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測定なんて意味無いだろ?

「さぁホームルームはじめるぞ。さっさと席につけ。」


 1年8組の担任 宇崎神音が教壇に立って生徒たちに命令するような口調で言った。

 生徒たちはその言葉に従うようにそそくさと席についた。もし、命令に従わなければ、恐らく地獄を見ることになるだろう。だからこそ、彼らの判断はとても賢明であった。



「面倒だからさっさとホームルーム終わらせるぞ。とりあえず今日はとくになんもんない!! はい、終わり!」



 おいおい、そんな投げやりでいいのかよ。我が担任ながら心配になってくる。とはいってもどの道話なんてあまり聞かないだろうから、話はなくてよかったと思っている。

 まぁ、知っておかなけれぼならないのは、この学校では能力保有者アビリティホルダーも在籍している事だ。奴らは、人によってはとんでもない能力持っている人間だっている。

 考え事をしている六月にシルフィが突然彼の目の前に現れた。それにはビクッと驚いたが、知っている人間だったので落ち着いた。



「どうしたの?六月〜。なんか浮かない顔してるよ〜?もっと人生楽しもうよ!」



 やけに楽しそうにしている。それもそうだろう、自分とは違い初めてのクラスにもう溶け込めており、人にあれだけ囲まれていた。

 正直羨ましかった。でも、そんなことを言うのは恥ずかしいのであえて言わなかった。

 少しうんざりしたような顔でシルフィを見た。



「人生を楽しむか…。俺には夢のような話だな。」



 俺は生まれてこの方楽しいなんて思ったことは一度もない。常に一人だった。誰も俺のことなど理解してくれなかった。友達もいなかった。生きている価値を見いだせなかった。そんな毎日を過ごしていた。そう六月は思っていた。

 シルフィは俺の受け答えに頬を膨らませて、少し不機嫌な表情をしていた。



「もぅ、君がそんな顔をしていたらこっちはちっとも楽しくないよ!?せっかく友達なったんだからね?」


「そうだよな。友達がこんな浮かない顔してたら嫌だよな?」



 友達、そういえば昨日のなったんだよな。俺にとっては初めての友達。少しだけだが心が穏やかになった。

 六月は笑顔をなんとか作りシルフィを安心させた。そうでもしなければまた起こりそうだっだから。

 そんな時間を過ごしていたら、1時間目の始まる時間となったので授業の準備をし始めた。最初の授業というのは、能力測定であった。簡単に言うと、基礎体力や基礎学力そして、特殊能力を測定するものである。

 この学校では入学がおわった後に、誰が能力保有者アビリティホルダーで誰が一般人かを区別するための測定を行う。



「なんで、こんなことしなくちゃならないんだよ。」



 思わず不満をたらした。それぐらいこの測定はやる意味が見いだせなかった。強いて言うなら、これで能力保有者アビリティホルダーと一般人の壁ができたようなものである。

 六月は今、特殊能力測定所にいた。ここには色々な機械が置いてあり、なんだか不気味であった。

 変な注射を打たれたり、目隠しされてスーパーボールを避ける測定だったり、身体に死なない程度の電気を浴びせられたりいろいろな測定があった。

 そして六月が押された判子はステージ0いわゆる無能力者ということだ。いや、それで良かった。もしあの力(・・・)のことを知られると色々と面倒だったから。

 測定を終えた六月は休憩所に置いてあった椅子にぐったりしていた。



「たく、なんなんだよあの胡散臭い測定はよ!」


「まぁ、そういうなって、ところでお前ステージ何だった?」



 ぐったりしていた六月に裕二は話をかけてきた。相変わらずニコニコしており、元気のいいやつだった。


「俺はステージ0だよ。なんの能力も持ってねぇ。」


「おぉ!俺と一緒だな!お前とは仲良くなれそうだ!」



 そう言って裕二はハイタッチを求めてきた。それに仕方なく応じた。ただ、実際のところ嘘を六月は嘘ついており、本当はステージ0ではなかった。

 いや、恐らく俺のことについてこの都市の上層部は隠蔽している。だから、俺がステージ0を超えることなんてありえなかった。

 2人で休憩所にいると、体操服姿のシルフィが現れた。胸のところがものすごく強調されており、とても色っぽいいや、エロかった。


「おーい!2人とも〜!もう測定は終わったの?」



 同じく測定を終えたシルフィは六月と裕二に尋ねてきた。彼女の方はあまり疲れてはおらず生き生きとしていた。

 同じ歳でもこれほどまで違うのかと少し自分の情けなさを六月はさ感じていた。

 さて、測定も全員終わったようで、今日の授業というのはこれで終わりであった。あとは明日個人にあったカリキュラムが手元に送られてくるのを待つだけである。

 とくに持って帰るものはなかったので鞄がやたら軽かった。帰ろうとするとシルフィに呼び止められた。



「六月〜!一緒に帰ろうよ〜!裕二くんも〜!」


 一緒に帰ろうというのだ。美少女と一緒に帰れるのはとても嬉しいのだが、周りからの視線がきつかった。

 クラスの男達は俺と裕二を呪い殺すようなまなざしを向けてきた。だが、まだいい。裕二と六月2人でそのまなざしを受け止めているから対してしんどくはない。

 しかし、そんな六月の考えを裏切るようにして裕二にした。



「悪い!今日用事があるから!2人で帰ってくれ!」



 そう言うと、裕二は凄いスピードで教室を後にしていった。つまり、裕二がいなくなったということは…。男子からの視線を1人で受け止めるしかななかった。

 シルフィは「どうしたの?」と尋ねたが、もはやどうしたもこうしたもない。六月の命が危険である。

 なんとか視線に耐えて、外に出ることができた。



「今日も1日疲れたねぇ!どっかよっていく?」


 大きく欠伸をしたシルフィは隣を歩いていた六月に聞いてきた。



「いや、疲れたなら寄らない方がいいだろ?」


 素っ気なく答えた。今日も1日中あった測定に疲れており、どこかに行くような気分ではなかった。

 それでもシルフィはどこかに行こうと、しつこく言ってくる。早く行こう早く行こうと言って後ろを歩きで六月を見て歩いていたシルフィだが、後ろが見えておらず、人にぶつかってしまったのだ。



「おい、貴様。どこ見て歩いている?」


 シルフィにぶつかられた男子生徒はかなキレていた。高圧的な態度をとってきており、シルフィは急いで謝った。



「す、すいません!ちゃんと前を見ていなかったです。今度から気をつけます。」


 深々と頭を下げて謝った。しかし、男子生徒の方は納得しておらず怒りが静まることはなかった。

 その男子生徒は髪が金髪でなんというか不良のような感じがした。



「おいおい、今度から気をつけますってなんだよ?舐めてんのか?俺はな。この都市じゃあ数少ないエリートのステージ3なんだよ。女でも容赦しねぇよ。」




 男は手を上にかざした。その瞬間、どこからか光が彼の手のひら集まり刀剣の形に変わった。

 そしてその光でできた刀剣をシルフィに突き刺そうと振り下げた。



「きゃあぁぁぁ!!!!」



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