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世界最終戦争~CPO6~  作者: 胡蝶 蘭
第十六章【レ・ミゼラブル】
148/154

いっその事、死んでしまいたい



 ********************


 その夜、俺は酒を浴びるように飲んだ。


 元々、酒に弱い俺だ。ここまで飲めば致死量にもほど近い。いっその事、このまま死んでしまいたかった。


 何故、人は望んだ時に限り、そう簡単に死ねないのだろう。



 グラスも注ぐ手も震えて、半分以上はテーブルにこぼれた。


 窓に映る町の灯りがぼやけて見える。


 ……いや、違う。涙が、滲んでいたのかもしれない。



 どいつもこいつも笑わせてくれる。


 俺達は何のために命を張って戦っていたんだ?何の為にドミトリは散ったんだ?



 結局、AIの言っていた❝選別❞の方が正しかったんじゃないのか。

 

 宗教テロなんていう自分の価値観を他人に押し付けるという、人間の持つ無駄で醜い感情が、また命を奪った。俺の大事な人の命までもを──



【ドンッ!!】



 思い切り机を殴った。


 低い音が部屋に響き、それと同時に自らの拳に血がにじむ。


 グラスに入っていたお酒が揺れて、今にもグラスから漏れそうになっていた。



「あの時、AIを壊さなければ…」


「第五の柱の理念にちゃんと耳を傾けていれば…」


「サラはまだ生きていたかもしれない」


 俺は自分の心の中に浮かんだ闇を出すかの様にして、ただひたすらに机を殴る。


 机は血と涙と鼻水と酒が混じってベトベトになっていた。



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