平穏
アレックスは、オルトロス国とペガサス国から、がっぽり礼金を貰い、アデルから褒美も貰いと、当分遊んで暮らせそうだ。
彦三郎も、相当額の礼金を貰えた様で、少し広めの家に引っ越す事が出来たらしい。
そんな訳で、今日もアレックスは、本を読んでいるマリアンヌの膝枕で、一緒に別の本を読んでいる。
「マリー、その本、ペガサスの古本屋で買った本だよな。何回読んでるんだ。」
「もう5回目ですわ。」
「そんなに面白い?」
「ええ。だって、これ、アレキサンダー王がモデルの冒険小説なんですもの。丸でお仕事中のアレックスのお話みたい。」
「そうかなあ。」
「はい。」
遠くから、大鷹の羽音が聞こえた。
エミールのエディだ。
手紙を届けに来た様なので、手紙を受け取り、イリイのおやつの肉を食わせながら読んだ。
読みながら、アレックスの顔がどんどん嬉しそうに、ほころんで行く。
「まあ。どんな嬉しいお知らせですの?」
「姉上が身篭られたそうだ。兄上と姉上が同時に、フィリップの夢を見て、直ぐに会えると言われたと。次の子は、約束通りフィリップかな?」
「良かったあ!きっとそうですわ!ええ!間違いありません!」
「ああ。本当に良かった。」
アレックスは返事を書き、エディの脚に結んで、エディの頭を撫でた。
「父上もほっとされただろう。ああ見えて、心配性だから。これを頼んだよ、エディ。」
エディはアレックスの頭に自分の頭を擦り付け、飛び去った。
終




