「クンカクンカ、クンカクンカ…」
「どうだ?いたか?」
「クンカクンカ…うーんいないのぅ、この辺りから臭いがするんじゃけぇど…」
「あっ!兄さん!大アニキ!あれ!」
すると、毒に侵された人を発見する吽犬
「…まだ斑点が新しい、奴ら近くにいるな」
「クンカクンカ…こっちじゃ!」
「よし、いくぞ!」
「はいな!」
臭いのした方へ向かい、漸くスプレー男を探し当てることができた。
「見つけたぞ!」
「プシュシュシュ!なんだお前一人だけか!」
「なんじゃとワレェ!アニキを馬鹿にすんな!」
「亜犬、もういい…二人とも下がってろ、後は私がやる」
「アニキ!」
「大丈夫だ、いいから下がってろ」
雷童丸にそう言われ後ろに下がる狛犬兄弟
「プシュシュシュ!この俺様にたった一人で挑むなど笑止千万!お前も俺の毒霧の餌食になるといい!」
「御託はいい…さっさと来い!」
「プシュシュシュ!ならお望み通りにしてやる!うぉぉぉ!」
「『雷獣転生』!」
『雷獣・マガ魂!イェェェイ!!』
変身してスプレー男と対峙する
「何故だ!?何故お前はあの人間の為に必死になるのだ!」
「雄吾殿は、こんな半端者の私を何も言わずに受け止めてくれた!彼は私のかけがえのない『友』だ!その大事な友を…お前のような奴に、殺されてたまるものか!うぉぉぉ!!」
怒りの一撃でスプレー男に斬りかかる
「ぐわっ!」
スプレー男の腹にジャスティスの刀が突き刺さる
「く、くくく…かかったな!俺の体を傷つければどうなるか、もう分かっているだろう?」
「分かっているさ、だったら…こうするまで!」
すると、雷童丸は刀を腹に突き刺したまま放電し始めた。
「なっ!?や、止めろ!ガスに引火したら爆発するぞ!そしたらもお前まで巻き添えだぞ!いいのか!?」
「フッ、それも百も承知!このまま道連れだ!」
「よ、止せ!」
「はぁぁぁ!!」
どんどんと電気の勢いを上げていく、すると等々スプレー男の体内のガスに引火し大爆発を起こした。
「…ハァ、ハァ、ハァ、お前達!?」
「すいやせんアニキ!いてもたってもいられなくてつい!」
なんと爆発する寸前に狛犬兄弟が危機一髪のところでジャスティスを助け出したのだった。
「…フン、まぁいい…礼を言う」
「へへ…」
すると、そこへ聖奈達が合流してきた
「あ、いたわよ!」
「おーい!雷童丸~!ワンコロ~!」
「お主達…」
「今の爆発は?まさか、これ全部お主が…」
「うむ、まぁ少し…危なかったがな」
…スプレー男が倒されたところで毒に侵された人々はみんな元に戻った。
「…はっ!」
「あっ!雄吾兄ちゃん起きた!」
「え、嘘!?折角解毒薬できたのに」
「ハハ、すまないなみんな…手間かけさせて」
「ホッホッホッ!たった一人で倒すとはお見事です、ですがまだまだですよ!ゴウズ!」
「あいよ!『消え行かんとする魂よ、今ここに汝に再び命の灯を点し大いなる力を汝に授けん』!うらぁぁぁ!!」
スプレー男の残骸を大槌で力いっぱい叩く、するとスプレー男が巨大化して復活してしまった。
「やっぱり巨大化したわね、政宗!剛丸達に連絡して!」
「オッケィ!」
「その必要はない!」
「!?」
「私が…やる!」
「アニキ!」
「阿犬、吽犬…力を貸せ」
「もちろんじゃけぇ!いくで吽犬!」
「はいな兄さん!」
「『霊獣大変化』!!」
三人とも巨大化して巨大な霊獣の姿になる
巨大化した雷童丸、体が大きくなったことによりいつも以上に妖力がコントロール出来なくなり自我を失う。
『グルルル、ガオォォォ!!』
自我をなくしめちゃくちゃに暴れ回る雷童丸
『アニキ!しっかりするんじゃ!』
『グルルル…ウガァァァ!!』
止めに入った狛犬兄弟を電撃を放って押し退けてしまう
『ぐわっ!?』
その様子をあきれながら見る巨大スプレー男
「な、なんだあいつら?仲間割れか?まぁいいやこの隙に…」
「そうはさせないわ!」
「何!?」
巨大化した叉多尾と龍之進が巨大スプレー男に飛びかかる
「なっ!?は、離せ!」
巨大スプレー男に巻きつく龍之進
「おい!雷童丸!テメェ何してやがんだ!しっかりしやがれ!」
『無駄だ政宗!最早聞こえてなどいない!』
「んなこと言ったってよ!じゃあどうすりゃいいんだよ!」
『己自身に打ち勝つには己自身の力でどうにかするしかないのだ!我々とやかくできることではない』
「何訳分かんねぇこと言ってんだよ!」
『とにかく雷童丸を信じるのだ!信じて待つしかない!』
『グルルル、ウガァァァ!!』
心の中で雷童丸は自分の心と必死に戦っていた。
(…ハァ、ハァ、私は…もう負けぬ!お主ら陰丸一族にも、自分自身の心にも!私は、負けぬ!うぉぉぉぉ!!)
するとその時だった、雷童丸は暴れるのを止めて大人しくなったと思うや否や巨大スプレー男に噛みついて鋭い爪で斬り裂いた。
「ぐわっ!」
「雷童丸…お前」
『皆、待たせたな…私ならもう大丈夫だ!』
『ア、アニキィ!』
『大アニキ!ぶちカッチョえぇけぇ!』
『阿犬、吽犬!やるぞ!』
『おうよ!』
『はいな!』
『霊獣合体!!』
雷童丸を主体として狛犬兄弟が両腕としてくっついて巨大なロボの姿に合体した。
『完成!ライジュウオー!!』
「す、すげぇ…」
「この、よくもやってくれたな…許さん!」
『ハァ!』
巨大スプレー男に強烈な右ストレートをお見舞いする
「あいたぁ!この…!」
『せいやぁ!』
今度は左ローキックをお見舞いする
「ぐわっ!」
『これでトドメだ!必殺!『ライジュウオー・ライジング・キャノン』!!』
強烈に圧縮された電撃の塊を巨大スプレー男に打っ放す
「ぎゃあぁぁぁぁ!!ス、スプレー缶はキチンとガス抜きしてから捨てましょう…プシュー!」
断末魔と共に爆発して消滅する
…スプレー男を倒し、屋敷に戻る一同
「…雄吾殿、体の具合はもう良いのか?」
「あぁ、もうすっかりいいよ!それより姉ちゃんとマサから聞いたぜ、ちゃんと大変化できてその上合体して敵を倒したそうじゃないか、よくやったな!」
「いえ、そんな…そんなことより、申し訳なかった!私が不甲斐ないばかりに雄吾殿をあのような目に…」
「まぁまぁ、気にすんなって!仲間なんだから守るのは当然だろう?あれぐらい全然気にしてないから、安心しろって!」
「雄吾殿…」
そうこう話していると
「ぎゃあぁぁぁ!!」
台所から剛丸の叫び声が聞こえた
「何事!?」
「行ってみよう!」
台所に行くと剛丸が何故か悶え苦しんでいた
「た、剛丸!お前どうした!?」
「あ、雄吾兄ちゃん!さっき作ったお薬、雄吾兄ちゃんもう治ったからもういらないなってなって捨てるのもったいなくて剛丸兄ちゃんが一気に飲み込んだら急に苦しみ出して…」
「これか?どれ…」
試しに少し舐めてみる雄吾と雷童丸
「い゛っ!?」
「うぶっ!?」
「雄吾兄ちゃん!?ライちゃん!?」
「…不っっっ味い!!」
「…ほえ?」
「な、なんじゃこりゃ!?信じられないぐらい不味い!お前達こんなもの俺に飲ませようとしたのか!?」
「ぬう…たった一口舐めただけでこれほどとは…」
「そんな、ねぇ九威女!これホントによく効くお薬なの?」
「えぇホンマどすえ、せやけど昔からよぉ言いますやろ?『良薬口に苦し』不味いのはよく効く証でありんす」
「えぇ~、何それズルいよぉ~」
「そ、そんなことより百華!み、水!早く水くれ!」
「あ、うん!」
続く




