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非合理の突破口
連邦裁判所の喧騒を背に、猛烈な勢いで会議室に戻った。胸の奥で燃えたぎる心を大事にしながら…。
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会議室の空気は退室した時よりもさらに重くなっている気がする。ドミトリの冷徹な報告は、俺たちの希望の光を完全に打ち消していた。
それでも──後ろばかり向いちゃいられない。
成功するかは分からない。
失敗する可能性を視野に入れて行動しないといけない事も分かっている。
でも、とりあえず一歩踏み出さないと何も始まらないのだ。その一歩からしか未来は始まらないのだから。
「──助ける方法があるかもしれない!」
勢いよく発した言葉は、凍てついた空気を切り裂く刃のように響いた。
「AIの論理の穴を突く、最も非効率な方法で…!」




