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世界最終戦争~CPO6~  作者: 胡蝶 蘭
第四章【結成されたCPO6】
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作戦開始


「アメリカは、国としてこの作戦を動かせない。どこか頼めるか?」


 ライリーはみんなを見渡しながらそう聞いた。


 ここで一番、安定した国交を常にイランと築いて居るのは日本だろう。そう判断した俺は即座に申し出た。




 そして、東京にいる沢田部長に連絡を入れる。




「部長、ちょっとお願いがあるんですけど…」





「情報は回ってきている。イランの話だろう?とうとうAIが本気を出してきたかもしれんな。」


「俺に何をしろと──?」


 俺はみんなに小さく手を上げてから、円卓から離れ会議室の隅に用意されているダイニングテーブルの前に座った。


 ここは軽食を取ったり、仕事の合間に読書をしながらコーヒーを飲む様なスペースだ。


 デリンギのコーヒーマシンでエスプレッソを淹れながら、沢田部長に言葉を紡ぐ。



「この話、アメリカもフランスも国際的な立場上、大っぴらに動いてイランを支援する事は出来ません。勿論、韓国もドバイも。唯一、動けるのがロシアと日本だけなんです。」


 ──意外に思われるかもしれないが、イランでは日本の❝おしん❞というドラマが大人気になった事もあり、かなりの親日家が多い。


 日本もアメリカの同盟国でありながら、イランとは独自のパイプを持ち、割と安定した関係を築いてきたのだ。これはあまり知られていない。





 もし、今イランを助けるならば……



 日本は【CPO6として動いたのではなく、日本主導で動いた】とあくまでも、他国が干渉出来ない大義名分を作り上げ、その情報を核の被害に遭わないか、とビクビクしている世界諸国に流す。


 その上でロシア・日本・イランと密に連絡を取り合い、俺の作戦を遂行出来る様に話を通してもらう。


 これが間違いなく一番早い。


 そして、日本とアメリカの一番の脅威である中国へ恩を売る事もなくなり、デカい顔をされる心配も無くなる、という理由だ。


 外交的にも申し分は無いだろう。

 まあ、成功すれば、の話だが。



「お前の頼みたい事は何となく分かるよ。先ずは俺が、公安から外務省へ、外務省から総理へ直接掛け合えないか、義父さんに聞いてみる。」


「ええ、出来れば早急に。イケますか?」


「ああ、そのルートでも掛け合うし、ここは何て言っても内閣直下の部署だ。俺の方でも個人的に総理に掛け合えないか話を通してみる。」


「それに、もう少しで杏が此処に来るんだ。様子を見に、な。だから話は早いと思うぞ。」



 そう言った沢田部長の後から、次の指示を待つことなく、忙しなく動き回っているであろう桜子の声が聞こえた。


「助かります!」



 ─基本的には、どこの国も国際的なチカラを得るために問題児であるイランに恩を売りたいのは間違い無い。


 だからこの話が日本主導ではなく、CPO6として動いたという事実も暗黙の了解として受け入れるだろう。


 特にライリーも手を回すであろうアメリカは、自らの手が汚れることなく、組織を主導してイランを助けたという立場を暗に手に入れる事が出来るのだから、絶対にノーとは言わない。


「俺ら日本に出来る事をしましょう、部長」



 ──そうだ、だからこそ。


 俺達、日本は今出来る事をやるしかないんだ。


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