第二十一話「強襲」
お読み頂きありがとうございます。
一番最後にアルゼの設定画が載せてありますので、よろしくお願いします。
迷いの森。
とぼとぼと歩く影一つ。
手に持っていた半分から先が無くなった大剣を一目見た後にあっさりと投げ捨てる。
「あ~……もう。保護しようとした相手に攻撃されるなんて……」
それはアルゼだった。
お金を稼ぐために都に入った彼女だったが、気づけばイヴを狙う落ち人を追跡して、イヴを安全に保護しようとして――このザマ。
「まぁ、外道じゃなさそうだったし……いい……わけあるか!」
一人ツッコミをいれつつアルゼは目の前にあった巨木に強烈な蹴りをくらわせた。巨木はビリビリと振動する。
「お金……ストレス……」
アルゼは考え込んだ。
「そうだ。両方解決できる方法みーつけた。ふふふ……」
迷いの森北西。
急いで森を脱出しようと駆ける人影が5つ。
シフォンに威嚇されて退散した落ち人達だった。
「もうすぐでられそうか?」
髭面の男が尋ねると、茶髪の男が頭に手をやってから答える。
「あぁ、このまま直進で出られる。俺のマッパーの能力は絶対だよ」
「よし、とっととこんな森はでねーとな」
「ぐあっ」
「ぎゃっ」
突然、後ろを駆けていた二人が悲鳴をあげた。髭面の男がそちらを振り返るが駆けてくる気配がない。
「な、なんだ。どうした! ザッツ、ゴゼ」
名前を呼ぶが返事はない。だが、髭面は正面に気配を感じて足を止めて叫ぶ。残りの二人も慌てて警戒した。
「なんだてめーは!」
ゆく手を阻んで立っていたのはアルゼだった。
「んー……そうね。八つ当たりにきた」
腕を組むとアルゼはほくそ笑む。
「あーん? 喧嘩売ってんのかてめぇ!」
「喧嘩を売ってんだよ! あんたらのせいで散々な目にあったんだから」
完全に八つ当たりだった。
「ザッツとゴゼをどうしやがった! まさかてめぇ……」
「あー。生きてるよ。気絶してるだけ」
「落ち人じゃねーのか……?」
「そんなことはどーでもいいでしょ? いくよ?」
アルゼから殺気がほとばしる。
その気配に三人の落ち人は身構えた――刹那。
目にもとまらぬ速さで動いたアルゼが一人の落ち人の目の前に移動すると口の端を吊り上げて笑った。
瞬間――。
あまりの速さに驚く相手の顎をめがけて、飛び上がるように下から蹴りをくらわすと、落ち人は空中で半回転しながら蹴りの威力で浮かび上がる。血を吐きながら空中で呻く相手にアルゼはさらに一回転すると、追撃で腹の辺りを狙って回し蹴りをおみまいした。
名も知らぬ落ち人は吹き飛ばされて木にぶち当たると、糸の切れた人形のように地面に落ちて動かなくなった。
首をコキコキと鳴らしながら、アルゼは呆気に取られている髭面の男のほうに視線を向ける。まさに電光石火。一瞬の出来事であった。
「な、なんなんだよお前……俺達がなにしたってんだ!」
「うっさい」
「くそが! この俺が……爆炎のゲムザと知っての……」
「あーそーいうのいらないから。落ち人ならさー腕っぷしでかかってきなさいよね」
「上等だよ!!」
吠えたゲムザは構えると突然、身体の周りを炎が包み込む。
だが――。
ゲムザが燃え上がった瞬間。アルゼの高速のひじうちがゲムザを捉えていた。
「ぐ……あ……」
胸元にモロにひじうちをくらったゲムザは何が起きたかわからないまま、膝をついてゆっくりと倒れる。同時に炎も鎮火した。
「あんたバカ? 森を大火事にでもする気? はた迷惑なやつね。さてと……あと一人」
アルゼが残りの一人に視線を向けると、茶髪の男は後ずさる。
「ま、まて。目的はなんだ?」
「八つ当たり?」
「そんな不条理な……」
「どうせアンタらも五人で組んで、弱いものイジメしてたんでしょ? だっさ」
「……」
「まーいいや。そこそこスッキリしたからアンタは見逃してやってもいいよ?」
「ほ、ホントか?」
「もちろん。その代わり、全員のお金を集めてきて。そこらに倒れてるからさ」
「金をふんだくるつもりかよ!」
「死ぬよりマシでしょ? それとも抵抗してみる? 私は構わないわよ?」
「くっそ……」
諦めた様子で、茶髪の男は倒れた落ち人達からお金を回収し始めた。
(これで当面のお金の問題は解決っと。大剣も新調しなきゃね。にしても……私やっぱ強いわ)
自身の強さを改めて確認するとアルゼは目を細めた。
アルゼ設定画。




