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異常鬼象 「三足と百足と無足」  作者: 溝中海市
序章
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いつかの会話

「兄様、兄様。なぜ世界が平和にならないのでしょうか?」

「答えは簡単さ。争いや(いくさ)があるからだ」


「なぜ人は争うのでしょうか?」

「答えは難しいな。……たぶん、人の上に立ちたいから、他人より勝りたいからかな」


「なぜ他人に勝りたいのでしょうか?」

「そうすれば美味しい物が食べられるし、良い家に住める。嬉しいことが増えるからだ」


「みんな同じほうが良いんじゃないでしょうか? そうすれば争いが起きず、みんな仲良しです」

「そうだな。でもそう思わない人もいる。それに自分がみんなと同じで良い、皆と仲良くしたいと思える優しい心。そんな心の持ち主は、家族や仲間にもっと幸せになって欲しいと考えるのだろ?」


「そうかもしれません。自分の分は我慢できるけど、大好きな人には我慢して欲しくない。幸せになってもらいたいです!」

「お前は優しいな。でもな、自分は一人だけど、大事な人は一人とは限らないぞ。そうなると分けてあげるモノが足りなくなるだろ?」


「じゃあやっぱり、平等にしなくちゃいけないのでは?」

「うーん……。……もし仮に、全員が他人と平等で良いと思える心があるとする。気持ちが同じでも、肉体や性格には違いがあるだろ。男と女。老いと若き。陽気な人と冷静な人。働き者と怠け者。体が大きい人と小さい人。そろばんが早い人と遅い人。武術の得意な人と苦手な人。例を挙げれば切りが無いけど、一人一人に違いがある。これは優劣じゃなく個性だ。人の心と体を全て同じにできると思うか?」


「それは無理かもしれません。なるほど、だから平等にして平和にするのは難しいですね。ですが、兄様。それでも、私は全ての人に仲良く幸せになって欲しい」

「じゃあ、今よりもっともっと強く、賢く、優しくなって、この世で一番偉くなろう。そうすればみんながお前の考え認めてくれて、平和にしようって思うかもしれない。だから、強くなるために稽古を再会しようか。休憩はこれで終わり」


「はい。わかりました。じゃあ、まず最初に私は兄様より強くなります」

「おっ言ったな! でも俺を倒すのは一番最後なると思うぞ。俺もどんどん強くなるからな。……そう、だから、俺はお前の最初の味方で…………最後の敵だ」


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