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第20話 魔導師リューンは、一人で魔神を封印しに行く

◆◆


 突然現れたヴォルのことを、アルカは


「可愛い、お孫さんですね」


 ――と、気安く問いかけてきた。

 その時の心臓が止まるような感覚を、リューンは生涯忘れないだろう。


(孫?)


 ――コレが孫?


(しかも、可愛い?)


 今現在、リューンはリューベルンの身体に変身している。

 ヴォルとの関係を誤解されるのは仕方ないことだ。

 けれど……。


(よりにもよって、ヴォルを可愛いだなんて)


 リューンが師匠の姿ではなく、子供ヴォルの姿で彼女と出会えたのなら、彼女は屈託なく微笑みかけてくれたのだろうか?

 老人の姿だと、どうもアルカも緊張してしまうようで、二人の距離感に虚しくなってしまうのだ。

 リューンは、ただアルカと親しくなりたいだけなのに……。


(ヴォルの奴……)


 アルカの前で無害な子供を演じて、すぐに仲良くなりやがって。


(私がアルカさんの笑顔を引き出すために、どれだけ頑張っていると思っているんだ?)


 彼女が臣下から軽んじられていると、情報を提供してくれたのは助かったが、その功績を考慮したとしても腹立たしい。


(灰にしてしまおうかと、本気で考えてしまった)


 何とか踏み止まったのは「緊急事態」と、深刻そうに、ヴォルが告げたからだ。


(まさか……?)


 想像していたことは、自室に戻ってから確信へと変わった。

 床が淡く発光している。

 そっとリューンが掌を翳すと、大鳥が羽を広げたような図が闇の中にぼうっと浮かび上がった。

 それは魔力で作ったアーデルハイドの地図。

 その隅の方に光が集中している理由は……。


「魔神が覚醒した……?」

「十五年ぶりでしょ? 緊急事態だと思ったから報せに行ったのに、兄様ったら……。まさか殺意を向けてくるとはね」


 ヴォルはそっぽを向いたまま、刺々しく言った。

 よほど、リューンに睨まれたことが嫌だったのだろう。


「しかし……。それでも、あの登場の仕方は酷い。あんなふうに出て行ったら、アルカさんが不審に思うじゃないか?」

「はあ? 不審って……。それを言うなら、兄様の方じゃないか? あれだけ目立たないようにって念押されたのに、彼女に魔術だって見せているし……」

「それの何が悪いんだ? 私は見せる範囲を限定している。攻撃魔法は見せていない」

「いや……それ見せたら、もうおしまいだから。大体、俺の存在をアルカちゃんに隠す必要ってあるの? 彼女と結婚したのはリューンじゃない。リューベルンなんだよ」

「無論、承知している」

「いいや、分かってないね。意識しまくり。簡単に手を出しかけちゃってるくせに。外見が師匠な分、絵面が怖いんだよ」

「……それは」


 即座に、否定できないのが辛かった。


「俺も不本意ではあるけど、牽制はさせてもらうよ。師匠から、そのように言伝されているし」

「うるさい奴だな」

「それ、こっちの台詞なんだけど」

「ふん」


 イラつく。


(やむを得ない事情がなければ、絶対、この男を傍に置きたくないのに……)


 この先もずっと、ヴォルにアルカとのやりとりを監視されるのかと思うと、腸が煮えくり返りそうだった。


「ともかく、魔神が覚醒したら封じるのが私の仕事だ。ちょっと行ってくるから、お前は……」

「何処に?」

「魔神を封じに……だが?」

「嘘……だよね?」


 ヴォルが唖然として、仰け反っている。

 そんなに変なことを、リューンは言ったのだろうか?

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