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【エラーコード作戦】~イラン編~⑤
「──ッ!ミスター・レイ!我々は成功した!」
「暴走コードの注入を防いだ!核施設の制御システムを、隔離された新しいシステムに再認識させることに成功した!我々は助かった!」
勝利の雄叫びが、ノイズ混じりの通信機を通じて会議室に響き渡った。
その瞬間、ドミトリは母国語で小さく何かをつぶやきながら通信機から手を離し、額の汗を拭う。
サラとキムは互いに顔を見合わせ、ハイタッチをしていた。隅に居たライリーは誰とも喜びは共有しない代わりに、静かにペンを置き目を閉じる。
俺は──
情けない事にその場で膝から崩れ落ちた。
「チクショー、情けねえ。俺も恰好良い言葉で〆たいってのに…」
溢れる笑みが止まらない。
そしてそんな俺に、甘いカフェラテの入ったカップを手渡したファイサルも満面の笑みで会議室のメンバーを見つめていた。
「グッジョブ、怜」
「ありがとう、ファイサル。あとは頼んだぜ」
「ああ、任せろ。」




