【エラーコード作戦】~イラン編~④
画面に映る技術者たちが、到着したコードを操作している姿が荒い画面の中、目に映る。
それは無事にコードがテヘランへ到着した事を意味している。それ自体には軽い安堵を覚えるが、本当の問題はここからだ──
「見て、怜!トリガーのステータスが『稼働中』と『異常』を高速で往復している!」
サラが興奮気味に叫ぶ。
これこそが俺の待ち望んでいたAIのアルゴリズムに生じた一瞬の❝躊躇❞だ。
「GO・NOW・IRAN!」
「新しいセキュリティコードを上書きしろ!AIの判断が遅れている!早く!」
学生時代の体育祭以降、ここまで大きな声は出した事が無い。それくらいの音量で、勢い余った俺は画面越しの❝未来を背負う者❞達へ、指示を出した。
画面の向こうで、先ほどとは比べ物にならない速さで技術者たちが一斉にキーボードを叩く。警報音が最高潮に達し、会議室の全員が息を飲む。
1分──
10分──
体感では、もう時間枠という概念を超えてしまう程の緊迫した空気の中、メインスクリーンに表示されていた核施設の警告画像が、グリーンに変わった。
そして、イランの技術者たちがそれをチラッと見たと同時に、全員キーボードから手を放し再度、画面を数秒見つめた。
「やった……のか?」




