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世界最終戦争~CPO6~  作者: 胡蝶 蘭
第三章【地獄へようこそ】
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地獄へようこそ

 

 上野の地下通路を走る九条の背中に、理星の冷静な声が響く。


 理星は九条がトンネルの入り口に戻る間も、そのスマホをハッキングし、必要な情報を送り込んでいた。



「九条さん、米軍主催の会議は連邦裁判所の地下で行われます!此処に貴方を送り込めないか、知人に相談しました。きっとその知人が何とかしてくれます!このまま乗り込んでも大丈夫なはずです!」


 九条は息を切らしながら理星の方を振り向いた。



 ──確かにそうだ。


 元々は日本抜きで行われるはずだった緊急会議。



 いくら部長が元奥さんを頼ったとしても、そんな直ぐに俺が合流したら、それこそ不思議がられるに違いない。幾ら、ライリーがその場にいたとしても…。



 理星の声はあくまでフラットだ。


 九条は片手を上げてから再び走り出す。公衆電話ボックスを通り過ぎ、指示を出した。



「始、悪いが至急チケットを取ってくれ。ニューヨーク行きの一番早い便だ。できるだけ目立たないように、ファーストクラスじゃなくエコノミーでな」


「了解です。出発は午前11時発、成田経由のデルタ航空です。二時間もありません。既にタクシーを呼んでいます。公衆電話ボックスのすぐ横に到着します」


「サンキュ」


 九条はスマホをポケットにしまい込んだ。




 *************




 午前10時50分。成田空港、国際線ターミナル。


 九条怜は、着古したカーキ色のミリタリージャケットに、ラルフローレンのパリッとしたジーンズという、トラッドなカジュアルスタイルでチェックインを済ませた。搭乗時刻まであと15分。



 ゲートに向かう途中、彼は再びスマホを取り出し、沢田部長から送られた資料を見る。


 国際合同捜査チームのメンバーリスト。


 各国から集められた人類の頭脳だ。


 全員35歳以下の若さで、自国の秘密組織や情報機関を背負っている事を踏まえると、かなり優秀な人物ばかりなのだろう。




  * アメリカ代表:ライリー・マクミラン(31歳)

  元NSA/CIA特別分析官。エース捜査官。


  * フランス代表:サラ・ルブラン(30歳)

  DGSE(対外治安総局)/サイバーテロ対策部門。


  * ロシア代表:ドミトリ・ヴォルコフ(33歳)

  FSB(連邦保安庁)/特殊部。『冷酷な現実主義者』。情報操作と現場技術を持つ。


  * ドバイ代表:ファイサル・アル=マズルイ(30歳)

  国家保安局(DSS)/情報分析部門。局の財布係でもある。


  * 韓国代表:キム・テヒョン(29歳)

  NIS(国家情報院)/対北サイバー班。九条とほぼ同い年の技術エリート。



 そして、リストの最下部には、九条自身の情報。


  * 日本代表:九条 怜(29歳)

  内閣特命調査部(元ウォール街)。コードネーム:INCONSISTENCY(一貫性の無い者)。



 九条はリストを見ながら、口元を歪ませた。


 ──あの時、理星に詳しく聞くのを忘れたが……かなりの権力者の知人がいる事は間違いない。


そうじゃないと、こんな短時間で会議リストの中に俺の名が入らないだろう。でかした、と褒めてやりたい気分だ。


「……会議をした所で話しがまとまるのかどうか。色んな意味で前途多難、どころの話じゃねえな」



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