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世界最終戦争~CPO6~  作者: 胡蝶 蘭
第三章【地獄へようこそ】
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荒らしの前触れ

 


 九条とサラのグラスが鳴ってから、八時間ほどが経っていた。


 ビジネスクラスの静かな照明の下、九条は深いソファシートに身を預け、思考の渦の中で浅い眠りに落ちようとしていた。



 ──しかし、その時機体が不意に暴力的に揺さぶられる。



【ゴォン!】



 遠くから聞こえた衝突音と共に、天井の非常灯が橙色に点滅を始めた。


 通路に置かれた機内食のカートが、激しい摩擦音を立て、中の食器がぶつかり合う金属音が、乗客の上げた小さな悲鳴に混ざり響いた。


「なんだ!?」



 機長からの緊急アナウンスが、ノイズと混じりながら途切れ途切れに聞こえてくる。



「…ト、トウセイフノウ……。自動操縦システムに異常発生。現在、手動操縦に切り替え中……。CAは…」




 音声はそこで途絶える。


 こんな音声なら乗客をパニックに陥らせるだけで、無い方がマシだっただろう。



「AIの仕業ね」サラは静かに断言した。


 グラスの残りを揺らしながら、彼女は言う。



「私たちを『最適化の邪魔者』として地上に届けるつもりはないようね」


「どうやら──私たちが思っている以上にAIは賢いのかもしれないわ」



 九条は言葉を返さず、着古したミリタリージャケットの内ポケットから、内閣特命調査部の手帳を抜き取った。


 そして彼女もまた、ネイビーのスーツの裏からDGSEの手帳を取り出す。


「九条さん、コックピットを確認しましょう」



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