第五話 栗心居士は松永久秀と仲がいいらしい
それで「俺はどうすればいい?」と左近は端的に言った。栗心居士によると先に能力を共有した方がいいそうだ。栗心居士は「お主が特にすることはないぞぉ、そろそろ能力の共有を始めるぞ。」と言って、瞑想を始めた。「何をしている?」左近が少し怒った声で聞いいても栗心居士は返事をしない。突然何かが流れ込んでくる感じがした。「これで能力の共有は終わりじゃ。ちなみに能力の共有はタイムトラベラー間でしかできないぞ。」左近が知りたいことを先に答えられてしまった。左近は「能力を試したいが、お前は古語を話せるか?」と尋ねた。
栗心居士は「済まないがワシは古語を話せない。それよりも速くお金を稼ぐ必要があるのであろう⁉」と言った。左近は「速くしてくれ」と催促した。栗心居士は「なに簡単なことじゃよ。三好家で武術を子供たちに教えればよい。幸いワシは松永久秀殿と交流があるのでのぅ。」と言った。「まさかあの松永久秀ですか⁉」と左近は驚きを表した。竜司は松永久秀が将軍を殺したことも、大仏を焼いたことも根拠がないことから噓であると思っていた。ゆういつ主家の三好家から独立したことは悪いことかもしれない。しかし、自分を立ててくれた三好長慶が死んだときに、平凡な三好義継を任された久秀なりに主家に被害を及ぼさないための手段であると考えられた。しかし、久秀の強さは本物であると竜司は考えていた。竜司は弟を殺した三好長慶よりも松永久秀を評価していた。その久秀と交流がある栗心居士に左近は尊敬した。それが、三好長慶の死よりも前の時期であったとしても。左近はこのあたりの地図が頭に入っている栗心居士と一緒に三好家に仕官するために歩き出した。左近はまだ知らない、能力は開花することがあり、開花しかけの能力が日本各地の地図を脳内に表示することができる特殊な能力であり、こののち後悔したときにやり直せる能力の次に重要な能力になることを。