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答え合わせ
「沙羅さん、ありがとうございます!」
俺は、少し唖然とする沙羅に感謝を伝えるために一礼をした。
するとさすがの勘と言うべきだろうか。何かを悟ったかの様に、こやかな表情を浮かべた彼女は「頑張って、日本のために」と声をかける。俺はその言葉に頷き、急いで会議室の有る方向へと駆け出した。
その途中、任務用のスマホが鳴った。相手は理星だ。
「理星!俺もちょうど掛けようと思っていた!」
「大事な話があります!今すぐ戻れますか?」
「ああ、今戻ってる!とりあえず要件だけ言うぞ。AIチップの本拠地は、ホワイトハウスかもしれない!」
俺はセキュリティレベルが高かどうか確かめてから、駆け出す足を止めずに、息を切らせながら捲し立てた。
その瞬間、理星の声が、いつになく興奮を帯びる。
「なぜそれを?なぜそれを今、九条さんが言うんですか!?」
「え?」
俺はその言葉に、思わず立ち止まった。




